Appleは、iPhoneなどの製造拠点を、中国からインドやベトナムなどに移転させる「脱中国」を進め、インド政府はAppleによる投資を税優遇などで促進しています。しかし、中国政府は製造業のインドへの流出を阻止すべく、妨害とも呼べる対策を講じています。
中国一極集中だったAppleのサプライチェーン、コロナ禍で大打撃
Appleのサプライチェーンは、2007年に初代iPhoneを発売した当時から、中国に大幅に依存する構造となっていました。
しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けた中国政府の「ゼロコロナ政策」により、中国にある多くの工場が稼働できなくなり、Appleのサプライチェーンが大混乱を受けたことで、Appleの「脱中国」が本格化しました。
Appleは、インドへのサプライヤーの移転を進めてリスク分散に本腰を入れています。そしてインド政府は、中国企業の参入に障壁を設ける一方で、Appleなどには税優遇などの措置を講じて製造拠点を積極的に誘致してきました。
2020年の中国との武力衝突を経たインド政府は、TikTokなど中国資本企業による直接投資を規制して対抗しています。
拡大と高度化を続けるインドでのiPhone製造
2017年にWistronがiPhone SEの製造を開始したのを皮切りとして、インド国内でのiPhone製造能力は拡大と高度化を続け、現在はFoxconnが最新鋭モデルiPhone16 Proを製造するまでに高い信頼性を確保しています。
2020年には、Apple最大のサプライヤーであるFoxconnのトップが、中国に依存しなくても製品の製造は可能だとして「中国は『世界の工場』としての役割を終えた」と語り、注目を集めました。
現在、世界で製造されるiPhoneのうち、インド製の割合は約15%ですが、2027年には25%に拡大する、とJPMorganやBank of Americaのアナリストは予測しています。
中国政府、インドへの移転に対抗策を発動
Appleのインドシフトを、中国政府としても指をくわえて見ているわけではありません。
中国政府は、以下3つの方法でインドへのiPhoneの製造能力移転を妨害しているとFinancial Timesは報じています。
- 先端分野のエンジニアに対する出国規制:中国政府は、Apple最大のサプライヤーであるFoxconnの技術者らに対して、出国を厳しく制限しています。
- バッテリー技術の輸出規制:バッテリー製造技術、材料加工技術の流出を規制し、税関での手続きを遅らせて輸出を妨害
- インドへの工場設置の禁止令:中国政府は、インドに工場を設置しないよう通達しました。これによって、中国企業がインドで製造した部品を使ってiPhoneを組み立てることが難しくなります。
これらの動きには、中国に対する強硬な姿勢を示す第二次トランプ政権の発足による、米中の政治的緊張の高まりも影響しているようです。
Source: Financial Times via 9to5Mac
- Original:https://iphone-mania.jp/apple-592683/
- Source:iPhone Mania
- Author:hato
Amazonベストセラー
Now loading...