【専門店を直撃!】リーフスプリング時代のオールドジムニー、買うならどこに注意すべき?

筆者が現行型であるJB64ジムニーを買おうと思ったのが2022年10月。そして1年後の2023年に無事に納車されました。ジムニーの注文を入れて以降、『&GP』の編集長と会うたびにジムニー談義をしていたのですが、ふと編集長から「どうですかねえ、これ…」とスマホを見せられました。

そこにあったのはSJ30ハーフメタルドアの中古車情報。それ以降、SJ10やSJ30のフルメタルドア、普通車であるジムニー1000など、「どうですかねえ、これ…」と頻繁に中古車情報のリンクがメッセされてくるようなりました。

ところが編集長から中古車情報が送られてきても、しばらくするとその物件は掲載終了(売約済み)に…。

実は今、JB64ともに以前のクラシカルなジムニーの人気も高まっています。林道を攻める乗り方はもちろん、人とは違うユルい雰囲気でアウトドアを楽しみたい人からも選ばれていて、SNSでは20〜30代オーナーが愛車の写真をアップしていたりします。

ただ、この時代のジムニーは製造から30年以上経過しているものも珍しくないため、購入時は状態をしっかり見極めたうえで、維持のことも考えておく必要があります。

そこで只今本気でクラシカルなジムニー購入を検討している編集長とともに、専門店でオールドジムニー購入時のチェックポイントやパーツ事情などを聞いてきました。

■リーフスプリングのジムニーはまずオリジナルの状態を楽しもう

「ジムニーは1995年11月に発売されたJA12/JA22からサスペンションがコイルスプリングになりました。それ以前はリーフスプリング(いわゆる板バネ)で、当店ではリーフスプリング時代のジムニーを扱っています」

神奈川県横浜市にあるFLAT Inc.の須藤秀郷さんによると、乗り心地はコイルスプリングになったJA12/JA22のほうが断然いいけれども、JA11のフレームをキャリーオーバーしているため、サスペンションストロークをあまり確保できなかったと言われているそう。この問題はJB23以降で解消されていますが、古めのジムニーでオフロードを走りたい人は、リーフスプリングを選ぶ傾向があると言います。

FLAT Inc.はオリジナルの状態を保っている状態のものにこだわり仕入れを行っているそうで、購入後にいろいろいじり倒したいという人はあまり来店されないとのことでした。

「リーフスプリング時代のジムニーはボディを塗り替えているものも多くあります。現在はそういう中古車の人気が高まっていますが、ボディのサビが見えづらくなるなどの問題があると私は考えています。オリジナルの状態のものは多少なりともサビがあったり、補修の跡があったりするものですが、そこも含めてお客様に見ていただくのがいいと私は考えています。もちろん車高を上げて大きいタイヤを履かせて、トラクションデバイスを変更して走ることを否定するつもりはありません。だって楽しいですからね。私も個人で所有しているJA11はいじっています」

須藤さんは、まずオリジナルの状態に乗ってみて、不満な部分を少しずつ改善していくのがクルマを長く楽しむうえでは大切じゃないかと考えているそうです。

ところで、これから古いジムニーを楽しんでいこうとする場合、ある程度メカニカルな知識も必要になるものなのでしょうか。FLAT Inc.にはこれまで旧車に乗ったことがあり、ある程度知識がある人が多くいらっしゃるとのことですが、特にクルマの機構に詳しくなくても、乗っているうちにだんだんと覚えていくという人も珍しくないそう。そこまで身構えなくても大丈夫でしょう。

「ただ、30年も前のクルマなので、最新モデルと同じ感覚で乗ることはできないことだけは知っておいてほしいですね。JB64が納車に時間がかかるので『だったら古いものもかわいいし』と来店される方だと、実車を見て、『キーレスじゃないのですか?』『集中ドアロックじゃないの?』と驚いて諦める人が多いのですよ」

この時代のジムニーは、はっきりいって快適なクルマではありません。でも操って楽しい車です。須藤さんはそう話します。所有しているのがリーフスプリングのジムニーだけで、毎日通勤で使っている人もいるそうですよ。

 

■購入時はどこをチェックするといい?

そんなリーフスプリングジムニーの中古車を選ぶ場合、どのようなところをチェックするべきか。須藤さんに教えていただきました。

▼エンジン内部のサビをチェック

JA11まではエンジンブロックが鋳鉄になります。そのためエンジン内部にサビが出ているものが少なからずあります。原因はこれまで乗られてきた間に冷却水が何らかの原因で減ってしまった際に代用で真水を足したこと。応急処置的な対応で仕方ないのですが、それが原因で内部にサビが発生してしまうのです。

エンジンが冷えている状態ならラジエーターのアッパーホースは触っても大丈夫。店頭でゴムのアッパーホースを軽く握ってみて、「シャリッ」という音がしたらホースの中にサビが流れてきている証拠。このようなクルマは避けておくのが賢明とのことです。

