【とりあえずユニクロで。のその先〈PART.1〉】
国内外に多数の店舗を展開し、日本を代表する国民的ファッションブランドとしての圧倒的人気を誇るユニクロ。これまでオシャレに興味が薄かった人々から、シーズンごとの最新コレクションをチェックするようなファッション好きまで、幅広い層に愛されているのは皆様ご存じの通り。
当然、アイテムひとつとってみても、手頃な価格帯で流行を押さえつつもスタンダードからハズれないデザインを遵守し、汎用性の高さから万人にマッチしてくれるものばかり。しかし、そうなると「ユニクロなら間違いないでしょ!」と甘えてしまうのが人間の心理だが、それは少々悪手。いくら汎用性が高いとはいえ、適切なアイテム選びと組み合わせ、着こなしが出来ていないと魅力も半減してしまう。そこで本記事では【とりあえずユニクロで。のその先】と題し、全6回に渡って“ぜひ知っておきたいユニクロアイテムの選び方・着こなし術”を伝授していく。
トップを飾る〈PART.1〉は、これからの季節にマストとなる【重ね着テクニック】について。
TOMMY|メンズファッション誌を中心に、ファッションやアイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する。Twitter
■「気温」「シーン」「見せ方」に合わせた服選びと着こなしがカギ
▲ユニクロのルックを見る&GP編集のワカザワ
ユニクロのルック(モデルが着用した写真)はたしかに素敵である。ただ、スタイル抜群のモデルがさりげなく着こなしている重ね着も、普通のオジさんがやるにはややレベル高めなのが実情。
▲写真左:&GP編集ワカザワ、写真右:スタイリスト 井上裕介さん/文化服装学院卒業後、3年間のアシスタント業務を経て2006年に独立。カジュアル〜ドレスまで、幅広いスタイリングでメンズファッション誌、ライフスタイル誌、ブランドカタログ、通販カタログなどの紙媒体を中心に活動中
そのため、「ただアイテム同士を重ねればいいんでしょ?」なんて素人考えは賢明とはいえない。「気温はどうか」「どんなシーンで着るか」「どう見せたいか」といった自分のニーズにしっかりと合わせることが大切で、こうした要素がコーディネートのオシャレ度を大きく左右するのだ。
では、どうすれば良いのか。今回はスタイリストの井上裕介さんに、重ね着コーデの最適解を「初級」「中級」「上級」の3つのレベルに分けて教えてもらった。どれもユニクロで手軽に再現できるので、ぜひ気軽に挑戦してほしい。
【初級編】トップスからインナーを“チラ見せ”するだけで生まれる「立体感」がキモ
▲「スウェットシャツ」(2990円)/ユニクロ、「エアリズムコットンクルーネックTシャツ」(1990円)、「ワイドフィットチノ」(3990円)/ともにユニクロ U、その他スタイリスト私物
主役となるトップスは、カジュアルの定番として擦られまくったグレーのクルーネックスウェット。対する相方のボトムスには新鮮味のあるワイドシルエットのチノパンツを選択。
組み合わせ的には非常にベーシックだが、それゆえに無難な日曜日のパパコーデに収まりがち。そこで変化を付けるべく、インナーに白のロンTを挿し込んでみた。
【ここがポイント!】「チラ見せの理想は、スウェットの裾がロンTの裾ステッチに被るくらい」(井上さん)
簡単そうで難しいスウェットとインナーの重ね着。初心者はサイズ選びで失敗しがち。「インナーがMサイズならスウェットはLサイズが重ねやすいはず」と、試すものの、着丈は合っているのに身幅が大きすぎる問題が発生するのだ。
「なので同じサイズで着丈を合わせるのが正解。そしてチラ見せの塩梅は、スウェットの裾がインナーの裾ステッチに被るくらいが理想です」(井上さん)
「首元、袖、裾の3カ所からインナーの白をチラリと覗かせることで、立体感のある着こなしに。肩ヒジ張らず、かつこなれ感も出せるので、スウェット特有の“テキトー感”を払拭するのにも最適です。また、ボトムスとのバランスもポイント。今っぽさを出すならば、トップスはジャストサイズを、ボトムスは太めを選んで、Aラインシルエットを意識するのが良いと思います」(井上さん)
【中級編】万能選手のカーディガンは、同色同素材インナーで統一感UP!
