Appleは、Apple Watchユーザーが水泳中に溺れたり意識を失った場合、周囲のデバイスに通知を送信して救助を要請できる技術の特許を申請しました。この技術が実用化されれば、水泳中の死亡事故の減少が期待されます。
水中で意識を失った場合、4〜6分で死亡
Appleの特許申請書類によると、アメリカ国内では年間3,500名以上が溺死により命を落としており、不慮の事故による死亡としては5番目に多いそうです。
一般的な人は水中で息を止めていられる時間は30秒間ほどで、健康度が非常に高く水中活動のトレーニングを積んだ人でも2分間が限度です。4〜6分間、水中で息をできずにいた後に適切な回復処置がとられない場合、脳にダメージを負い、溺死に至る場合があります。
水泳中の異常を検出、周囲に助けを求める特許
Appleが申請した特許は、水泳中に異常が発生したことをApple Watchが検出し、近くのデバイスに通知する技術に関するものです。
この技術は、単独で動作するだけでなく、水泳プールの監視用カメラシステムと連携して動作させることも可能です。
Appleが提出した特許申請書類によると、Apple Watchに内蔵された各種センサーを用いて、ユーザーの動きから泳いでいるかどうかを判定し、泳いでいる最中に異常がみられないかを検出します。
ユーザーの動き、心拍数や血中酸素濃度で異常を検出
Apple Watchは、機械学習モデルを用いて、ユーザーの動作と生体情報を学習し、ユーザーの動きが通常の水泳にはないものと判断すると、近くのデバイスに通知を送信します。
Apple Watchの慣性センサーを用いて、手足の動きや姿勢から、ユーザーが意識を失っていたり溺れていると判断される場合や、小さな子供が間違ってプールの深い場所に入ってしまったと判断される場合、通知の対象となります。
Apple Watchの心拍数や血中濃度センサーを用いて、溺れてパニックに陥いることで心拍数が急上昇したり、呼吸ができずに血中酸素濃度が低下した場合なども、異常と検出して通知の対象となります。
Apple Watchが異常を検出すると、近くにあるスマートフォンやスマートウォッチ、コンピュータに無線信号を送信し、音声や振動で救助を求めます。
アメリカとは異なる日本の溺死の実情
厚生労働省が公開している人口動態調査によると、日本では2022年の1年間に、8,677人が溺死により亡くなっています。
そのうち約77%にあたる6,677人は浴槽での溺死であり、浴槽での溺死者のうち約95%は65歳以上の高齢者が占めています。
つまり、日本では、お風呂で溺れて亡くなってしまう高齢者が多いことがわかります。
この特許技術が実用化され、入浴中にApple Watchを装着するユーザーが増えれば、お風呂での溺死事故を防ぐことも期待されます。
フィットネスジムなどのプールでは、Apple Watchなどスマートウォッチの装着が認められていない施設もありますが、今後は許可される施設が増えることも期待したいところです。
さらに多くの命を救えそうな新技術
Apple Watchはこれまでに、心拍数の異常通知により多くのユーザーの命を救っているほか、比較的新しく追加された機能である転倒検出機能や、自動車事故の検出機能によっても、多くのユーザーを救っています。
この機能が実用化され、さらに多くの人の命を救うことができることを願うばかりです。
Source: PatentlyApple, e-STAT(人口動態調査)
Photo: Apple
- Original:https://iphone-mania.jp/news-578232/
- Source:iPhone Mania
- Author:hato
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