【スマホAIの使い方】
スマホのAI機能、もう何か使っていますか?
2024年から2025年にかけて、スマートフォンのトレンドが「生成AI」の活用に向かってきているのはご存知のとおり。一方、米中の主要ブランドからは、続々とオリジナルのAI機能が登場しており、それぞれの使い勝手については、いまだにまとまった情報も少ないのが現状です。
正直、すでに比較検討のためにユーザーが個人でリサーチできる規模を超えてしまっていると言ってもいいでしょう。
そこで、スマートフォンのAI機能にスポットライトを当て、主要な機能だけでも、その使い勝手をじっくり確かめていこうというのが今回の企画「スマホAIの使い方」の趣旨になります。
本稿ではその第一弾として、Google製の「Pixel」シリーズをピックアップし、使える主なAI機能の使い勝手について、前後編に分けつつじっくりチェックしていきます。
なお、本稿での機能検証はAndroid 15の「Pixel 9 Pro」を用いて行いました。機種やOSバージョンによっては詳細が異なることがありますので、ご承知おきください。
1. かこって検索
まずは、画面に表示している画像やテキストを素早く検索できる機能「かこって検索」をチェック。もう定番機能ですね。
ナビゲーションバーまたはホームボタンを長押して機能を起動させ、検索したい画像などを指先で囲むようにして選択します。
▲下部のバーを長押ししてから(左)、知りたい情報を指で囲むと(中)、検索結果が表示される(右)
まぁGoogleならこのくらいできるだろうと感じることもあり、使っていて「AIすごいな…」という驚きはないものの、実用性は高い機能です。操作手順もシンプルなので、使い勝手も良いと思います。
なお、こちらは「Pixel 6」シリーズ以降の機種で使えるほか、Pixelシリーズ以外のAndroidでも対応している機種は多数あります。家族や友人に対しても使い方をシェアしつつ、定番の操作として取り入れたい機能だと感じます。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★☆☆☆
・使いやすさ:★★★★★
・実用性:★★★★★
・自分で使いたい度合い:★★★★☆
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
便利だけど、たまに使うくらいでいいかな
2. 一緒に写る
続いて、集合写真で使える「一緒に写る」機能です。こちらは撮影者と交代しながら、同じ構図で2回撮影を行うことで、同じ背景に、撮影者を含めた自然な合成写真を撮れるというものです。
三脚をセットする手間が省けるので、「いつも旅行先の記念撮影でお父さんだけ写っていない」みたいな状況を回避できます。
こちらの機能は撮影手順をスクリーンショットで残せないので、操作手順の大まかな流れについてテキストで説明しておきます。
まずカメラアプリで「一緒に撮る」モードを選択し、1枚目の写真を撮影します。
次に、撮影者を交代し、2枚目の写真を撮影します。構図の合わせ方も画面内で指示されるので、撮影者が変わってもさほど悩むことはないでしょう。
あとは合成された画像が表示されるだけ。きっと2〜3回使えば慣れると思います。
▲「一緒に写る」機能は、操作が簡単で、仕上がりも綺麗なので、正直かなり気に入った
使ってみて良かったのは、「一緒に写る」機能は、親族が集まるイベントや旅先での実用性が高いうえ、使っていて家族や友人と「AIすごーい」と盛り上がれること。
一方、惜しいのは、対応機種が「Google Pixel 9/9 Pro/9 Pro XL」や「Google Pixel 9 Pro Fold」という高額な新機種に限られてしまうこと。ゆえに同機能を使える人はかなり限定的。誰かと一緒に使って話が盛り上がるとしても「AI機能使ってみると便利だよ」ではなく「Pixel 9 Proすごいでしょ」という自慢になってしまうのが、玉にキズです。
もし将来的に、廉価モデルや他社Androidにも開放されるならば、スマートフォンでの集合写真の撮り方が一変するインパクトになるでしょうね。
【筆者の評価】
・楽しさ:★☆☆☆☆
・使いやすさ:★★★★★
・実用性:★★★★★
・自分で使いたい度合い:★★★★☆
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
使ってて楽しい! でも対応機種が限られるのが惜しい
3. Gemini Live
AIっぽさのある機能と言えば、Gemini Liveでしょう。
AIアシスタントの「Gemini」は、Pixelの電源ボタンを流しすることで起動できます。その「Gemini」のなかの機能として、音声での会話ベースで使う「Gemini Live」機能が用意されているという構造です。
操作手順はシンプル。「Gemini」アプリ内、あるいは電源ボタン長押しで表示されるプロンプトボックス(画面下部のテキスト入力欄)の右端にあるアイコンをタップすればOK。
もちろん初回のセットアップでは、画面指示に従って規約を確認したり声を選んだりしますが、2度目以降は上述したアイコンをタップして話しかけるだけで使えます。
▲「Gemini」アプリを起動するか、電源アプリを長押し(左)。テキスト入力欄の右端のアイコンをタップ(中)。「Gemini Live」が起動するので話しかけよう(右)
本当に人間のアシスタントと会話しているかのような感覚で相談事ができ、会話の内容はチャットの履歴として残るので、生成AIツールの使い方に慣れているかどうかを問わず楽しめる機能だと言えます。
例えば「Androidの設定項目がどこにあるのか」とか聞いてみると、アプリ画面を閉じた状態でもGemini Liveが継続されます。要するに、「設定アプリ開いたんだけど、次どうすればいい?」みたいに、Geminiに口頭で相談しながら設定項目を探せます。
しかも無料アカウントでも十分使えるほか、iOS向けアプリも展開されているくらい機種に依存せず使えるのが魅力。家族や友人との話題展開もしやすいですね。
