【とりあえずユニクロで。のその先〈PART.5〉】
■バッグ選びの選択肢として、ユニクロは有効なのか?
モノ選びの基準は人それぞれだが、バッグに関して言えば、大多数の人々にとってウェアやシューズ以上に明確でシンプルな基準がある。
まずは“用途”について。バッグの基本的な役割は「物を入れて持ち運ぶこと」に尽きる。そのため、重要なのは収納力と軽量性。どれだけ荷物が入るか、そして長時間持ち歩いた際の負担を軽減する軽さ。この2点はこだわるべきだろう。また、重量だけでなく、素材やショルダーストラップといった、持ち心地や背負い心地に影響を与える部分もチェックしておきたい。
次に“デザイン”だ。バッグの場合、収納力とサイズはほぼ比例するが、デザインの自由度はまた別の話。サイズに関係なく、洒落たデザインや機能的な構造を実現することは可能だ。また、バッグにおける「機能的な作り」とは、ポケットや収納部の設計によるところが大きい。
そして、最後に挙げたいのが“プライス”である。先述した用途やデザイン性へのこだわりは、「バッグを道具として選ぶのか、それともファッションとして選ぶのか」によって求めるレベルが変わってくる。そして、この価値判断に大きく関係してくるのが価格だ。バッグの値段はデザイン性と機能性に比例し、さらに素材やジッパーといった付属パーツのクオリティで上下する。結論を言うと、「素材にこだわり、機能性に優れ、洒落たデザインのバッグは高い」というのが一般的な常識だ。
だが、この当たり前の構図に真っ向勝負を挑んでいるブランドがある。それがユニクロである。
ここからは「&GP」編集部の若澤とスタイリスト井上裕介さんが、ユニクロで人気の高い3種類のバッグを実際に見て、触れて、ユニクロが“バッグの選択肢”として優れている理由を紐解いていく。果たしてその実力やいかに?
▲写真左:&GP編集ワカザワ、写真右:スタイリスト 井上裕介さん/文化服装学院卒業後、3年間のアシスタント業務を経て2006年に独立。カジュアル〜ドレスまで、幅広いスタイリングでメンズファッション誌、ライフスタイル誌、ブランドカタログ、通販カタログなどの紙媒体を中心に活動中
ワカザワ:「ユニクロのウェアといえば、スタンダードで“ちょうどいい”デザインが人気の理由だと思いますが、バッグも同じような特徴があるんでしょうか?」
井上:「そうですね。ユニクロのウェアに合わせてコーディネートしやすいように開発されているので、基本的な考え方は同じです。それに、ワカザワさんがおっしゃる通り、“スタンダードでちょうどいい”デザインが特長だからこそ、シーンやスタイルを選ばず活躍するアイテムが多いと感じますね」
▲しっかり作りをチェックするワカザワ。「細かい部分ですが、重要ですよね」(ワカザワ)
ワカザワ:「それって、1番イイやつじゃないですか! とはいえ、あくまでファッションアイテムとしての側面が強いですよね? 『&GP』の読者は機能性にもこだわる人が多いので、その点がクリアできているのか気になります」
井上:「逆に言うと、ファッションアイテムだからこそ“ちょうどいい”機能性なんです。ここがポイントですね。普段使いを考えると、やたらと多いポケットや、必要以上に大きな収納力、ギア感が強すぎるデザインって、かえって扱いづらいことがありますよね。その点、ユニクロのバッグはバランスが絶妙なんです。それに、どの店舗でも気軽に購入できて、手に取りやすい価格帯というのも魅力のひとつだと思います」
■実はバッグもスゴいんです。ユニクロの「バッグ」注目3選
【アイテム1】:「ファンクショナルバックパック」(4990円)
▲カラバリは写真のブラックとグレーの2色展開
ワカザワ:「まずはバックパックですね。コロナ禍以降、リュック需要はますます高まっています。アウトドアブランドやガジェット系ブランドから、多種多様なモデルが登場していて、全体的に機能性にこだわったものが人気のようです。さて、ユニクロのバックパックはどうでしょうか?」
井上:「背負った感じはコンパクトで、普段使いしやすそうなサイズ感ですね。実際のサイズは縦45×横29.5×マチ15.8cm。容量も23リットルあるので、日常使いはもちろん、一泊程度の旅行にも十分対応できるんじゃないかと思います」
▲「ここがポイントなんですよ」とフロント上部を指差す井上さん