▲「メリノVネックカーディガン」(3990円)、「メリノクルーネックセーター」(3990円)、ユニクロ「レギュラーフィットジーンズ」(3990円)/以上すべてユニクロ、その他スタイリスト私物
初級編から一転、大人らしいニットアンサンブルでまとめた中級編。汎用性抜群のネイビーカーディガンに、同素材・同色のクルーネックニットを重ね、ボトムスには程よく色落ちしたデニムパンツを合わせている。
全体をネイビートーンで統一することで、シックで洗練された印象に仕上がり、シーンや年齢を問わず、取り入れやすい着こなしといえる。
【ここがポイント!】「Vゾーンの開きすぎはダラしなく見えがち。狭めの方が洗練された雰囲気に」(井上さん)
「カーディガン選びのポイントのひとつに、Vゾーンの開き具合があります。開きすぎるとだらしなく見えるうえ、インナーの露出が増えてインナー選びも難しくなります」と井上さん。
そのため、Vゾーンは狭めを選ぶのが正解。洗練された印象を与えつつ、インナーの素材と色を揃えることで、全体に統一感と奥行きが生まれるのだ。
「トップスの重ね着で迷ったら、同色同素材を選ぶと間違いありません。ニットならカーディガンを合わせると、インナーの選択肢も広がって一層良いでしょう。さらに、デニムパンツと組み合わせることでカジュアルさを保ちつつ、シックな雰囲気が漂うため大人世代に最適。足元は黒色のシューズを合わせて、全体のバランスを整えれば完成です! ぜひ試してみてください」(井上さん)
【上級編】「アウター×アウター」で防寒・保温・洒脱さの一挙三得!
▲「コンフォート2Bジャケット」(6990円)、「フリースジャケット」(2990円)、「カシミヤタートルネックセーター」(9990円)、「タックワイドパンツ/ヘリンボーン」(3990円)/以上すべてユニクロ、その他スタイリスト私物
上級編では、ユニクロのルックにも登場する「アウター×アウター」の重ね着に挑戦。ウール素材のセットアップにフリース素材のスタンドカラージャケット、さらにタートルネックのニットをレイヤードするという大胆なスタイリングだが、全体を濃いめのグレーで統一することで違和感なく仕上がっている。
首元にポイントが集まるレイヤードが、スタイリングに奥行きをもたらしている点にも注目したい。
【ここがポイント!】「素材と色を絶妙にズラすことで、渋滞しがちな首回りも自然と馴染みます」(井上さん)
「ジャケットとスタンドカラーだけではスポーティな雰囲気が強くなりますが、カシミアニットのタートルネックをさらに挿し込むことで表情が締まり、上品さと首元に立体感が生まれます」と井上さん。
また、各アイテムの色味と素材感を微妙にずらしてグラデーションをつけることで、首元の重ね着も自然な仕上がりに。
「同系色でまとめながら、内側に向かうにつれて素材のタッチをなめらかにすることで、アウター×アウターの重ね着によるゴワつき感が軽減されます。また、首回りの立体感がこのコーディネートの最大のポイント。防寒性と保温性を保ちながら、アクセントとしても機能し、スタイリッシュな格上げ効果を演出してくれます」(井上さん)
* * *
初級・中級・上級と3つのレベルに分けて重ね着コーディネートを紹介したが、多くの読者が「意外と簡単かも」と感じたのではないだろうか。
大人世代のファッションは“やりすぎず、日常に馴染む普通さ”が肝心。一見、難しそうな重ね着も“色・素材・サイジング”さえ意識すれば、決して構える必要はないのだ。
>> UNIQLO
>> 2024年ユニクロ特集
<取材・文/TOMMY スタイリング/井上裕介 写真/田中利幸 取材協力/UNIQLO>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/637360/
- Source:&GP
- Author:&GP
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