リアルタイム位置情報システムのLitum、病院内での“新生児の取り違え・誘拐”を防ぐサービスを発表

2013年に公開された是枝裕和監督の映画『そして父になる』では、病院での新生児の取り違えを発端にストーリーが展開される。我が子ではなく他人の子どもを病院から連れ帰り、実子と思い込んで育てる。後に真実が明らかになったとき、双方の家庭の親、そして子どもも戸惑い苦悩する。

新生児の取り違えは映画の中だけの話ではない。実社会でも起きており、さらには誘拐も発生している。こうした本来起こるべきではない事態や犯罪を防ぐサービスが、リアルタイム位置情報システム(RTLS)のプロバイダーであるLitumから発表された。新生児にタグを取り付けて居場所を常に把握するとともに、新生児を移動させる人を限定することで取り違えや誘拐を防ぐというものだ。

赤ちゃんと母親のタグをペアリング

米マサチューセッツ州ボストンを拠点とするLitumはリアルタイムに位置情報を追跡するためのハードウェア、ソフトウェア、そしてシステム統合サービスを世界50か国以上で産業・医療機関向けに提供している。

今回、同社が発表した「インファント セキュリティ RTLS」は出産が行われる医療機関を対象にしているサービス。具体的には、新生児用にデザインされた小型デバイス「リトルタグ」を新生児の足首にバンドで取り付け、専用のソフトウェアを病院のシステムに統合して赤ちゃんの居場所を常に確認できるようにする。

Image Credits:Litum

赤ちゃんは母親と同じ病室、または新生児室に寝かされることがほとんどで、おむつの交換や授乳、診察などで別の場所に移されることがある。

Litumの新サービスでは母親や許可を受けた看護師など、赤ちゃんに取り付けたリトルタグとペアリングされているタグを持つ人だけが赤ちゃんの移動を許される。万が一、タグを持たない部外者が赤ちゃんを移そうとした場合、アラートが出るようになっており、これにより故意の取り替えや連れ出しを防ぐ。

それぞれの赤ちゃんを母親とペアにすることで、正しい母親だけが赤ちゃんを引き取ることができるため、退院時や病院内での移動時のミスを減らせる。

範囲外に出るとアラート

リトルタグは超広帯域無線通信規格(UWB)と省エネルギー型の無線通信規格(BLE)を活用。赤ちゃんの居場所を正確に追跡でき、誤差は1メートル以下に抑えられているという。

インファント セキュリティ RTLSのシステムは常にアクティブ状態であり、赤ちゃんが設定された範囲の外に出た場合、すぐに母親と病院スタッフにアラートが通知されるようになっている。ちなみに、タグを赤ちゃんから外したり、タグのバンドを緩めたりするだけでもアラートが出るようになっているという。

動きがない場合も検知

リトルタグはウォータープルーフで、皮膚がかぶれたりしないよう低刺激性となっている。大きさは50セント硬貨ほどで、赤ちゃんの動きの邪魔にならない軽量タイプ。米造幣局のウェブサイトによると、50セント硬貨は直径30.61ミリメートル、重さ11.34グラム、厚さ2.15ミリメートルとのこと。

タグには動きを感知するセンサーも内蔵されており、一定の時間を超えて赤ちゃんに動きがない場合もスタッフに通知されるなど、家族にとっても医療機関にとっても心強いものとなっている。

参考・引用元:
Newswire
Litum

(文・Mizoguchi)


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