ワカザワ:「チェストベルトは好みに合わせて取り外し可能なので、すっきり背負いたい人には外して使うのも良さそうですね。あと、ボディの素材感も魅力的です。公式サイトによると、小雨程度ならはじく撥水加工が施されているとか」
井上:「落ち着きのあるマットな色味も、大人が背負うことを考えると最適ですよね。さらに、上部のフロントポケットには止水テープが使われているので、収納物が濡れにくい配慮がされている点も好印象です」
▲フロント上部には、使用頻度の高い小物類を収納するのに最適なジップポケットが設けられている
ワカザワ:「こういったポケットって、電車など移動中に本当に便利ですよね。背負わずに前で持った際にも、使用頻度の高い小物やガジェット類が細かく仕分けされていて、出し入れがスムーズ。家や自転車のカギを装着できるキーリングも嬉しいポイントです」
井上:「さらに、ファスナーの両サイドにタブが付いているので、開閉がとてもスムーズなんです。メイン収納には15インチまで対応のPCスリーブも完備されているので、荷物が入らなくて困ることはまずないでしょう。これ、“ファンクション”(機能)と名付けるだけのことはありますね」
▲背面にはクッション性と通気性を兼備したパッドを完備。しっかりした背負い心地が感じられる
ワカザワ:「収納に関してはよく分かりましたが、肝心の背負い心地はどうなんでしょう? 背面のクッション素材は厚めで、触った感じではなかなか良さそうですが…」
井上:「背面とショルダーストラップにクッション性の高いパッドが配置されているので、背負い心地はかなり良いです。それだけでなく、クッションを左右両サイドと腰部分に分割したデザインになっているため、長時間背負っても熱がこもりにくく、通気性がしっかり確保されている点も魅力的ですね」
【アイテム2】:「クロスボディバッグ」(1990円)
▲カラバリは、写真のベージュのほか、ブラック、ダークブラウン、マスタードの4色を展開
ワカザワ:「続いては、よりカジュアルに持てると人気のボディバッグです。90年代に流行したウエストバッグの肩掛けスタイルやボディバッグが、近年のY2Kファッションの流れに乗って、再び支持を広げています!」
井上:「確かにボディバッグはバッグとしての機能を持ちながら、感覚的にはアクセサリーのようなアイテムとして楽しめますよね。特にユニクロのシンプルでスタンダードな着こなしに合わせると、“ちょうどいい”アクセントとして活躍してくれます」
▲ボディには中綿が封入されているため、コロンとしたフォルムでなんとも可愛いらしい
ワカザワ:「このサイズ感も絶妙ですよね。横57cm×縦20cmで、ストラップの長さは61cmから96cm。ストラップを短めにしてタイトに持つのも良いですし、長めにしてラフに持つのも可愛いと思います。ちなみに容量は5リットル。ちょっとしたご近所散歩くらいなら十分ですね」
井上:「ボディの素材はナイロン100%です。先ほどの『ファンクションバックパック』と同様、撥水加工が施されているので、小雨程度なら全く問題ありません。そして、ポリエステル100%の中綿が入っていることで、コロンとした柔らかなフォルムが特徴になっています」
▲こちらはユニクロ ユーのアイテム。内部構造を見ると仕切りもなく、シンプルそのもの
ワカザワ:「通常のユニクロではなく、『ユニクロ ユー』なんですね! そう聞くと、洒落ている理由に納得です。とはいえ、見た目はおしゃれでも、作り自体は驚くほどシンプル。メイン収納内に仕切りがなく、荷物をラフに放り込むような使い方ができそうですね」
井上:「正直、このサイズ感なら、変に仕切りがあるよりも、こうしたシンプルな構造の方が使いやすいと思います。実際にサイフ、スマホ、カードケース、モバイル充電器などを入れてみましたが、それでも容量的にはまだまだ余裕がありますね」
▲フロントポケットの開閉はスナップボタンで。収納物が飛び出ることなく、出し入れもしやすい
ワカザワ:「なのにフロントポケットまで付いているんだから、たしかに収納力は十分ですね。しかもスナップボタン付きだから、中身が飛び出す心配もなく、出し入れはラクチンです。ぼくだったらフロントポケットにはタバコを入れるかなぁ」
井上:「一服したくなったときに、すぐ取り出せますね(笑)。また、このバッグは体にフィットするデザインなので、肩掛けしたままアウターを着用することも可能です。これなら、これからの忘年会シーズンに酔っ払って財布を失くすなんて心配も減りますね(笑)」
