今さら聞けない「Apple Pay」や「Google Pay」の仕組みと使い方

【キャッシュレス決済の現在地】

PayPayなどのコード決済アプリが広く普及してからしばらく経ちます。家族や友人から紹介されて、ようやっとコード決済の扱いにも慣れてきたという人も少なくないことでしょう。

一方で、スマートフォンでバーチャルなクレジットカードや電子マネーを使った非接触型決済は、興味がありつつも、まだ使ったことがないという人はいるはず。

このような決済を駆使するうえで欠かせないのが、一般に「モバイル・ウォレット」と呼ばれる類のアプリの活用です。今回は、今さら人に聞きづらい、こうしたアプリの概要について、おさらいしていきましょう。

 

■モバイル・ウォレットでできること

そもそも「ウォレット(Wallet)」とは、英語で「財布」を意味する言葉です。「モバイル・ウォレット」とはその名の通り、スマートフォンにおいて財布のような機能を備えたアプリを指します。こうしたアプリの扱いが一見して難しいのは、その機能が多様だからです。

例えば、現実の財布を思い浮かべてみると、中に入っているのは「現金」だけではありません。財布のポケットには「クレジットカード」や「ポイントカード」「会員証」「割引クーポン」「チケット」など、支払いに関係するさまざまな要素がまとめられているはずです。

まさにモバイル・ウォレットもこれと同様の構造をしています。現金の代わりに「電子マネー」を入れられて、さらにバーチャルな「クレジットカード」「ポイントカード」「会員証」「クーポン・ギフト券」や「チケット」などをまとめて収納しておけるのです。基本的に、デジタルになったカードの類などを、まとめられると思っておけば理解しやすくなるでしょう。

モバイル・ウォレットアプリのイメージ ▲モバイル・ウォレットは、デジタルな財布としての機能を持ったアプリだ(図解は筆者作成、以下同)

なお、こうしたモバイル・ウォレットアプリは、iPhoneのホーム画面では「ウォレット」アプリ(名称はApple ウォレット)、Androidでも「ウォレット」アプリ(名称はGoogle ウォレット)として用意されています。

また、スマートフォンによっては、メーカー独自のウォレットアプリがある場合もあります。例えば、Galaxyなら「Samsung Wallet」というモバイル・ウォレットアプリが用意されているといった具合です。

どれも機能は似通っていますので、画面に表示される操作手順や、メーカーが公開しているヘルプページなどを確認しつつ操作方法などをチェックしていくことで、基本的な使い方はカバーできます。

 

■クレジットカードを使う

ここではiPhoneの「ウォレット」アプリを例に、全体像を俯瞰してチェックしていきます。なお本稿ではiPhoneをベースに概要を解説していきますが、Androidの場合には機種によって非接触型決済の対応有無が異なります。また、「ウォレット」だけでなく、似た機能を持つ「おサイフケータイ」アプリもあり、機能によってはこちらを使うことになります。これらの点はあらかじめご留意ください。

さてiPhoneでは、財布としての機能を備える「ウォレット」アプリがあり、そして、そこに登録した電子マネーやクレジットを用いて決済を利用できます。

iPhoneの「ウォレット」アプリできることを単純化して噛み砕くために、ここでは

(1)クレジットカード
(2)交通系電子マネー
(3)ポイントカードやチケット

の3つを使うケースを考えていきます。

まず、最初に登録すべきはクレジットカードです。詳細な手順は割愛しますが、ウォレットアプリ内の操作によって、登録手順を進めましょう。

iPhoneの「ウォレット」アプリでのクレジットカード追加手順イメージ ▲iPhoneの「ウォレット」アプリを起動し、右上の「+」をタップしたら、「クレジットカードなど」を選択し、追加操作を進めよう

クレジットカードを登録できたら、iPhoneのサイドボタンをダブルクリックすることで、ウォレットアプリに登録したクレジットカード等を使った決済のための画面が表示されます(※Touch ID搭載端末では操作が異なります)。生体認証を済ませたうえで、対応の決済端末にピッとタッチすると非接触型決済が実行されます。

