【GP2024上半期AWARD】
かつては環境や燃費のために快適性や走行性能を我慢するというイメージの強かったエコカーだが、近年は選択肢も豊富になり、快適性や走りを楽しめるモデルも増加。特殊な乗り物ではなく、普通のライフスタイルに取り入れられるものになっている。
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世界的に電気自動車(EV)の販売減速が報じられているが、少しでも早いタイミングでのカーボンニュートラル実現が目標である以上、現状で最も効率的な選択肢であるEVがエコカーの主役である状況は変わらないと思われる。今後はハイブリッドや、将来的な選択肢としての燃料電池車の開発も進めながらラインナップを揃えていくことが普及の鍵となりそうだ。
そんな中、注目されるのは日産「アリア」の全グレードが出揃ったこと。大きな期待を集めながら、半導体不足などによる受注停止期間を経てのリリースだけに待望していた人も多いことだろう。十分な航続距離を実現し、ハンズオフでの運転も可能な「プロパイロット2.0」も組み合わせられるなど、我慢を強いられない新世代のエコカーといえる。
一方で、商用車にカテゴライズされる軽バンでもEV化の流れが強くなってきている。以前から市場には存在し、日本郵政などにも採用されているが、ここにきて各社が相次いで参入を表明。ルックス的にも商用車の枠に留まらないモデルが加わってくる見込み。スペース効率が高く、アウトドアや車中泊などの趣味にも使えるカテゴリーだけに選択肢が増えれば、エコカーがより面白くなるに違いない。
カーグッズライター/増谷茂樹さん
クルマ、バイク、自転車などタイヤが付いている乗り物について取材・執筆を続けているライター。環境系メディアでの執筆経験も多く、電気で動くモビリティが好み
【GP2024上半期AWARD】
ー乗り物部門・エコカーー
<大賞>
■期待のEVが全グレード揃って発売に
日産
「アリア/アリア NISMO」(659万100円~)
国産EVの本命とも言えるモデル。スポーティな NISMOのB9グレードでは435馬力を発揮するモーターを搭載し、加速レスポンスやe-40RCEも専用チューニングとされ、俊敏な走りが味わえます
2021年の特別限定車の受注を開始し、2022年に2WDのB6グレードを発売するも受注を停止していたが、今年3月に全グレードの販売がスタート。バッテリー容量を増した B9グレードや、4WDモデルも登場し、5つのグレードが揃う。6月からは専用の加速チューニングなどをほどこされた「アリア NISMO」も発売され、国産EVの選択肢を一気に拡げた。
▲最上級グレードにはステアリングなどを制御する運転支援システム「プロパイロット2.0」が標準装備される
▲バッテリー容量は66kW(B6)と91kW(B9)の2種類。満充電での走行距離は470km〜640km(WLTCモード)
▲4WDモデルは電動4輪制御技術e-4ORCEを採用。前後2つのモーターを搭載し、駆動力を自動配分することで走破性とコーナリング性能を高める
<インポート賞>
■新世代MINIのEVモデルが誕生
BMW
「MINI ACEMAN」(491万円~)
MINIにも電動モデルは存在しましたが、EV専用モデルが用意されるのは初。円形のセンターディスプレイがタッチパネルとされるなど、インテリアもMINIらしい
新たに登場したMINIのEV専用モデル。愛らしいルックスは同ブランドの伝統を継承するものだが、ヘッドライトが多角形とされるなど随所に革新的な要素が採用されている。グレードはEとSEの2種類で航続距離はそれぞれ310kmと406km。
▲バッテリー容量はEが42.5kWhでSEが54.2kWh。最高出力は135kWと160kWとなっている
▲「MINI COUNTRYMAN」、「MINI COOPER」に続くMINIの新世代モデルとして生まれた「MINI ACEMAN」
<ハイブリッド賞>
■独自の2モーターハイブリッドがさらに進化したSUV
ホンダ
「VEZEL」(288万8600円)
前モデルに比べてEV走行領域が拡大され、エンジンがかかる頻度が減ったため、エコカーとしての魅力が増しました
SUVの人気モデルだが、実は販売の9割はe:HEVと呼ばれるハイブリッドモデルが占めている。今年のマイナーチェンジでバッテリーの使用範囲を8%拡大し、EV走行の可能な領域が増え、さらにエコカーとして進化した。
▲基本的にエンジンを発電機として使用し、駆動はモーターで行う。高速域のみエンジンを用いた駆動を行う効率的なシステムだ
<プラクティカル賞>
■軽バンの世界にもEV化のトレンドが
日産
「クリッパー EV」(286万5500円)
商用車のイメージが強い軽バンですが、スペース効率に優れ、維持費も安いことから近年は個人ユースも広がっています
日産は軽バンのEVモデルも販売を開始。車体は三菱自動車によるOEMだが、このクラスにはホンダも「N-VAN e:」を年内に導入予定。トヨタ、ダイハツ、スズキの3社も共同で軽バンタイプのEVを手掛けている。実用性の高いカテゴリーだけに、EV普及の強力な後押しとなりそうだ。
▲ホンダの「N-VAN e:」は10月10日に発売予定。商用車だが、ホビー用途でも活躍しそう
▲トヨタ、ダイハツ、スズキの3社が共同開発したEVシステムを搭載した軽バンも導入が見込まれる
■燃料電池車も近々登場予定
ホンダ
「CR-V e:FCEV」※年内販売予定
ホンダは新型の燃料電池車も用意していて、すでに米国で生産が開始されている。外部から充電可能なプラグイン機構も備え、EVと燃料電池車のメリットを併せ持つ。年内を目処に日本と米国で発売を予定している。
▲燃料電池を駆動させる水素のタンクと、容量の大きなバッテリーをどちらも搭載する
※2024年7月5日発売「GoodsPress」8・9月合併号46-47ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/増谷茂樹>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/615516/
- Source:&GP
- Author:&GP
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