胴体と上翼の合体!0.2mmピアノ線を使い張り線を再現【達人のプラモ術<ブリストル・ブルドックMkⅡ>】

【達人のプラモ術】
エアフィックス
「1/48 ブリストル・ブルドックMk.Ⅱ」

04/06

ブリストル・ブルドックの製作も4回目となる今回は、いやいやいやいやお待たせしましたの張り線、そう!複葉機の製作では避けて通れない翼間に張り巡らされたワイヤーを貼っていきます!(全6回の4回目/1回目2回目3回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■上翼の取り付け

張り線を貼るにはまず、上翼を機体に取り付けないといけません。下翼側と胴体に翼間支柱を取り付けて、そこに上翼を固定します。ブリストル・ブルドックは左右の主翼に2本の支柱、胴体操縦席の前の左右にN字型の支柱があるだけですが、しっかりと強度が確保されており、またパーツの精度が高くピタっと角度も決まってくれるのがありがたいです。

古い複葉機のキットだと、翼間支柱の組み立てが上手くいかない、強度が確保できないといったことも多いので、ピタリと支柱の取り付け角度が決まってくれる本キットは複葉機ビギナーにもオススメと言えます。

上翼を組みつけたあとは、接着が完全に固まるまでしっかりと時間を取ります。今回はその時間を利用してタイヤを組み立てて塗装を進めました。

しっかりと固定したら、破損防止と塗装のために取り付けを先送りしていた機首の照準器、下翼上面の発電機も取り付けます。

翼間に張り線を入れてしまうと、これらのパーツは取り付けが難しくなってしまうので、この時点で取り付けておくのがベストです。

▲翼間支柱は、胴体側のN字型から取り付ける。差し込みピンがしっかりとしているので角度がピタリと決まる。しっかりとした強度を出したいので、衝撃弱い瞬間接着剤での取り付けは避けたい

▲次に下翼に支柱を取り付ける。胴体側の支柱がしっかり固まっていれば先に上翼を接着、乾燥固定後に左右の翼間支柱をはめ込んで接着しても良いだろう

▲上翼を支える支柱の取り付けが完了。この状態で支柱の接着剤がしっかり固まるまで時間を取る。接着が乾いていないと上翼を取り付ける際に、支柱が動いてしまい、上翼の取り付け位置が正しい位置からズレてしまうことがあるので要注意

▲3パーツ構成の機首上面に望遠式照準器を取り付ける

▲左右主翼上面に装備されている風車式の発電機(黒く塗装してあるパーツ)も取り付けるが、プロペラは破損しやすいので後付けにした

▲翼間支柱の接着が完全に固まったら上翼を接着固定する。支柱の精度が高いので取り付け位置もピタリと決まる

▲上翼の取り付けが完了。複葉機になった

▲主翼の接着が乾くまでの時間を利用して、タイヤを組み立て塗装も完了させていたので、張り線作業に入る前に取り付けた

 

■複葉機の張り線

お待たせしました! 複葉機製作のキモ! 翼間張り線の取り付けです。

複葉機は翼を2枚重ねることで、エンジンが非力でも機体を飛ばすのに必要な揚力を確保でき、また運動性も良かったんですね(小回りが利いて格闘戦が得意)。第一次世界大戦で活躍した複葉機の多くは、翼が布張り、機体は木製だったこともあり、大きな翼は強度が保てない。そこで短い翼を上下に配置して、翼間や機体各部にワイヤーをめぐらすことで、機体の強度を保ちながら翼面積を確保していました。例外的に張り線のない機体もありましたが、張り線は複葉機を象徴する存在でもありました。

しかし翼間に張られたワイヤーは、空気抵抗が非常に大きく、飛行機の速度が向上するにつれてその存在が問題になりました。その後、製造技術の向上に伴う翼の強度向上で単葉機が登場。複葉機はその座を譲ることになります。

ちなみに現代の複葉機は機体強度が高いこともあり、張り線は使われていません。

▲第一次大戦のエース“レッドバロン”ことリヒトフォーヘンの愛機だったフォッカーDR.1(三葉機)は、ほとんど張り線がない機体だった。張り線が苦手だけど複葉機が作りたい人にオススメ。画像はエデュアルド「1/48 フォッカーDr.I(プロフィパック)」(5800円)

 

■しかしやっぱり複葉機といえば張り線!

