児童労働問題の解決にも一手、パパママショップ経営者の働き方を変えるバングラデシュのオンライン卸売「PriyoShop」

南アジアと東南アジアの境目の国バングラデシュの国土面積は、14万8500平方キロメートル。日本の約4割程度だが、その中に何と1億7000万人の国民が住んでいる。

人口密度ランキングで世界トップ10に入るバングラデシュの実体経済を支えるのが、個人経営の売店である。

日本のキオスクを一回りほど大きくした規模の店では、食料品や日用品が売られている。ショッピングモールの地下にあるスーパーマーケットで買い物をするのは富裕層か外国人。庶民は昔から付き合いのある近所の売店であらゆるものを購入する。

Image Credits:PriyoShop

バングラデシュにおけるこうした伝統的小売店舗の近代化を目指すスタートアップがPriyoShopだ。

切ない内容のプロモーション動画

PriyoShopは、卸売業と倉庫業と配送業を足して3で割ったような事業を展開している。

まずは下のPriyoShopのプロモーション動画をご覧いただきたい。英語の字幕があるため内容の把握に困ることはないだろう。簡単にまとめると「PriyoShopアプリがあるとき・ないとき」の落差を訴求する内容だ。

主人公はとある売店の主人。買い物に来た客の目当ての品物が店になかった。やむを得ず「今は在庫切れなんだ」と客に伝えると、客は「品ぞろえが悪いな」と言い残して去ってしまう。

落ち込む店主がふと道路を挟んだ向かいの店に目をやると、どういうわけかいつでも豊富な在庫をそろえている。客もひっきりなしに訪れて、かなり繁盛しているようだ。

ここで店主の息子が登場。「学校に行ってくるね!」と朗らかに言うのだが、市場に仕入れに行かなくてはならない主人は苦い顔で「ダメだ。お前は店番をしていなさい」と告げざるを得ない。

足を棒にしてようやく必要な商品を手に入れても、今度は仕入れた商品を店まで運ぶ過程が待っている。通りすがりのリアカー自転車を捕まえて、荷台に商品を積んで復路を行く。店に着く頃には、すっかり日が傾いている。

憂鬱な毎日を過ごす店主の目に、再び向かいの店の様子が映る。赤い塗装のトラックが大量の商品を納入している。ここで店主が「あれは一体何だ?」と聞いたことで、PriyoShopが運営するスマホアプリの存在を知る……というストーリーだ。

Image Credits:PriyoShop

極めて簡単な操作で商品を発注でき、しかも配送料は無料。これがあれば、商品の在庫を手軽に補充できる。主人公はPriyoShopのプラットフォームに登録することにした。ここから彼の生活、そして店自体が劇的に変わる。在庫は潤沢になり、客の急な要望に応えられるようになった。何より、息子に店番をさせる必要もなくなったのだ。

個人経営店舗の「働き方改革」

Image Credits:PriyoShop

個人経営の売店は、あらゆる業務を店主が自分でやらなければならない。

動画にもあるように、在庫を切らしたら自分自身の足を使って補充するしかない。市場へ赴き、そこにいる各卸売業者に必要な品があるかどうかを聞いて回る。動画の主人は日中にこの業務を行っていたが、実際は日の出前の早朝に動かなければいけないはずだ。

が、在庫管理とその発注をスマホでできるようになれば、店の主人にも「働き方改革」が訪れる。これは何十年も、場合によっては19世紀から代々その地域で営業を続けている伝統的零細店舗の保護にもつながっている。

シリーズAでドバイVCから500万ドルの資金調達

Image Credits:PriyoShop

今年2月、PriyoShopはドバイに拠点を置くCentury Oak Ventures主導によるプレシリーズA投資ラウンドで500万ドルの資金を調達した。PriyoShopの社会的意義が国際的に認められた証である。

バングラデシュの小売事業の売上高の約97%は、動画にあるような“パパママショップ”が担っている。こうした事業者の負担軽減は、彼らの子供たちにも多大な影響を及ぼす。児童労働の原因の大半は、親がいくら働いても豊かになれないことに由来するからだ。

そんな社会問題さえも一挙に解決してしまう話題のスタートアップPriyoShop。さらなる成長が期待される。

参照:PriyoShop

(文・澤田 真一)


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