この非接触型決済を使う方法には、

(1)クレジットカードとしてのタッチ決済」
(2)「QUICPay」や「iD」などの後払い型の電子マネー決済
(3)「Apple Pay」としての決済

という3種類があります。ややこしいので、もし店側がクレジットカードのタッチ決済に対応していればそれを、対応していなければ電子マネー決済を選択する流れなどを決めておくと単純化できるでしょう。

▲店頭で決済を行う場合には、クレジットカードのタッチ決済、あるいはQUICPayやiDなどポストペイ型電子マネーでの支払いをすることをスタッフに伝えてから、決済機能を使う状態にしたスマートフォンを指定のリーダーにタッチしよう。使える手段は、登録したクレジットカードや、支払いを行う店舗によって異なる

 

■交通系電子マネーを使う

続いて、交通系電子マネーです。こちらもアプリ内の操作によって新規発行が可能です。こうした交通系電子マネーはプリペイド型ですので、電子マネーの残高をチャージしてから使うことになります。

チャージ方法は複数ありますが、最も基本になるのは登録しておいたクレジットカードを用いる方法です。そのため、最初にクレジットカードを登録しておき、その後に交通系電子マネーにチャレンジする流れがおすすめです。

交通系電子マネーの使用イメージ ▲交通系電子マネーは、クレジットカードで残高をチャージしてから使うことになる

なお、交通系電子マネーを使う場合、iPhoneには「エクスプレスカード」という設定があり、iPhoneを決済端末のリーダーにタッチした際に、ここに登録しておいたカードが優先的に使われる仕組みになっています。

交通系電子マネーをエクスプレスカードとして指定しておくと、駅の改札や店頭での決済がスマートになります。ただし、一部の自動販売機などではエクスプレスカードが機能しないこともあるので、その場合はサイドボタンの2度押し→カードを選ぶ→タッチという流れを踏まないといけない場面も出てきます。

 

■チケットやギフト券などを使う

最後はチケットやギフト券・割引クーポンなどについて。これらは対応しているチケット等の取得時に「Apple Walletに追加」というアイコンが表示されるので、これをタップしましょう。すると、「ウォレット」アプリ内にQRコードなどを表示できるチケットが追加されます。

ウォレットアプリに関したチケット類の使い方のイメージ ▲ウォレットアプリに関したチケット類の使い方のイメージ。表示されるウォレット追加用ボタンはiPhoneとAndroidで異なる

使用する際には、「ウォレット」アプリを開き、これらのチケットを表示した状態で、店舗側のリーダーに読み込んでもらう流れになります。

ただし、空港でチケットをかざしたときに、端末がタッチ操作で誤反応して画面が消えてしまってうまく認識されなかったり、ギフト券を利用しようと思ったら結局Webサイトを開かなくてはいけなくてレジの決済直前に慌てたり、と使っているうちに現場でのトラブルも色々と経験しがちなもの。ウォレットアプリに慣れないうちは、無理に使おうとしなくても良いでしょう。

ちなみに、筆者がよく使うのは、クロネコヤマトの「宅急便をスマホで送る」で予約した内容を、2次元コードとしてウォレットアプリに保存しておき、営業所で表示して端末にサッと読み込ませるという操作です。ここまでの内容について、余裕がありそうな方は、ぜひ試してみてください。

*  *  *

細かい手順については割愛しているので、具体的な手順については、公式サイトや別途解説記事などを調べながら、チャレンジしてみてください。まずは基本の流れがイメージできれば十分です。

その他の応用的な機能については、「基本は分かったから、もうちょっと踏み込んでみようかな」と思えたタイミングで、改めてリサーチしてみることをお勧めします。

例えば、交通系電子マネーのオートチャージ機能を利用したくなったり、Androidで「おサイフケータイ」アプリに登録してある交通系電子マネーを「ウォレット」に移行したくなったりした場合には、少々複雑な手順が必要になる場合があります。また、スマートウォッチでも同様に決済を使いたくなった場合にも、それぞれの端末で操作を確認しなくてはなりません。こうした使い方は中級〜上級者向けです。

>> [連載]キャッシュレス決済の現在地

<文/井上 晃

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X

 

 

 

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