グーグルの最新スマートウォッチ「Google Pixel Watch 3」が9月10日に発売されます。従来からの41mmモデルに加えて、新しい45mmモデルも登場。Googleストアでの価格は
41mm/Bluetooth/Wi-Fiモデル:5万2800円
41mm/LTEモデル:6万9800円
45mm/Bluetooth/Wi-Fiモデル:5万9800円
45mm/LTEモデル:7万6800円
となっています。なお、LTEモデルはドコモ、au、ソフトバンクも取り扱っています。
筆者はグーグルから41mmと45mmのLTEモデルを借りて、使い比べてみました。結果、気に入っているのは新しい45mmモデル。「Google Pixel 9 Pro」(ahamo回線を利用)と接続させて、ドコモの「ワンナンバーサービス」に加入して使っています。
■45mmモデルは画面が見やすく、タッチ操作も楽チン
デザインは従来から変更なく、文字盤は円形で、エッジは曲面になっています。机や壁などに当たってキズがつきそうだと不安になるかもしれませんが、筆者がこれまでに使ったPixel Watchを確認したところ、ディスプレイはきれいなままだったので、かなり丈夫なガラスが使われていると考えていいでしょう。
▲文字盤は3Dの強化ガラスで保護されている。最大輝度は前モデル比2倍の2000ニトになり、屋外で視認性も向上
右側面に、回して操作できるデジタルクラウンを搭載。その上に最近使ったアプリを呼び出せるボタンも備えています。
▲右側面のデジタルクラウンは、押してアプリ一覧を表示したり、ホーム画面に戻したりでき、回して画面をスクロールできる。マイクも搭載
▲左側にはスピーカーを搭載。音声通話が可能で、Googleアシスタントも利用可能。Geminiにはまだ対応していない
▲背面のセンサーは前モデルと同様に見えるが、心拍センサーの精度は向上しているようだ
Pixel Watch 3 最大の注目ポイントは2サイズから選べるようになったこと。新しい45mmモデルは従来モデルから画面サイズが40%大きくなっています。なお、41mmモデルもベゼルが細くなり、画面は10%ほど大きくなったとのこと。
2モデルを使い比べてみると、画面の視認性では断然45mmモデルに軍配が上がります。画面が大きい分、多くの情報が表示されることに加えて、文字サイズを大きくして使いたい人にも適しています。
▲左が45mmモデル、右が41mmモデル。文字盤のデザインも若干異なる
▲45mmのほうが表示できる情報量が多い
▲文字サイズは6段階の調整が可能。デフォルトから2段階上げて「大」にしても、デザイン的な見栄えはさほど変わらない
筆者は、大画面のスマートウォッチは目立つのが苦手だったのですが、Pixel Watch 3はシンプルなデザインで、黒が貴重の文字盤も落ち着いた印象なので、違和感なく装着できるように感じました。
▲45mmモデルは、キーボードでの文字入力など、細かいタッチ操作がしやすい
画面が広くなったことにより、タッチ操作がしやすいこともメリットと言えるでしょう。
▲バンドは、ずれないように留められて、フィット感も良好
バンドには多彩な素材・デザインのものが用意されますが、最初から付属しているのはフルオロエラストマー製のアクティブバンド。S、Lの2サイズが同梱されていて、成人男性の場合、「ギリギリSでも使えて、Lだと余裕がある」という感じではないかと。なので、好みのサイズのバンドを着けて、1本は予備として取っておくことができます。
▲簡単に取り外せて、別売りのバンドなどに交換できる
▲2サイズのバンドが同梱されている
■ランニング機能を強化。パーソナルプランの提案には有料プランが必要
Pixel Watch 3を使うには、スマホに「Google Pixel Watch」アプリと「Fitbit」アプリをインストールする必要があります(Pixelスマートフォンにはプリインストールされている)。「Google Pixel Watch」アプリでウォッチの基本設定を行い「Fitbit」アプリでヘルスケアとワークアウトのデータを管理する仕組みです。
▲スマホとのペアリング、通知の設定、文字盤の追加などは「Google Pixel Watch」アプリで行う
▲ウォッチで測定された健康やワークアウトのデータは「Fitbit」アプリに同期される
大きく進化していたのは「Fitbit」の機能。特にランニングに関する機能が強化されていて、目的に合ったランのプランを設定して、ワークアウト中は音声ガイドなども利用でき、運動後に「フォーム分析」などを見て、振り返ることもできる趣向。
▲多くのスポーツ、エクササイズに対応しているが、特にランニングのメニューは充実している
▲目的に合ったランのプランを作成することもできる
また、「Fitbit Premium」(月額640円または年額6400円/Google Pixel Watch購入者は6カ月間無料)に加入すると、過去のランの結果に基づいて、AIがユーザーに最適化した分析やガイダンスを提供する仕組み。筆者は、毎日継続する運動はしていませんが、ランの初心者向けでも取り組みやすいランを提案してくれました。すでに本気で走っている人だけでなく、これから本気を出すつもり、という人も試してみる価値がありそうです。
▲「Fitbit Premium」に加入すると、ユーザーに最適化したプランが提案される
▲ランニング中の画面の例。心拍数が上がると、振動と音声ガイドで知らせてくれる
▲アプリでランの詳しい分析結果を振り返ることができる
夜、装着したままで寝ると、睡眠がトラッキングされ、かなり細かい分析結果を見られます。また、ワークアウトに向けて身体がどの程度の準備ができているかを示す「今日のエナジー」も表示されます。前モデルから引き続き、ストレスマネジメントに役立つ「身体反応」もチェック可能。自分にどの程度の休息が必要かもわかる仕組みです。
▲睡眠状態はかなり詳しく分析され、信頼できる内容だと感じた。「今日のエナジー」は継続して睡眠をモニタリングしてから表示される機能で、筆者は10日ほど使ってから、ようやく表示されるようになった。よって、どう活用すればいいかはまだつかめていない
