1800年代後半に創業したスウェーデンのMAX SIEVERT社が1955年に発表。以来、基本構造をほぼ変えることなく今も発売されている超ロングセラーが、加圧不要の小型ガソリンストーブ「123Rスベアストーブ」(2万1780円)です。1969年に“スベア”ブランドはオプティマス社に買い取られ、徐々に市場から姿を消していったのですが、この「123Rスベアストーブ」は別。
▲「123Rスベアストーブ」(左)と燃料ボトル(タクティカルフューエルボトルM)を取り付けたオプティマスの分離型ガソリンストーブ「ノヴァストーブ」(右)。大きさの違いは一目瞭然
“タンク一体型でコンパクトかつ加圧不要”、“だれもが手軽に使える”、“使い込むと独自の風合いが出る美しいソリッドブラス”。三拍子そろった名作ですから、アウトドアシーンでの燃料が液体燃料からガスへと移行している激動の時代をサバイブしているのも当然といえば当然でしょう。
そんな名作ですから店頭で一度は目にしたことがあるはず。ですが、実際に手にして使ったことのある人はそう多くはありません。&GPスタッフもそう。
何度か使った経験があっても、正しい手順ができているかどうかはあやふやなので、この機会に「123Rスベアストーブ」の使い方をおさらいしてみました。
■三脚まで付いているオールインワン!
タンクと一体型のバーナーであり、三脚や風防まで付属しています。アルコールストーブとは違い、余った燃料を入れたまま持ち運べるのも便利なポイントのひとつ。
▲左から、風防に被せることで燃焼部の保護カバーにもなる小鍋とハンドル、調整キー、風防を取り付けて三脚を広げた本体
火入れOKのサンプルを借りました。新品はピッカピカで触れるのもためらわれますが、何度も使うとこの通り。味わい深い色になります。自分色になる、これぞ醍醐味。
風防に取り付けてある三脚はくるくる回転するので、付属の小鍋を載せるときは内向き、フライパンやケトルなど底がちょっと大きな鍋は外向きにすると安定します。
ちなみに調整キー(鍵のようなレバー)は、本体の首や風防に引っかけてギュッとSカンを閉じれば紛失の心配がないのですが、撮影用サンプルなので外したままにしています。
中身を確認したら、いよいよ着火スタート!
①タンク内にホワイトガソリン、タンクの上にはジェル着火剤
▲キャップ、バルブが閉じていることを確認したら、くぼみを一周するくらい着火剤を載せる
風防を外し、調整キーをスピンドルに差し込んで時計回りに回して閉じていることを確認してからキャップを外し、ホワイトガソリンを注入。フィラーを使ってこぼさず注ぎましょう。タンク容量は180mlですが、燃料は120mlが上限なのでタンクを少し揺らして液面が見えれば注入終了。
キャップを閉じたら、今度はタンク上のくぼみにジェル状着火剤をオン。これはプレヒートのための準備です。
②ジェル着火剤を燃やしてプレヒート
▲ジェル着火剤に点火
ライターやマッチを使ってジェル着火剤を燃やします。説明書では風防を外して着火していますが、火口が長く伸びるライターであれば風防を取り付けてから着火するほうが安全です。
▲あたためてタンク内圧を高める
プレヒートの時間は約1分。着火剤が消えるまでしばし、慌てず待ちましょう。
③調整キーを操作して着火
▲調整キーを六角形のスピンドルに取り付けて開放
調整キーでスピンドルをひねると、気化したホワイトガソリンが噴き出します。
▲気化したホワイトガソリンに火を近づける
自動点火装置なんてものはないので、調整キーをまわしたたままマッチやライターの火を近づけて着火します。先に火を付けたライターを近づけた状態でキーを回したほうがより安全です。
▲最大出力は約1200kcal
着火完了。ガソリンストーブならではの燃焼音が耳に心地よい! ちなみに「123Rスベアストーブ」はゴーッという一定の音ではなく、ブルルル・ブルルルというリズムがあり“プロペラ”と例える人が多いようです。燃料が少なくなるとプロペラっぽさが際立つので機会があればぜひ確認してください。
ちなみに調整キーは付けたまま調理します。調整キー自体が高温になるので注意が必要ですが、開け方次第で弱火〜強火まで調整できますよ。
公式スペックでは1Lの水を沸騰させるのにかかる時間は7分。今どきのパワフルな小型ガスストーブに比べるとちょっと遅く感じるが、なんでもかんでも速ければいいってわけでもありません。プロペラ音を聞きながら湯沸かしを待つひとときは、なんだか贅沢な時間に感じるのですから。
④消火は調整キーを時計回りに回すだけ
最後に消火についてですが、調整キーを時計回りに回してバルブを閉じるだけ。タンクが冷えたらキャップをゆるめて圧力を開放すれば終了です。
最新バーナーとは違ってプレヒートが必要だし、沸騰までの時間がややかかるし、自動着火装置やレギュレーターなんてものも付いていません。
その代わり、シンプルな構造でちょっとくらい雑に扱っても壊れにくいというタフさを備えています。レトロで味わい深いルックスのためコレクターもいるようですが、現代でも十分使える実用品。操作だって思っている以上に簡単です。
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/601689/
- Source:&GP
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