Googleがスマートフォン、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンの最新モデルを一挙に発表しました。
スマートフォンは「Google Pixel 9」「Google Pixel 9 Pro」「Google Pixel 9 Pro XL」「Google Pixel 9 Pro Fold」の4モデル。スマートウォッチは「Google Pixel Watch 3」で41mmと45mmの2サイズから選べます。ワイヤレスイヤホンは「Google Pixel Buds Pro 2」が登場します(以下、製品名から「Google」を省略)。
■スマートフォンは4モデルが登場
▲左からPixel 9、Pixel 9 Pro、Pixel 9 Pro XL
Pixel 9は「Pixel 8」、Pixel 9 Pro XLは「Pixel 8 Pro」の後継モデル。なお、Pixel 9 Proは、Pixel 9と同等のサイズで、Pixel 9 Pro XLと同等の性能を備えた新モデル。つまり、Proシリーズが2サイズ展開になったわけです。iPhoneに例えると、Pixel 9 ProがiPhone 15 Pro、Pixel 9 Pro XLのiPhone 15 Pro Maxに競合する位置付けと言っても差し支えないでしょう。
▲Pixel 9 Pro Foldの折りたたみ時
Pixel 9 Pro Foldは、昨年Google初の折りたたみスマホとして発売された「Pixel Fold」の後継モデル。機種名は「Pixel Fold 2」になるかと思いきや、Pixel 9シリーズに統括される名称になりました。
▲開くと8インチの大画面を利用できる
4機種は8月14日に予約受付を開始。そのうちPixel 9とPixel 9 Pro XLは8月22日に発売。Pixel 9 ProとPixel 9 Pro Foldは9月4日より順次発売されます。各モデルのGoogleストアでの販売価格は下記の通り。なお、従来通り、ドコモ、au、ソフトバンクも取り扱います。
Google Pixel 9:12万8900円〜
Google Pixel 9 Pro:15万9900円〜
Google Pixel 9 Pro XL:17万7900円〜
Google Pixel 9 Pro Fold:25万7500円〜
短い時間ながら、いち早く実機に触れることができたので、ファーストインプレッションを交えて紹介します。
■カメラとAIが進化したPixel 9
Pixel 9は4機種の中では最も安いモデルながら、 プロセッサーは他の3機種と同じ最新の「Google Tensor G4」を搭載。RAM(メモリ)も12GBあり、パワフルな仕様を備えたハイエンドモデルです。ストレージ(ROM)は128GBと256GBの2モデルが用意されます。
▲カラバリは4色
ディスプレイは6.3インチで、解像度は1080×2024ドット。本体の横幅が72mmに抑えられていて、片手でも操作しやすいことが利点。カラーはObsidian、Porcelain、Wintergreen、Peonyの4色。WintergreenとPeonyは、従来モデルにはなかった鮮やかな色で人気を集めそうです。
▲サイズは152.8×72.0×8.5mmで、重さは198g。片手持ちでも扱いやすい
Google Tensor G4は、前世代に比べてWebのブラウジングが20%、アプリの起動が17%速くなっているとのこと。Googleの生成AI「Gemini」のレスポンスも向上し、日常的によく使う機能における消費電力効率も向上しています。
バッテリー容量は4700mAhで、通常使用で24時間以上の連続駆動が可能。「スーパーバッテリーセーバー」に設定すると、最長100時間の連続使用を見込めます。急速充電に対応し、約30分で55%まで充電できることも魅力。ただし、充電器は付属していません。
▲背面にデュアルカメラを搭載。超広角カメラはマクロフォーカス付き
リアカメラは従来モデルと同様に背面のカメラバーに搭載。広角(50メガピクセル/F値1.68)+超広角(48メガピクセル/F値1.7)の2眼で、画質劣化が補正される超解像ズームで最大8倍まで撮影できます。フロントカメラは10.5メガピクセル/F値2.2で、オートフォーカスに対応し、より鮮明な画質で撮れるように進化を遂げています。
