米ペット市場活況、ケアアプリやウェアラブル機器で健康管理

アメリカでペット関連支出が伸びている。米国労働統計局の調査では、2013年のペット関連支出は578億ドルだったが、2021年には大台を突破して1028億ドルを記録。この数字は、同年のアルコールへの支出(738億ドル)や女性の衣料品への支出(879億ドル)より多い。

同国では特に犬の人気が高く、飼育している世帯は4900万世帯にも上る。ほかのどの動物よりも多く、2位の猫(2820万世帯)を大きく引き離している(参考)。

さらに言えば、アメリカの全世帯数は約1億3000万なので、10世帯につき3世帯以上が犬を飼っている計算だ。この数字は日本と比べてもかなり高い。2021年、日本における世帯数は約5191万で、約600万匹の犬が登録されていた。1世帯に1匹と仮定しても、愛犬がいるのは10世帯に1世帯程度にすぎない。

さて、アメリカでの“犬人気”を踏まえたうえで、関連するテックサービスのトレンドをみていこう。

犬を飼うとなると散歩や食事などの世話が欠かせないが、家族間で「散歩に行ったかどうか」や「食事をあげたかどうか」などその都度の情報共有を確実に行う必要がある。また排尿・排便や投薬、ときにはワクチン接種などについても記録し、健康管理もしっかり行いたいところだろう。こうした情報共有や健康管理を日常でシンプルに行えるDogLogというアプリがある。

愛犬の健康・食事・散歩などを記録できる「DogLog」

Image Credit:DogLog

DogLogは、2017年にLynn Marks氏と彼女の父親であるGideon Marks氏、彼女のきょうだいであるRon Marks氏によって設立された家族経営のスタートアップだ。

Image Credit:DogLog

以前、彼女らは犬を飼っていて、愛犬に関する情報を共有するのに付箋やテキストメッセージを使っていた。愛犬が長時間散歩に出られなかったり、食事を2回あげてしまったりといった事態を防ぐためだ。そして、このような情報共有をもっと簡単にすべく、ペットケアアプリのDogLogを開発した。

Image Credit:DogLog

DogLogは、食事や散歩など日々の世話から始まり、排尿や排便、体温や睡眠、そして投薬や歯磨きに至るまで、さまざまな記録をつけることができる。「食事」の記録ひとつ取っても、「通常の食事」「おやつ」「水」と細かく分かれている。

筆者撮影

デフォルトではないタスク(例:爪切りといったもの)を自分で追加できる柔軟性も見逃せない。食事や散歩、動物病院に行くスケジュールなど、リマインダーも設定可能だ。

そして何より、家族などにアクセス権を与えれば、情報をリアルタイムで共有できるのだ。これで、散歩に行きそこねたり、食事をあげすぎたりといった事態を避けることができる。

家族以外への情報共有も簡単に行えるので、ペットシッターに愛犬の世話を任せたい場合も、食事・散歩・投薬などの申し送りに時間を取られることもない。

筆者撮影

基本的な機能は無料。有料会員になるとワクチン接種や血糖値の記録などもつけられるようになるほか、データをエクスポートして獣医にも簡単にシェアできるという。

また、DogLogは利便性を提供するだけではなく、愛犬との日常を思い出深いものにもしてくれる。SNSのように、愛犬の写真をアップしたり、コメントをしたりする機能も備えているのだ。

便利なだけでなく、愛犬との生活に潤いも与えてくれるDogLogは、2024年現在ダウンロード数が13万件を超えている。

ウェアラブル機器でさらにユーザーを増やせるか

Image Credit:DogLog

DogLogはダウンロード数が13万回を超えたとは言え、犬を飼っている世帯数(4900万)を考えると、今後さらに伸びしろはありそうだ。家族間で愛犬の情報を共有するなら、なおさらである(家族のメンバーが各自のスマートフォンにアプリをダウンロードする必要があるため)。

そこで鍵になりそうなのが、ペット用ウェアラブル機器だ。DogLogは愛犬に関するさまざまな記録をつけられるものの、すべて手入力。人間がスマートウォッチで一日の心拍数や歩行距離などを自動的に記録できるのとは勝手が違う。入力を間違えたり、忘れてしまったりすることもあるだろう。

もしウェアラブル機器で自動的に記録できる項目が増えれば、さらに多くの新規ユーザーを取り込める可能性があるかもしれない。

ペット用ウェアラブル機器は、すでに製品になっているものもある。たとえばアメリカのBarking Labs社は「スマート首輪」を販売。アプリと連動して、歩数や睡眠を自動的に記録してくれるという。

日本でも「PetVoice」という首輪型の機器があり、愛犬に着用させれば食事回数、水飲み回数、トイレの回数に始まり、活動量、安静時呼吸数に至るまで見守ってくれる。

さらに、愛犬の「心」をモニタリングする「イヌパシー」なる製品まである。心拍リズムと犬の気持ちを関連付けて分析するアルゴリズムは、日米で特許取得済みだ。

こうしたペット用ウェアラブル機器の市場は、今後も拡大が見込まれている。Grand View Researchの調査報告によると、市場規模は2023年(27億ドル)から2030年まで年平均14.3%で成長する見込みだ。

DogLogに話を戻すと、CEOのLynn氏は、みずからレビューやメールなどへの返信も担当している。実際、Google Playのレビューには、同氏の名前入りの返信がいくつも見られる。まさに「顧客の声を聴いている」姿勢がみてとれるのだ。

活況のペット市場、トレンドアプリの行く末に今後も期待したい。

参考・引用元:DogLog

(文・里しんご


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