ただし、ぶつぶつと話しかけないといけないので、ほかの人がいる空間では使いづらいかもしれません。どちらかというと、1人の空間で、黙々と作業するようなときに相性がよい印象です。
また「近くでマフィンが食べられるカフェを探して」といった相談をして、それっぽい問答を進めても、最終的に具体的に店舗が表示されずイライラする、という結果になったので、実用的な用途は限られるかなという印象でした。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★★☆
・使いやすさ:★★★☆☆
・実用性:★★★☆☆
・自分で使いたい度合い:★★★★☆
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
一人でいるときに「壁打ち」的な会話相手にするならアリ
4. 文字起こし
実用性が高い機能としては「レコーダー」アプリでの文字起こし機能は外せないところ。録音をしながら、オンデバイスの処理で、音声をテキスト化できます。日本語の文字起こし精度も良好で、実際にライターの業務でも使えています。
「レコーダー」アプリを起動して録音を開始し、「文字起こし」のタブを選択するだけと、複雑な手順が必要ありません。
▲「レコーダー」アプリの録音画面で「文字起こし」タブを選び(左)、言語を選べば(中)、内容がテキスト化される(右)
なお、アプリ内に表示されるアカウントアイコンから「レコーダーの設定」へ進み「スピーカー ラベル」のスイッチをオンにしておくと、文字起こしされたテキストに発言者のラベルが付与され、いわゆる話者分離機能が反映されるようになります。これも話者が複数人いる場合には、必須の機能なので嬉しいポイント。
また、作成されたテキストは、アプリ内の操作からGoogleドキュメントに出力できるので、PCでの作業に繋げたい場合にも、スムーズに連携できます。
なお、文字起こしの精度に関しては、筆者が試している範囲だと、専門用語などを除けば、8〜9割は書き直しをしなくても正しく読める状態になる…くらいの印象です。
生成AIモデルを使った内容の要約などは、本記事の検証時点ではまだ確認できませんでしたが、Pixel Dropのアップデート情報によるとそろそろ対応するようです。こうした処理をコピペなどを挟まずに、レコーダーアプリ内から直接実行できるようになれば、もっとスマートに使えるのかもな、という期待感は頭の隅に残ります。
【筆者の評価】
・楽しさ:★☆☆☆☆
・使いやすさ:★★★★★
・実用性:★★★★★
・自分で使いたい度合い:★★★★★
・人に勧めたい度合い:★★★★★
▶︎ひとこと
すでに実用レベル。外部データの取り込みが簡単だったら、有料のWebサービス使う機会なくなるかも…
5. ズーム画質向上
撮影した画像の編集関連で個人的に気になっていたのが、「ズーム画質向上」。拡大したときに粗くなってしまうディティールを、画像生成モデルの補助を使って綺麗に整えるという機能です。「まだ初期段階での提供なので変な結果が出ることもあります」という旨の但し書き付きではあるので、現状どんなものなのかと…。
Googleフォトアプリで編集画面を開き、「ツール」の欄にある「ズーム画質向上」を選択。ピンチアウト操作等で、倍率と構図を調整し、「切り抜きと補正」をタップします。あとは生成AIがそれっぽいディティールを“描いて”くれるという感じ。ちなみに、Googleフォトアプリの機能なので、ほかのスマートフォンで撮影した画像を取り込んでも適用できます。
▲「Googleフォト」アプリの編集画面で「ツール」→「ズーム画質向上」を選択し(左)、画角を調整して「切り抜きと補正」をタップ(中)。生成AIでディティールが描かれるので、気に入ったら「コピーを保存」をタップ(右)
筆者が実際に使ってみた範囲だと、高い枝に生えていた「花」のように、決まった正解がある被写体だと上手くいく確率が高いのかなと感じました。一方、遠くに見える船や、野鳥などをズームして粗くなってしまった画像で試すと、結局歪んだ油絵のような質感になってしまったりもして、「うーん、これは…」と呟くことも。
実用的に使うには、もうちょっと安定してほしいかな、といったところです。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★☆☆
・使いやすさ:★★★☆☆
・実用性:★★☆☆☆
・自分で使いたい度合い:★★☆☆☆
・人に勧めたい度合い:★☆☆☆☆
▶︎ひとこと
んー…たまに上手くいくと嬉しいけど、使いどころが悩ましい
6. 消しゴムマジック
そして、前編最後の機能は「消しゴムマジック」です。こちらは「Adobe Photoshop」でいうところスポット修正ブラシのような機能で、タッチ操作のみで不要な写り込みを自然に削除できます。
こちらも「Googleフォト」内で使えます。機能を選んでから消したい被写体を指で囲むだけでOKなので、非常に使いやすい。
▲「ツール」から「消しゴムマジック」を選択し(左)、消したいオブジェクトを囲む(中)。オブジェクトが自然に消去された(右)
外食の際に「美味しそうなご飯を撮ったけど、端にお手拭き写っちゃったてた…」みたいなときにサッと消せるのがとにかく手軽で、実用性は抜群です。ただ、クリエイティブツールとしてはもう定番機能の類になっていると思うので、スマホで使えるということを除けば、機能自体への感動はそこまでありません。
【筆者の評価】
・楽しさ:★☆☆☆☆
・使いやすさ:★★★★☆
・実用性:★★★★★
・自分で使いたい度合い:★★★★★
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
もう、この手の機能は欠かせません
* * *
PixelにはまだまだAIを活用した機能がたくさんあるので、続きは後編にて紹介します。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/664520/
- Source:&GP
- Author:&GP
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