Pixel 9シリーズに共通する新機能として「一緒に写る」も搭載。これは、家族や友達と一緒に集合写真を撮りたい場合に、まず、撮影者以外を撮影し、続いて、撮影者を交代して撮影すると、全員が写った写真に合成される機能。実際に体験させてもらったところ、合成されたことがわからないほど、自然に見える一枚になっていました。
▲3人でグループ写真を撮りたい場合に、まず2人を撮影する
▲続いて、撮影者を交代して撮影する
▲3人が写った写真が合成される
AIを用いた画像編集機能も進化。写真の被写体の大きさを変えたり、移動させたりできる「編集マジック」には「オートフレーム」という機能を追加。例えば、人物に寄って撮影したが背景もしっかり見せたい、SNSに正方形の写真を投稿したいが、左右または上下の背景が足りないといった場合に、ナチュラルに見える背景を生成してくれるもの。これも、どこも破綻せずに、自然な背景が拡張されて驚かされました。
▲竹林で撮影した写真を「フォト」で表示させて「編集」→「編集マジック」→「オートフレーム」に進む
▲背景が拡張された写真など、複数のフレームが提案される
■Pixel 9 Pro/9 Pro XLは動画を撮る人にオススメ
Pixel 9 ProとPixel 9 Pro XLの最大の違いはディスプレイ。Pixel 9 Proは6.3インチ(1280×2856ドット)、Pixel 9 Pro XLは6.8インチ(1344×2992ドット)のディスプレイを搭載。
▲左がPixel 9 Pro。サイズは152.8×72.0×8.5mmで、重さは198g。右はPixel 9 Pro XL。サイズは162.8×76.6×8.5mmで、重さは221g
▲左がPixel 9 Pro、右がPixel 9 Pro XL。背面のデザインも共通
Pixel 9 Proは下位モデルのPixel 9とほぼ同じサイズ感で、重さも1gの差しかありません。Pixel 9 Pro XLは広くて見やすい画面が魅力ですが、横幅が76.6mmあり、重さも221gあるので、扱いにくく感じる人もいるでしょう。ちなみに、新たにラインナップに加わったPixel 9 Proは、特に日本のユーザーからの希望が多く、導入が決まったそうです。
プロセッサーはGoogle Tensor G4で、RAMは12GB。どちらのモデルもストレージは128GB、256GB、512GBの3モデルが用意されます。カラーはObsidian、Porcelain、Hazel、Rose Quartzの4色展開。 Pixel 9よりは落ち着いた印象のカラバリです。
▲カラバリは4色
両モデルのもうひとつの差分がバッテリー。Pixel 9 Proは4700mAh、Pixel 9 Pro XLは5060mAhのバッテリーを内蔵。どちらも1日中使えて、省電力モードに設定すると最長100時間持続することは同じですが、充電速度に差があります。Pixel 9 Proは約30分で55%まで、Pixel 9 Pro XLは約30分で70%まで充電できるそう。ただし、充電器は同梱されていません。
リアカメラは、広角(50メガピクセル/F値1.68)+超広角(48メガピクセル/F値1.7)+望遠(光学5倍/48メガピクセル/F値2.8)の3眼で、超解像ズームでは最大30倍までの撮影が可能です。
▲Pixel 9 Pro/9 Pro XLは、高性能なトリプルカメラを搭載
クラウド上のAIで動画をきれいに補正してくれる「動画ブースト」機能は8Kに対応。超解像ズーム機能が動画でも利用可能になり、「ビデオ夜景モード」も進化。動画を撮る機会は多い人は、使い勝手と画質の向上を期待してよさそうです。
フロントカメラは42メガピクセル/F値2.2。Pixel史上最高の解像度となり、画角も103°と、Pixel史上最高の広さになっています。
カメラ性能を重視する人、とりわけ動画を撮る機会が多い人は、Pixel 9ではなく、Pixel 9 Pro/9 Pro XLを選んだほうが満足度は高いでしょう。コンパクトなボディに高性能がトリプルカメラを搭載するPixel 9 Proは、背面のカメラの存在感が強くなるすぎるのでは? と心配していたのですが、Pixel 9 Pro XLと同様にバランスよく見えるようにデザインされていました。
