「悪い行動」Appleの時間稼ぎ戦術に裁判所が厳しい警告

Epic GamesとAppleの泥沼裁判は、ほぼAppleの勝利に終わりましたが、外部決済を認める「反ステアリング規則の撤廃」に関してのみ、Epic Gamesの主張が通っています。ところが新たな係争では、この撤廃命令すら、Appleは牛歩戦術で時間稼ぎを試みているようです。

外部決済を認めなければならないApple

2024年1月、最高裁がEpic Games上訴を退け、2021年9月に下された地方裁の判決が支持されました。Epic Gamesが要求していたApp Storeへの復活や、ストアを介さないサイドローディングの認可は叶わず、Appleが勝訴したとする見方が一般的です。

しかしこの判決では、争点となった10項目のうち9項目でAppleの主張が支持されましたが、Appleを介さない課金(通常はAppleに売上の30%を手数料として支払う必要がある)オプションについては、Epicの主張が認められています(反ステアリング規則の撤廃)。

これを受けてAppleはデベロッパー向けのガイドラインを改定し、米国限定で外部決済を認め、裁判所の命令に準拠する姿勢をみせました。

Appleの準拠は「見せかけ」と批判

しかしEpic Gameは、外部決済を使うと27%の手数料が課されることや、決済オプションだとは容易に分からないボタン(PlainButtonStyle)を用いるようデベロッパーに要求しているとし、実質的にAppleが裁判所の命令に違反したままだと主張、3月には地方裁に苦情を申し立てました。

これを受けて地方裁は、Appleに対して5月31日までに報告書を提出するよう求めていましたが、同社は資料が膨大だとして延期を要求します。

さらに新期限となった9月30日についても、締め切り直前に「意思決定プロセスに関連する文書が予想以上に多く発生した」と主張するなど、あからさまな時間稼ぎを行う戦略に出ます。

さすがに堪忍袋の緒が切れたのか、裁判を受け持つトーマス・ヒクソン判事は、Appleの牛歩戦術を「悪い行動」「Appleがこの情報をわずか2週間で初めて知ったというのは信じがたい」と批判、「月曜日(9月30日)が本当の期限だ」と通告しました。

ドル箱のApp Storeを死守したい

こうも時間稼ぎにこだわる理由は、ただ一つでしょう。

App Storeは数十億ドルの売上に寄与しており、Appleにとっては決して手放したくないドル箱セクションです。粘り続け得る限りは30%の手数料が入ってくるのですから、やすやすと応じる必要はありません。

すでに欧州連合(EU)ではデジタル市場法が整備され、独自ストアの認可や、サードパーティーの支払いオプションを用意することが明白に義務づけられています。

Source:Reuters,AppleInsider


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