▼ボディのサビ

古いクルマの場合、最悪エンジンは載せ替えることができるけれど、ボディはどうにもなりません。ジムニーはフェンダーアーチ、ワイパーの付け根、ミラーの付け根の裏側、バックドアのヒンジ下部、荷室のカーペットをめくったフロアなどを要チェック。サビで茶色くなっているのはもちろん、塗装が浮いた状態になっているのもサビになります。

「鉄板が二重になっていたりする部分は湿気が抜けにくいのでどうしても錆びやすくなります。一方で古いクルマなのでサビが全くないものを探すのも難しいのが現実。状態をショップとよく確認しながら、納得できる状態かを見てほしいですね。サビでボディに穴が開いているようなものは避けたほうがいいでしょう」

▼タイミングベルトやゴム類

リーフスプリングジムニーは年数が経っていて走行距離も伸びているので、納車前にはタイミングベルトを新品に交換するのがベター。合わせて水回りやインテーク回りのゴム類も新しいものに交換することで安心して乗れるようになります。

▼コンピューター

AT車の場合、オートマのコンピューターにトラブルを抱えているものがあるそう。トラブルがあると発進時に2速発進になったりするなどの変速不良が出てきます。最初はその症状が出たり出なかったりという感じなので、車検が残っているクルマなら試乗させてもらい走行状態を確認するといいでしょう。

購入時、または購入後にそのような症状が出てきたら、新しい部品は出てこないのでなるべく早くコンピューターのオーバーホールを行ってください。

■リーフスプリングのジムニーを長く楽しむにはどうするべき?

憧れのリーフスプリングジムニーが手元にやってきたら、どのような点に注意して維持していくといいのでしょうか。

▼エンジンオイルは3000kmごとに交換

この時代のジムニーは小排気量なので、必然的に高回転まで回して走ることになります。クルマにとってはかなり一生懸命な状態。ジムニーは一般的な乗用車に比べギア比が低いので、高回転まで回ります。そのため、エンジンオイルは必ず3000kmごとに交換してほしいそう。また、一般的なクルマだとオイルフィルターは2回に1度のペースで交換しますが、リーフスプリングジムニーは毎回交換するのがベストとのことです。

▼車検ごとに水回りを全量交換

チェックポイントでも話したように古いジムニーはサビが大敵。そのためクーラントは2年に1度、車検のタイミングで全量交換したほうがいいそう。

乗る際の注意点と言われると身構える人もいそうですが、これらはクルマを整備するうえでは基本的なこと。そこまで難しく考える必要はないでしょう。

「ただ、最近の新しいクルマは耐久性がとてもよくなっているので、これら基本的なことを知らない人が増えているのも事実です。私たちも年齢を重ねれば肩が凝りやすくなったり、膝の調子が悪くなったりして、定期的に健康診断をして異常がないかをチェックするとともに、マッサージなどで体をメンテナンスしますよね。クルマも人間と一緒です。必要なメンテナンスを定期的に行ってあげることで調子良く乗ることができるようになりますし、大きなトラブルを未然に防ぐ予防整備にも繋がります」

■もしなにかトラブルが発生した場合、パーツは手に入る?

旧車に乗るうえでもっとも気になるのがこれ。変な話ですが、パーツが苦労せずに手に入るのであれば、もし何かあってもそこまで心配する必要はありません。リーフスプリングのジムニーはどのような状況なのでしょうか。

▼JA11はパーツで困ることはまだ少ない

内装パーツだと早い段階で供給が終了したパーツもあったのですが、2年ほど前から機関系のパーツでもスズキの方で取り扱いが終わったものが出てきています。たとえばJA11だと点検整備で部品がなくて困ることはまずありませんでした。でも最近はそういうことがポツポツ出てきていますね。でもそこまで心配する必要はないでしょう。

ヘッドライトはオリジナルのものが手に入りづらく、LEDタイプのバルブに交換可能なレンズに換えるケースが多いそうですが、その場合オリジナルの凸面レンズとは違い表面がフラットなレンズになるなどの違いがあります。

▼SJ30は人気部品を探すのに苦労する

SJ30だと前期型のミラーが人気で、JA11にそのミラーを付ける人もいました。現在はそれが手に入りづらくなっています。

▼SJ10はワンオフで作らないといけないパーツもある

SJ10だとクランクプーリーとウォーターポンプのプーリーにサビが発生しているクルマが多くなります。ただ、頻繁に乗られるクルマだと常に摩耗しているのでサビはなかなか進行しないのですが、たまに乗るくらいだとサビが進行してベルト接触面がヤスリのような状態になってしまい、ベルトを交換してもすぐにダメになったりします。このプーリーが3年くらい前から手に入らなくなり、交換が必要な場合は金属加工屋さんに作ってもらわなければなりません。どうしても純正部品の10倍くらいの値段になってしまいます。

須藤さんによると、一度スズキの方で生産が終了したパーツが再販になるケースもあるので絶望的な状態まではいっていないとのこと。この状態が少しでも長く続くことを願いたいですね。

2ストロークのモデルは、頻繁に乗っているものほど調子がいいもの。エンジンも一発でかかり、排気の煙が少なくなります。乗ってあげることが状態をよく保つ秘訣とのことでした。

取材協力/FLAT Inc.

<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

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