Pixel 9 Pro/9 Pro XLは「Google One AI プレミアム プラン」が6ヵ月付属していて、Googleの最も高性能なAIモデル「Gemini Advanced」を無料で使えることも利点。2TBのストレージも含まれており、GmailやGoogleドキュメントなどをGeminiを使って要約することも可能。ただし、このプランに加入しなくても、Geminiのベーシックな機能は利用できるので、ぜひとも試してみたいという人を除けば、さほど重視する必要はないでしょう。
■史上最薄を実現したPixel 9 Pro Fold
Googleの折りたたみスマホ第2弾として発表されたのがPixel 9 Pro Fold。折りたたみ時のサイズは155.2×77.1×10.5mmで、開いたときの厚さは5.1mm。Googleによると「最も薄い折りたたみ式」とのこと。競合といえるサムスンのGalaxy Z Fold6は、折りたたみ時のサイズが153.5×68.1×12.1mmで、開いたときの厚さは5.6mmなので、薄さではGalaxyの最新モデルに勝ります。ただし、横幅はGalaxyのほうがスリムで、重さもGalaxyが239gであるのに対して、Pixel 9 Pro Foldは257gあります。
Pixel 9 Pro Foldは折りたたみ時には6.3インチ(1080×2424ドット)のカバーディスプレイを利用可能。前モデルの縦横比は17.4:9でしたが、Pixel 9 Pro Foldは20:9になり、閉じた状態ではPixel 9と同じような感覚で操作できるようになっています。
▲折りたたみ時のホールド感は一般的なスマホに近いが、やや重い
▲ヒンジには航空宇宙グレードの強化アルミニウム合金カバーを備えた多相合金スチールを使用
開いたときに使うメインディスプレイは8インチで、解像度は2076×2152ドット。正方形に近い縦横比で、前モデルよりも広く使えることが利点。2つのアプリを同時に使うマルチウィンドウや、半分まで開いてビデオ通話をしたり、カバーディスプレイとメインディスプレイを同時に使って「リアルタイム翻訳」を利用したりといった、2画面の使い勝手が向上していることを期待できそうです。
▲このようなデスクトップスタイルでも使える
2画面を使う新たな機能として追加されたのが「こっちを見て」機能。開いた状態でリアカメラで撮影する際に、カバーディスプレイにアニメーションを表示させて、被写体に目を向けさせる機能。子どもを撮影する際に役立ちそうです。
プロセッサーはGoogle Tensor G4。RAMは他の3機種よりも多い16GBが搭載されています。ストレージは256GBと512GBの2タイプ。カラバリはObsidian、Porcelainの2色から選べます。
▲カラバリは2色
リアカメラは広角(48メガピクセル/F値1.7)+超広角(10.5メガピクセル/F値2.2)+望遠(光学5倍/10.8メガピクセル/F値3.1)。超広角カメラはマクロ撮影にも対応。超解像ズームは最大20倍まで撮影できます。Pixel 9 Pro/9 Pro XLよりは低いスペックですが、それでも普段使いには十分以上の性能を備えています。
▲カメラは2列配置になった。このデザインは好みが分かれそうだ
閉じた状態で自分撮りやビデオ通話に使えるフロントカメラ(10メガピクセル/F値2.2)と、開いた状態でビデオ通話などの使えるインナーカメラ(10メガピクセル/F値2.2)も搭載されています。
バッテリー容量は4650mAhで、一般的な使い方で24時間以上の連続駆動を見込めます。省電力モード設定時の駆動時間は最長72時間。急速充電にも対応していますが、Googleのスペックシートによると「数分で数時間分充電」となっており、実際にどれくらいの速度で充電できるかは、実機で試す必要がありそうです。
AIを用いたさまざまな便利機能は、他の33機種と同じように利用可能。前モデルから着実に進化させつつ、価格は4500円しか上がっていません。Pixel 9 Pro/9 Pro XLと同じように「Gemini Advanced」を6カ月間無料で使うことも可能。これまでPixelを使っていて、初めて折りたたみ式を使ってみたいと考えている人には良い選択肢となりそうです。
■Googleデバイスとの連携を強化したPixel Watch 3
新しいPixel Watchの最大のトピックは2サイズから選べるようになったこと。前モデルのPixel Watch 2は41mmモデルだけでしたが、Pixel Watch 3は41mmモデルと45mmモデルの2サイズ展開。円形の曲面ディスプレイのデザインは継承していますが、ベゼルが細くなり、文字盤の面積は41mmサイズでは10%、45mmモデルでは40%も大きくなっています。
