ランチ1人前3000円オーバーでも予約ですぐ満席になる店。「浅草『ちんや』」で絶品すき焼きを喰らう!

浅草で何か高級料理を食べたいと思った際に、まず筆頭に上がるのがすき焼きです。エリアには「米久本店」「浅草今半」「今半 別館」「今半 本店」など老舗の名店があるほか、新進気鋭の若い店、安さや食べ放題を売りにした店など複数あります。

そんな中でも、浅草最古という144年もの歴史を誇るすき焼き店として知られるのが「浅草『ちんや』」(以下、「ちんや」)です。現在の「ちんや」は、浅草寺の北東にある言問橋西交差点付近にあり、浅草駅からは少し離れた場所にありますが、創業当初から現在の6代まで受け継がれた「味へのこだわり」によって、昼夜問わず連日行列が絶えない絶大な支持を誇っています。

ただし、ランチでも1人前は3000円オーバー。前述の他店よりもリーズナブルに提供してくれているとはいえ、庶民にはやや臆する金額帯でもあります。果たしてそのお味はどうでしょうか? 今回は思い切ってランチの「お昼のすき焼きセット(楓)」8800円をオーダー。その中身に迫ります。

■大正ロマン風の内外観は「すき焼き」にピッタリ

▲浅草の高級料理の筆頭、すき焼きを「ちんや」でいただきます!

浅草駅を降り、歩くこと約10分ほど。浅草駅周辺の商店などが少なくなったところに「ちんや」があります。正直少し遠い感じもありますが、しかしいわゆる観光客向けの商店のない、ごく普通の浅草の雰囲気を道中で感じられることを合わせて考えれば、十分な散策とも言えるように思いました。

「ちんや」に辿り着き受付の方に促され、靴を脱いで店内へ。店の中は、飲食店というより大正ロマン風の豪邸のような作りで、これがまた渋くてカッコ良いです。

▲「ちんや」の店内

▲飲食スペースは、大部屋と個室に分かれます

聞けば、元々「ちんや」は浅草駅周辺に店を構えていたものの老朽化で建て壊しに。以降、このビルに移転し大正ロマンをイメージして改装。改めてリスタートしたとのことです。

筆者個人的にはこの「大正ロマン」というのも実は「すき焼き」ともマッチするように思います。

諸説ありますが、日本では幕末まで牛肉を口にする慣習はなく、東京でも親しまれるようになったのは明治時代後半。庶民に浸透したのが明治時代末期から大正時代という説を正しいとすれば、大正ロマン風の「ちんや」の内外観はまさにピッタリ。144年も守り抜かれた矜持を表しているようにも感じます。

■声を震わせつつ8800円のランチをオーダー

案内された部屋で声を震わせつつ「お昼のすき焼きセット(楓)」をオーダー。程なくしてスタッフの方がガスコンロで火入れする鉄鍋と合わせて、フルセットをサーブしてくれました。

「お昼のすき焼きセット(楓)」の内容は「先付」「すき焼き(熟成肉盛合わせ120g)」「ザク」「玉子」「みそ椀」「御飯」「お新香」。気になる熟成肉盛合わせは、高品質の牛肉の旨みを楽しめる赤身と、細やかなサシによって濃厚な口当たりを楽しめるサーロインの両方が楽しめるもの。

▲飲食スペースは、大部屋と個室に分かれます

▲「お昼のすき焼きセット(楓)」

▲高品質の牛肉の旨みを楽しめる赤身と、細やかなサシの濃厚な口当たりを楽しめるサーロイン

これだけ贅沢な牛肉なので、スタッフの方に適切な火入れ調理をしてもらいいただくことにしました。

■「頬が落ちる」とはまさにすき焼きのための言葉なのではないか

ガスコンロが着火され、鉄鍋が温まったところで、まず牛脂を伸ばし、その上に千住ネギの風味を油に広げます。そこに牛肉を加え、千住ネギの甘みを肉全体にまとわせながら火入れしていき、程よい加減のところで割下をかけます。

▲鉄鍋が温まったところで、まず牛脂を伸ばし、その上に千住ネギで風味付け

▲そこに牛肉を乗せて焼き、程よい加減のところで割下をイン!

▲これがもう……絶品!

調理前半では、煮詰まらないところで牛肉と千住ネギを取り出し、卵につけていただくという仕組みなのですが…これがもう絶品! 「頬が落ちる」とはまさにこのすき焼きのためにあるかのようにさえ思う味わいで、胃に入れるのが惜しくなるほどの美味しさです。

赤身でも十分な旨みと脂感を感じることができ、そしてさらにサーロインではこの旨みがさらにアップ。その美味しさが脳を刺激するような印象を受けました。

さらに鉄鍋を弱火にし牛肉、お麩、豆腐、春菊などを加えて鍋的にヒタヒタにいただくのもヨシで、これがまたご飯もお酒も進みまくりの超贅沢な味わいなのでした。

▲牛肉のほか、さまざまな具材を入れてヒタヒタにいただくのもまた美味

▲ご飯もお酒も進みまくります

■他店との比較ではむしろリーズナブルに提供している?

すき焼きの割下をめぐってはザックリ「関東風は塩っぱめ」「関西風は甘め」なんていう慣習の違いが語られることがあります。筆者は東京出身の一方で個人的には甘めの割下のほうが好きなのですが、「ちんや」のそれは好みピッタリの甘め傾向。これがまた絶品で、赤身、サーロインともに肉本来の旨みを引き出してくれるように感じました。

▲浅草の他の名物店と比較すれば、むしろリーズナブルに提供してくれているように感じる「ちんや」

当初、1人前「8800円」という金額にややたじろぐ筆者でしたが、この味わいによる十分な満足感と合わせて考えれば、妥当もしくはむしろ安いのではないかとも思いました。実際、浅草にある他のすき焼きの名店と比較しても、同等メニューよりもリーズナブルな印象を受けました。

日常使いには厳しいかもしれませんが、大切な人と大切な時間を過ごす機会が増える、これからの年末年始には超オススメとも思いました。浅草散策のランチまたはディナーでぜひ「ちんや」のすき焼きを食べてみてください。その味わいに感動を覚えることウケアイです。

「すき焼 ちんや」
住所:東京都台東区花川戸2丁目16-1
電話:03-3841-0010
営業時間:平日 11:00~15:00、16:30~21:30(L.O.20:00)/土曜・日曜・祝日11:00~21:30(L.O.20:00)

<取材・文=松田義人(deco)>

松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数

 

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