先進企業を支える“実験文化”|次世代のA/Bテストツールを開発、Eppoが2,800万ドルの資金調達

サンフランシスコを拠点とする2021年設立のEppoは、8月20日、シリーズBラウンドで2,800万ドルの資金を調達したことを発表した。同ラウンドはInnovation EndeavorsとIcon Venturesが主導。既存投資家のMenlo VenturesとAmplify Partnersも追加で支援した。

Eppoは、Airbnb、Netflix、Amazonなどの先進企業に定着している仮説検証型のビジネス開発を支援するための、A/Bテストツールを提供する。

Image Credit: Eppo

Airbnb、LinkedIn、Uberの元社員が開発したこのツールは、プロダクト、AI、マーケティングチームを横断した仮説検証型の活動や、経営層向けの収益見通しに関する報告を支援できる。

これまでのA/Bテストは、開発やマーケティングの一部分に限られてきた。一方でEppoのツールは、クラウドサービス、マーケティング支援ツール、AI製品、データウェアハウスと統合することで、組織内のあらゆる活動におけるA/Bテストを可能とする。

実験文化がビジネス成長の基盤になる

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A/Bテストとは、異なる2つのバージョン(AとB)の間で比較実験をおこない、どちらがより効果的かを判断する手法だ。これにより特定の変更が顧客経験に与える影響を評価することで、最適なバージョンを選択することが可能になる。

たとえばカスタマーエクスペリエンス(顧客経験価値)の最適化を目的として、より効果的なデザインや機能を導入することで、ユーザーの満足度を高め、購入や登録などのコンバージョン率を向上させることができる。

あるいはリスクの最小化を目的として、新しいデザインや機能を全体に展開する前に、A/Bテストを事前に部分的に適用することで、リスクの抑制が可能だ。

EppoのCEOであるChetan Sharma氏は、このように述べる。

現代の企業は効率的な成長を求められる一方で、同時に高い収益性と成長性も求められています。仮説検証による実験はそのための基本です。大規模な投資のリスクを低減し悪いアイデアを早期に排除することで、信頼に裏付けられた革新を経営者にもたらすことができるのです。

先進企業を支える次世代の実験プラットフォーム

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Inventaは、ラテンアメリカでオンライン卸売市場を運営している。Daniel McAuley氏はInventaのデータ責任者として、25人のデータエンジニアリング、データサイエンス、データアナリティクスチームを統括している。

同チームは、出荷するすべての変更について仮説検証型の実験をおこなう。この実験は出荷コストや出荷スケジュールの予測から、検索結果のランキング、見積もり作成の自動化まで、多岐にわたる活動を網羅している。

信頼性とデータウェアハウスへの対応を理由としてEppoを選んだMcAuley氏は、Eppoによって60%の実験時間を節約し、1実験あたり10時間以上の節約ができたとしたうえで、このように述べる。

Eppoの緻密な統計機能と診断機能は、統計的仮定とデータ品質に対する信頼を高めるために、私たちがまさに必要としていたものでした。

Eppoのおかげで高品質な実験を簡単におこなうことができるようになりました。どのモデルのどの変更が機能しているのか、そして機能していないのかを迅速に学んでいます。これによりCEOや財務責任者に対して、機械学習やAI活用に投資している時間とリソースの正当化が容易になりました。

参考元:
Newswire | Press Release
Eppo

(文・五条むい)


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