今回製作のブリストル・ブルドックは、ガッツリ張り線がある機体です。しかし最新の複葉機キットということもあり、組みやすく精度も高いので、初めて複葉機を作る方にもオススメの機体です。

張り線に関しても、取り付け位置にガイドとなる凹穴がモールドされています。

またほとんどの複葉機のキットには、張り線で使用する糸やワイヤーなどは含まれていないので、制作者自身で用意しなくてはなりません。最近では第2回で紹介したメタルリギングやストレッチリギングといった複葉機の張り線に特化したアイテムも発売されています。

▲キットのインスト(説明書)による張り線のガイド。赤いラインで示されているのが張り線となる。キットには張り線は含まれていない。今回の作例では0.2mmのピアノ線を使用した

 

■0.2mmピアノ線のメリットとデメリット

今回の作例では、メタルリギングやストレッチリギングではなく0.2mmのピアノ線を使用しています。リギングのように貼るのではなく、ワイヤーが張られている部位に合わせて、ピアノ線をカットしてはめ込んでいます。

張り線に使用できる細い金属線としては、真ちゅう線や洋白線などもありますが、真ちゅう線は0.2mmともなると簡単に曲がってしまうという難点があります、洋白線は真ちゅう線よりわずかに硬く使い勝手は良いのですが、真ちゅう線ともども、張り線として使用する場合は塗装をしなくてはいけません。

ピアノ線は硬い金属なので、切断には金属線用のニッパーが必要になります。しかし硬く剛性があるので、はめ込みで多少たわませても曲がることがありません、また初めから黒く染められているので塗装の必要ありません。接着固定には瞬間接着剤を使用します。

▲極細のピアノ線は大手のホビーショップ、あるいはネット通販で取り扱っている

▲テトラ「ピアノ線 0.2×250mm 10本入」(参考価格: 1210円)※Amazonにて購入可能

▲まずは感覚をつかむために、難易度の低い主脚支柱間からトライ

▲指定の取り付け位置に収まる長さにカットしたピアノ線をはめ込んで瞬間接着剤で固定する

▲主脚支柱間の張り線はクロスした2本のみ

▲ピアノ線を掴むためのピンセットは先端が尖ったものより、幅のあるタイプが掴みやすく扱いやすい。今回はタミヤ製デカール用ピンセットを使っている

▲タミヤ「デカールピンセット」(2420円)

▲いよいよ本番。主翼間の張り線を取り付けていく。上翼と下翼の間にV字型に貼られた張り線は2本が平行に重なるように狭い感覚で張られているので(赤い矢印の部分)、それぞれが平行になるように慎重に取り付けていく。一番難度が高い部分

▲主翼前縁側の張り線が完了! このあと後縁側も同様にピアノ線をはめ込んで仕上げていく

 

■瞬間接着剤とプライマー

今回張り線に使用しているピアノ線は、瞬間接着剤で固定しています。使用しているのはアルテコ「瞬間接着剤731(耐衝撃用)」です。

張り線の接着剤は点付けになるので、衝撃に強いタイプの瞬間接着剤をオススメします。また硬化促進剤を併用することで、よりしっかりと固定できます。

▲アルテコ「瞬間接着剤731(耐衝撃用)」(1062円)

▲アルテコ「瞬間接着剤用硬化促進剤 スプレープライマ」(1400円)

*  *  *

というワケで今回はここまで! 次回第5回も引き続き張り線の取りつけ、そして機体のデカール貼りを進めます。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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