コンゴ民主共和国、Appleに紛争鉱物の使用をやめるよう強く要請

携帯電話やコンピュータの製造に欠かせない3T鉱物(スズ、タングステン、タンタル)の原産地として知られるコンゴ民主共和国は、採掘過程において暴力が介在するいわゆる「紛争鉱物」の問題に長年悩まされてきました。同国は国際的法律事務所とパートナーを組み、Appleを始めとした企業に紛争鉱物の使用をやめるよう求める声明を発表しました。

コンゴ産の紛争鉱物がルワンダ産として偽装販売

コンゴ政府は4月25日、ロンドンとワシントンD.C.にオフィスを構えるAmsterdam & Partnersと共にAppleのティム・クック最高経営責任者(CEO)を名指して批判する強い声明を発表しました。

Appleのサプライチェーンは、コンゴから略奪された血塗られた鉱物に汚染されている。

Amsterdam & Partners

Amsterdam & Partnersが公開した報告書によれば、コンゴ東部で鉱物をめぐる虐殺が起こっており、紛争鉱物がルワンダ産として洗浄され大手ハイテク企業に販売されているとのことです。

実際には、ルワンダの3T鉱物の産出量はほぼゼロであり、生産地偽装が行われているのは明らかというのがざっくりとした主張内容となっています。

Appleが使用する鉱物は紛争フリーだったはずでは?

Appleが使用する鉱物はすべて紛争フリーのようなイメージがありますが、実際にはどうなのでしょうか。

Appleは「サプライチェーンにおける人と環境進捗報告書」という資料を公開していますが、その中に紛争鉱物についてさらに詳しく記した「紛争鉱物報告書」というものがあり、次のように記載しています。

Appleはコンゴ民主共和国を含む鉱山地域から産出された鉱物を使用しているものの、一次鉱物を直接購入、調達することは行っていません。しかしながら、同社は国際的に認められたデューデリジェンス基準を満たす一次鉱物およびリサイクル素材を使用しています。

Conflict Minerals Report 2023 – Apple

一見Appleは問題のない鉱物を使用しているかのようですが、Amsterdam & Partnersによれば、その主張は具体的で検証可能な証拠に基づいているようには見えないとのことで、紛争鉱物が紛れ込んでいる可能性が高いそうです。

コンゴはAppleを提訴することも辞さない構え

コンゴ民主共和国は紛争鉱物が採掘地域の一般住民に計り知れない被害と苦痛を与えていると主張しており、Amsterdam & Partnersを介して紛争鉱物に関与する個人および企業に対して訴訟および交渉を行うとのことです。

あえてクックCEOの名前を出して声明を公開したことにどのような意図があるのかはわかりませんが、もしAppleが紛争鉱物を使用しているのが事実だった場合、同社には然るべき対応を行ってほしいと願うばかりです。

Source: Amsterdam & Partners, Apple


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