▲左が41mmモデル、右が45mmモデル
実際に腕に巻いてみたところ、45mmモデルは大きすぎるほどではないので、画面の見やすさを重視するなら45mmモデルを選ぶのが得策です。画面の明るさも向上しています。
▲41mmモデルを装着
▲45mmモデルを装着
電池持ちがよくなったことも魅力。両モデルともに常時表示で最長24時間、バッテリーセーバーモードで最長36時間の連続使用が可能。41mmモデルは約24分で50%、約60分で100%まで充電でき、45mmモデルは約28分で50%、約80分で100%まで充電できます。
Pixel Watchには、フィットネストラッカー「Fitbit」の機能が搭載されていて、運動を記録し、分析してくれることも利点。Pixel Watch 3では、特にランナー向けの機能が強化されていて、ランニング時の心拍センサーの精度が向上。ランの計画、実行、振り返りがスムーズに行えて、エナジースコア、有酸素運動負荷を記録する新機能が追加され、適切なランニングルーチンに導いてくれる趣向。さらに、有料プランの「Fitbit Premium」に加入すると、パーソナライズされたAIによるデータ分析やアドバイスも得られます。
▲ワークアウト画面のイメージ
他のGoogleデバイスとの連携性も進化。例えば、Google TVのリモコンがなくても、Watchの画面で操作可能。Google Homeにつながっているスマートデバイスを操作でき、例えば、Google Nest Camが捉えた来客の映像を確認したり、双方向で通話したりすることも可能。
▲監視カメラ「Google Nest Cam」と連携して使うことも可能
カラバリは、41mmモデルが以下の4タイプ
・Matte Blackアルミケース+Obsidianアクティブ バンド
・Polished Silverアルミケース+Porcelainアクティブバンド
・Champagne Goldアルミケース+Hazelアクティブ バンド
・Polished Silver アルミケース+Rose Quartzアクティブバンド
▲41mmのケースとバンドの組み合わせは4タイプ
45mmモデルは以下の3タイプ。
・Matte Blackアルミケース+Obsidianアクティブバンド
・Polished Silverアルミケース+Porcelainアクティブバンド
・Matte Hazelアルミケース+Hazelアクティブバンド
▲45mmのケースとバンドの組み合わせは3タイプ
Pixel Watch 3は8月14日に予約受付を開始し、
■Pixel Buds Pro 2は専用チップを搭載し、Geminiにも対応
ワイヤレスイヤホンの最新モデル Pixel Buds Pro 2は、従来モデルよりも軽く、小さくなり、装着感が向上していることが特徴。1個の重さは4.7g(Mサイズのイヤーチップ装着時)で、前モデルから1.5gの軽量化を実現。イヤーチップは4サイズが同梱されているので、最もフィットするものを選んで使えます。
▲前モデルのPixel Buds Proよりも小さく、軽くなり、音質向上が図られている
▲4500万以上の耳のスキャンから得られたデータをもとにデザインされている
イヤホン向けの専用のプロセッサーとして「Google Tensor A1」を搭載していることも特徴。スマホ向けのプロセッサーと同じチームが開発したもので、1秒あたり最大300万回の適応を実現。Googleの生成AI「Gemini」にも対応しています。
アクティブノイズキャンセリングありで最大8時間、充電ケース使用で最大30時間使えることもメリット。
カラバリはPorcelain、Hazel、
▲カラバリは4色だが、ケースは共通のようだ
* * *
新モデルをリリースするたびに注目を集め、日本市場でのシェアを拡大しつつあるPixelデバイス。今秋はラインナップが強化されたこともあり、昨年以上の注目を集めそうです。新モデル発売後の旧モデルの価格動向も注視したいところです。
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<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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