卒業式で実感。入学式や運動会のカメラには「マイクロフォーサーズ」がいいぞと強く言いたい

先日、子どもの卒業式に出席してきました。ちゃんと写真に残してあげたいと思ったわけですが、普段仕事で使っているカメラ(「LUMIX GX7MK3」+「LUMIX G VARIO 12-60mm / F3.5-5.6 ASPH. / POWER O.I.S.」)ではさすがに厳しい。

卒業式の事前説明会で言われたのが「三脚を立ててカメラを使う場合は体育館の一番後ろからお願いします」ということ。卒業証書を受け取るのは舞台上。要するに、体育館の端から端というわけです。いったい何メートルあるんだ?

まず思ったのが焦点距離。そもそも何mmあればいけるのか。

そこで、いつも撮影をお願いするプロカメラマンに聞いてみたところ、

・(35mm換算で)最低でも200mm、できれば300mmは欲しい
・表情を撮るとなるとそれでも厳しいかもしれないから広く撮ってトリミングも想定する
・瞳AFに頼る
・体育館は暗いから感度は上げまくってシャッタースピードを速くする
・手ブレ防止に三脚or一脚は必須

愛機であるLUMIXのセンサーはマイクロフォーサーズ。難しい説明はここではしませんが、マイクロフォーサーズの焦点距離は、フルサイズセンサーやフィルムカメラの35mmに換算すると「2倍」になります。

要はマイクロフォーサーズで60mmの場合、35mm換算だと120mmということです。

レンズは望遠になればなるほど物理的に長くなります。「体育館なら300mmは欲しい」と言われましたが、35mm換算で300mmのレンズってめちゃデカい(しかも高額)。素人が扱えるシロモノじゃありません。プロやハイアマチュアの世界です。

そもそもな話ですが、イマドキ運動会や式典などの子どもの行事を撮影するってかなり難易度が高いわけですよ。場所は限られるし、被写体=子どもは遠いし、体育館は暗いし…。

でも「子どもの行事で撮影したい」って一眼カメラを買う大きなきっかけですよね。だったら、この卒業式のタイミングで何を選べばいいのか試してみるのはいいかもしれない。そう思い、マイクロフォーサーズのカメラやレンズを幅広くラインナップしているパナソニックのカメラ担当の広報さんに相談してみました。

 

■各焦点距離での見え方をチェック

「カメラマンから『300mmはあったほうがいい』と言われたので、マイクロフォーサーズの45-150mmのレンズをお借りして試させてもらえないか」

と伝えたところ

「そのレンズで会場一番後方からとなると、顔を大きく撮るには少し足りないかもですね。100-300mmだと安心だと思いますが、いかがでしょうか?」

との提案が。「せっかくだから最新のカメラも試してみてください」とのことで、カメラとレンズを試させてもらえることに。ありがてぇ。

お借りしたのは、昨年10月発売の「LUMIX DC-G9M2」(実勢価格:23万円前後)と、マイクロフォーサーズ規格のGシリーズレンズ「LUMIX G VARIO 100-300mm / F4.0-5.6 II / POWER O.I.S.」(実勢価格:6万7900円前後)。レンズの焦点距離は35mm換算で200-600mmです!

さすがにいきなり本番なんて無理なので、何度か試し撮りをして重さやサイズをつかんでから、いざ本番(卒業式)。結果は…

舞台上の我が子の表情、しっかり撮れました! いやー600mmスゴい!

ではこのレンズを使うと、どのぐらいのサイズで撮れるのか。さすがに卒業式の写真をここに出すわけにはいかないので、卒業式翌日に近所の公園でいろいろ試してみました。

まずはカメラとレンズのサイズからチェック。

100-300mmレンズの長さはフードなしで約126mm。フードを付けてもA4サイズの『GoodsPress』よりも短い!

重さはレンズが約520g。カメラ本体の重さが約658gなので、合わせて約1178g。1kgちょっとです。これぐらいなら手持ちでもなんとか撮影はできますが、テレ端(最大望遠)の35mm換算で600mmだと、ほんのちょっと動かしただけで被写体を外してしまいます。できれば三脚、最低でも一脚は必須だということが分かります。

そして前日の卒業式で痛感したのがシャッタースピード。

感度をISO3200、絞りを開放のF4で舞台上の子どもを撮ろうとしたところ、シャッタースピードはわずか1/60秒しか出ませんでした。体育館、思ってた以上に暗い! これだと、いくら一脚を使っても被写体ブレ確実です。せめて1/125秒、いやもっと速くしたい。

すぐさま設定をオートからシャッター優先に切り替えて1/250に。感度爆上がりですが、ブレるよりマシです。これでなんとか卒業証書授与の瞬間を押さえることができました。入学式など体育館での行事で子どもが動くシーンでは、シャッタースピード優先がオススメです。

そして本題の焦点距離ですが、この日は晴天だったので、一脚に『GoodsPress』を固定して約36メートル(長さ60cmのタイル60枚分)離れたところから撮影してみました。

※以下、画像はすべてリサイズしたものになります

まずはスマホ「Google Pixel 7」で試し撮り。

▼スマホ1倍

▼スマホ電子ズーム8倍

自転車が置いてある場所に一脚を立てているんですが、さすがに厳しい。8倍は電子ズーム、要するにトリミングなので、画像も粗くなってしまいます。

では、お待ちかねのマイクロフォーサーズ100-300mmレンズです。以下の画像はすべて「LUMIX DC-G9M2」+「LUMIX G VARIO 100-300mm」、「オート」、手持ちで撮影したものになります。

▼焦点距離:100mm(35mm換算200mm)/ 絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:100

▼焦点距離:150mm(35mm換算300mm)/ 絞り:F5 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:200

▼焦点距離:200mm(35mm換算400mm)/ 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:400

▼焦点距離:250mm(35mm換算500mm)/ 絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:800

▼焦点距離:300mm(35mm換算600mm)/ 絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:800

いかがでしょうか。約36メートル離れた場所からA4サイズの『GoodsPress』の文字が読めるということは、表情までしっかり捉えられると考えられます。そうなると、やっぱり35mm換算で400mmぐらいは欲しいなという気がします。もちろん600mmあれば理想です。

でもフルサイズセンサー搭載の一眼カメラで600mmレンズってめちゃめちゃデカい。そしてびっくりするほど高価格。いわゆるプロ用の機材です。それに重さもハンパない。

そう考えると、自然光で明るい場所なら手持ちでも撮れるマイクロフォーサーズってかなり魅力的。というより、サンデーカメラマンとしてはこれしかないという気がします。

もちろんセンサーサイズが大きいほど解像感は高くなります。素人なりにですが、フルサイズ一眼を使うと空気感までも表現できるような気がします。でも子どもの行事での最優先を考えると、やっぱり我が子の表情なんですよね。

それに今や、マイクロフォーサーズのカメラだってAFの精度もスピードも向上し、自分のような素人ユーザーでもキレイな写真を撮れるようになっています。もしこれから、子どもを撮るためのカメラを検討するなら、マイクロフォーサーズおすすめです。

ただし、300mm(35mm換算で600mm)にすると、ほんのちょっと動かすだけで被写体を外してしまうので、やっぱり一脚か三脚を使うのがいいかも。

>> LUMIX

<取材・文/円道秀和(&GP) 撮影協力/パナソニック>

 

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