インドでは、農村部に向けた物流が社会的課題になっている。農村部では道路が舗装されておらず、商品の輸送が困難とされている。こうした農村部へ緊急物資を届ける手段としていま注目されているのが、ドローンによる空輸だ。
Techableで今年3月に取り上げたSkye Air Mobilityは、その後、今年6月にシリーズA投資ラウンドで400万ドルの資金調達を完了している。この資金は製品開発とインフラ投資に活用され、今後18か月で従業員を倍増(200人程度)する計画を立てているという。最長100km、最大50kgの物資を輸送可能
2019年創立のSkye Air Mobilityは、インド・グルガーオンに拠点を置くドローンスタートアップ。物資の輸送に特化したドローンの開発とその運用を手掛けている。
ネット通販で注文した商品の配送をはじめ、食品や医療品、さらには緊急物資の輸送まで想定して運用されているのが特長だ。輸送距離は最短3kmから最長100kmまで対応。これは、東京駅から房総半島最南端までの直線距離よりまだ長い程度である。さらに、Skye Air Mobilityのドローンは最大50kgの荷物を運ぶことができる。 この性能により、災害発生直後の対応においても十分な活用が期待されている。インドでも自然災害は頻繁に発生する。間近の災害といえば、7月に発生した南部ケララ州での土砂崩れだ。BBCニュースでは、救助隊ですらも容易に現場へ到着できないほどの過酷な状況であることが報じられた。
こうした被災地に、数十kg単位の緊急物資を輸送できるようになれば、大きな支援になるはずだ。
ドローン輸送が医療格差問題解消の鍵に
人口約14億人のインドでは国民の60%ほどが農村部に住んでおり、そのうち半数以上が「薬局や診療所が5km以内に存在しない」地域に住んでいるとされる。5億人以上に及ぶ人々に医薬品を迅速に届けるには、今ある道路を一刻も早く整備拡張するか、ドローンを活用することが現時点では有効と考えられている。
同社は実際にジャケットや給水チューブ、酸素キットなどの物資を被災地に輸送したことを報告。人命に関わる分野でのドローン活用が各地で熱望されているなか、緊急時の物資支援に対応できる性能をもつSkye Air Mobilityは存在感を示している。なお、Skye Air Mobilityの製品はすでに2,150回のフライト、1万1,500kmの飛行距離、そして7,500kg分の配送を達成している。その実績を背に、Skye Air Mobilityは今回シリーズA投資ラウンドでの資金調達を完了した。
参考・引用元:Skye Air Mobility
(文・澤田 真一)
- Original:https://techable.jp/archives/243537
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:澤田真一