■フル活用するならLTEモデルがおすすめ
従来モデルから引き続き、NFC(FeliCa)を搭載し「Googleウォレット」を使えます。Suicaやクレジットカードを登録して、スマホを取り出さずに改札を通ったり、コンビニで支払ったりすることが可能。また、LTEモデルを選ぶと、各社のモバイルサービスに加入すると、ペアリングしてスマホを持っていなくても、スマホの電話番号で発着信でき、データ通信も利用できます。
▲決済サービスは、VISAおよびMasterCardのタッチ決済、iD、QUICPay、Suicaに対応
筆者はドコモの「ワンナンバーサービス」に加入して使ってみました。
以前、Pixel Watch 2に使っていたものをPixel Watch 3に切り替えたのですが、Pixel Watch 2での解除操作は不要で、あっという間に切り替えられました。なお、新規で申し込む場合も「Google Pixel Watch」アプリの「モバイルネットワーク」に進むと、画面に案内が表示されるので簡単です。
▲「Google Pixel Watch」アプリの「モバイルネットワーク」に進むと、利用できるモバイルサービスに導かれる
筆者はランニングやウォーキングの際に、スマホは家に置いて、手ぶらに出かけています。Pixel Watch 3とペアリングしたイヤホンから「YouTube Music」の音楽を聴きながら走り、途中でコンビニに寄ってミネラルウォーターを買うこともできます。ただし、SMSの送信に失敗したり、Gmailが届いても通知されず、手動でチェックしたりといった手間があったりもしました。筆者自身まだ十分に使いこなしているのは言えず、それらの原因は不明。筆者の設定に問題があるのかもしれませんし、そもそも使えるアプリや通信に制約があるのかもしれません。しかし、電話ができ、「マップ」も利用でき、決済サービスも使えるので、LTEモデルを選ぶ価値は十分にあると感じています。
▲「マップ」アプリがプリインストールされていて、目的地を設定してナビを利用することも可能。45mmモデルは画面が大きいので地図も見やすい
■Googleサービスとの連携も強化
Googleアプリとの連携も強化されています。自宅のテレビをスマートTVにできる「Google TV Streamer」を使っている人は、Pixel Watch 3をリモコンとして利用可能。玄関に設置して来客を確認できる「Google Nest Doorbell」「Google Nest Cam」を使っている場合は、Pixel Watch 3の画面で来客を確認して、応答することもできます。
▲筆者は「Chromecast with Google TV」を使っているが、そのリモコンとしても使えた
Pixel Watch 3には新たに「レコーダー」アプリも搭載。外出先で音声メモを取るのに役立ち、バックアップを設定していてば、Pixelスマートフォンの「レコーダー」に自動で同期されます。Pixelの「レコーダー」アプリは文字の書き起こしに対応しています。同期した録音データの文字起こしを試してみたところ、まだ、対応しているとは言えない水準でした。今後の改善を期待したいところです。
▲「レコーダー」アプリは素早く起動できるのが便利
▲録音したデータはPixelスマートフォンの「レコーダー」に同期できる。上の段落のテキストを読み上げて録音し、文字起こしを試してみたが、結果はこんな状態だった
■余裕で1日持つ電池持ちを実現
グーグルがPixel Watch 3の特徴としてアピールしていることが、もうひとつあります。それは電池持ち。前モデルのPixel Watch 2のスペックシートには「常に表示状態のディスプレイで最大24時間」と書かれていましたが、Pixel Watch 3は「常に表示状態のディスプレイで最長24時間」「バッテリーセーバーモードで最長36時間」となっています。筆者は「通常時の電池持ちは同等だが、バッテリーセーバーによって長く持たせることができるようになった」と理解していたのですが、実際に使ってみると、通常時の電池持ちも長くなったように感じています。
▲充電は同梱の充電器で行う。充電の残り時間が表示されるのが便利
バッテリーセーバーモードは手動でオン・オフができますが、残量15%になると自動にオンになるように初期設定されています。筆者は、その設定のままで使っています。GPSをオンにする運動を1時間ほど行い、就寝時にも装着していますが、余裕で1日持ちます。24時間経過しても30%残っていたり、30時間経過しても、なお10%残っていたりする日もあります。使い方によっては2日近く持ちそうな印象で、概ねスマホと同じサイクルで充電すればよさそうです。
▲残量が15%を切ると、バッテリーセーバーモードに切り替わる設定になっている
■完成度を高めた3世代モデル。そろそろ買い時かも!?
Google Pixel Watch 3は、現在求められる機能をもれなく備えたスマートウォッチという印象。従来モデルよりも電池持ちがよくなり、大画面モデルも追加されたので、Androidスマホユーザーにとっては、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
Apple Watchと比べると、心電図アプリが搭載されていないという差分はありますが、それを必要とする人は限定的でしょう。逆に、Pixel Watch 3には「朝のブリーフィング」という機能があったり、毎日健康的に過ごすための細かい演出が施されています。初代モデルや前モデルのPixel Watch 2の購入を見送った人にも、そろそろ “買い時” が来たと言えそうですよ。
▲45mmモデル(左)と41mmモデル(右)。あなたなら、どちらを選ぶ?
>> Googleストア
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/625890/
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