【アイテム3】:「ラウンドミニショルダーバッグ」(1500円)
▲カラバリは、写真のダークグリーンにはじまり、オフホワイト、ブラック、ピンク、レッド、ナチュラル、ベージュ、ブラウンの8色展開
ワカザワ:「最後もショルダーバッグですが、ちょっと小さめ…と思いきや侮れない収納力! SNSに投稿された、バッグから次々と物を取り出す動画が大反響を呼び、世界各国で売り切れが続出したのも記憶に新しいですよね」
井上:「そうですね。収納力の高さに加えて、もうひとつの人気の理由がカラーバリエーションの豊富さです。このダークグリーンのほか、オフホワイト、ブラック、ピンク、レッド、ナチュラル、ベージュ、ブラウンと、なんと脅威の8色展開! 着回しやすさも考慮されていて、どんなスタイルにも合わせやすいですね」
▲サイズは小ぶりながらデイリーユースには十分。世界中でヒットしたのにも納得の一作だ
ワカザワ:「このラウンドシェイプも特徴的ですよね。ショルダーバッグと名付けられていますが、感覚的にはボディバッグに近い印象です。カジュアルに使いやすいデザインで、自然なシワ感のあるナイロン素材のボディは、もちろん撥水加工済みです」
井上:「表面には適度なハリがありつつ、硬すぎずむしろ柔らかいので、肩掛けしたときに体にしっかりフィットします。ミニサイズのショルダーバッグは可愛らしい印象になりがちですが、これはミニマルな雰囲気なので、性別を問わず活躍してくれるアイテムですね」
▲収納部は、散らかりがちな小物類を分けて収められるように、仕切りが設けられている
ワカザワ:「先に紹介した『クロスボディバッグ』よりも小さめの横28×縦17cmですが、マチが10cmも取られているので、容量は4リットルとほぼ同じです。アイテムごとに分けて収納できる仕切りが付いているのも、地味に嬉しいポイントですね」
井上:「そうなんです。見た目以上に大容量で、財布やスマホはもちろん、水筒や折りたたみ傘まで、日常生活に必要なアイテムをすべてスマートに持ち歩けます。汎用性が高いので、ついカラバリで揃えたくなりますね」
▲バッグ底面を見れば、しっかり取られたマチが一目瞭然。自立するので出先でも机の上などに置きやすい
ワカザワ:「たしかに収納力も魅力ですが、それ以上にコスパの高さがこのバッグのポイントですよね。肩ひじ張らずにラフに使える“やり過ぎていない機能性”や、着こなしを選ばないシックなカラーバリエーションも見逃せません」
井上:「この機会にいくつか揃えておくのも賢い選択だと思います。オフホワイトやブラック、ベージュ、ナチュラルは鉄板カラー。このダークグリーンやブラウンのようなアースカラーも持っておいて損はありませんし、レッドやピンクはコーディネートのスパイスとして活躍します。つまり、全色揃えておけば間違いない!ということですね(笑)」
* * *
今回は、ユニクロで人気の高い3種類のバッグを紹介し、“バッグの選択肢としてユニクロが有効な理由”を探った。果たして納得いただけただろうか。
「素材にこだわり、機能性に優れた洒落たデザインのバッグは高い」というこれまでの常識を覆し、ユニクロはバッグ専売ブランドにも負けない機能性とデザインを備えながら、価格は安心かつ納得のお手頃プライスを実現している。
さらに、ユニクロのバッグは、使い心地とデザインの両方の視点から日常に“ちょうどいい”を提供してくれる。この魅力を知った今、「ユニクロのバッグを買わない」という選択肢は存在しない。
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>> 2024年ユニクロ特集
執筆者/TOMMY|メンズファッション誌を中心に、ファッションやアイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する。Twitter
<スタイリング/井上裕介 写真/田中利幸 取材協力/UNIQLO>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/643979/
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