未だに語られる「おじさんパーカー論争」の今。大人は結局パーカーを着ていいのか?その答えと解決策

【2025年春のファッション特集 #1】

パーカーは世代を問わず人気のアイテムですが、昨年、「おじさんパーカー論争」が大きな話題を呼びました。もともとは、TPO(時と場所、場合)にそぐわない服装が指摘されて始まったこの論争ですが、現在でもさまざまな視点から議論されています。では、なぜそのように思われてしまうのでしょうか?

■TPOの問題
パーカーはカジュアルなアイテムであるため、フォーマルな場面で着用すると「ラフすぎる」と見られることがあります。特にビジネスシーンや正式な場では、パーカーは適さないとされることが多いです。さらに、「どこへ行ってもパーカー一択」になってしまうと、手抜き感や「年相応のTPOを考えていない」という印象を与えることがあります。

■シルエットの問題
パーカーはゆったりとしたデザインが多く、体型が変化しやすい中年男性が着ると「だらしない」「部屋着っぽい」と見られることがあります。特に、流行だからとオーバーサイズのパーカーを選ぶと、余計に野暮ったく見えてしまうことも。

■コーディネートの問題
若い頃と同じ感覚でパーカーを着ると、顔つきや体型とのミスマッチが生じ、「学生時代の延長」のように見えてしまうことがあります。大人の上品さを演出するためには、シルエットや組み合わせに一工夫が必要です。

では、大人の男性がパーカーをおしゃれに着こなすには、どうすればよいのでしょうか? 今回は、大人世代がパーカーを選ぶ際のポイントや着こなしのコツを紹介します!

執筆・監修/宇田川 雄一
ファッション&モノ情報誌で活躍するスタイリスト。ビジネスからアウトドア、インテリアまで守備範囲が広い。ウェアを始めバッグや靴、雑貨に至るまで最新トレンドを把握

■流行より“品の良さ”。大人が選ぶべきパーカーの条件

▲パーカー 1万4300円/チャンピオン(ヘインズブランズ ジャパン カスタマーセンター)、パンツ 3万8500円/ビナイン(エヌエスナイン)、シューズ 1万2650円/ハルタ(ハルタ)

大人の男性がパーカーを着こなすうえで大切なのは、「上品さ」や「フォーマルさ」といった大人らしさを意識することです。ラフな印象が強いアイテムだからこそ、選び方や着こなしに気を配れば、ぐっと洗練されたスタイルに仕上がります。

まずシルエットは、細身か、適度にゆとりのあるジャストサイズを選ぶのが基本です。たしかにオーバーサイズは流行していますが、カジュアルになりすぎると、だらしない印象を与えてしまうことも。大人の着こなしでは、この点に注意が必要です。

では、ジャストサイズとはどのくらいのサイズ感なのでしょうか?

【ポイント1】フィット感を決めるのは肩幅。第一印象はここで決まる

まずひとつ目は「肩幅」です。ここが合っていないとシルエットが崩れ、だらしなく見えたり、逆に窮屈な印象を与えてしまうことも。特にパーカーのようなカジュアルアイテムは、肩のフィット感が仕上がりの印象を大きく左右します。

【ポイント2】袖は多少長くてもOK。リブ仕様なら“ちょうど良い感”を演出できる

次に「袖丈」です。袖はリブ仕様のものを選ぶのがポイント。リブ部分が手首にしっかりフィットし、動きやすさを保ちながら、着心地の良さとシルエットのきれいさを両立してくれます。

また、リブ仕様であれば、多少袖が長めでもリブ部分で自然と留まるため、全体のバランスを崩さず、ジャストサイズのように見せることができます。

【ポイント3】着丈はお尻より少し短めが正解。スッキリ見せの黄金バランス

最後に「着丈」です。目安としては、お尻の一番突き出ている部分より少し短めの丈が理想的。この長さなら全体のバランスがよく、スッキリとした印象を与えます。

お尻がすっぽり隠れてしまうと、オーバーサイズのシルエットになってしまい、全体的に重たい印象に。逆に、丈が短すぎると動いたときに裾がめくれて、お腹が見えてしまうこともあるので注意が必要です。

「ジャストサイズがよくわからない」という人は、肩のライン、袖の長さ、そしてこの着丈の3つを意識すれば、バランスよく着こなせますよ。

■大人パーカーは“シンプル&引き締めカラー”が正解

▲パーカー 5900円/ザラ(ザラ カスタマーサービス) 、パンツ 7万4800円/フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ(ノウン)、シューズ3万8500円/ヨーク(HEMT PR)

サイズ感の次に重要なのは、デザインとカラーです。大きなロゴや派手な装飾は避けて、シンプルなデザインを選ぶのがおすすめ。

また、体型の変化も考慮して、「膨張色」や「若作りに見える色」は控えるのが賢明です。

ホワイトやパステルカラーなどの膨張色は体を大きく見せやすく、お腹まわりが気になる人にはあまり向いていません。

また、鮮やかな赤やグリーンなどの派手な色は少年っぽさが強く、大人の落ち着いた雰囲気とはミスマッチです。

引き締め効果を狙うなら、ブラック・ネイビー・チャコールグレーなどのダークトーンがおすすめ。シックで洗練された印象を与え、スタイリッシュに見せてくれます。

■大人の着こなしは“縦ライン”がカギ。パーカーを格上げするコツ

▲パーカー 5900円、シャツ 8590円、シューズ 5990円/すべてザラ(ザラ カスタマーサービス)、パンツ 1万990円/アンフィーロ(オンワード樫山)

ここからは、「おじさんパーカー問題」を解決する着こなし方をご紹介します。

パーカーを大人っぽく着こなすには、パンツ選びがとても重要。ダボっとしたパンツは避けて、スラックスのようにセンタークリース(中央の折り目)のあるものを選びましょう。

パーカーの丸みのあるシルエットに対して、スラックスの縦ラインが加わることで、上品でバランスの取れた印象になります。

また、シャツをインするレイヤードスタイルもおすすめ。奥行きが生まれ、上品さがぐっと引き立ちます。このとき、柔らかい生地のシャツを選べば着太りしにくく、スッキリとしたシルエットに仕上がります。

▲ジャケット 1万5990円/アンフィーロ(オンワード樫山)

パーカーはシルエットが丸みを帯びやすく、ラフな印象になりがちですが、ジャケットを羽織ることで、引き締まった大人のスタイルを作ることができます。

ポイントは、「縦のラインを作ること」。羽織りものをプラスすることで全体のバランスが整い、より洗練された印象に仕上がります。

おすすめは、テック系素材のジャケット。かつて流行した「パーカー+ジャケット」スタイルではウール素材が主流でしたが、テック系を合わせれば、今っぽくアップデートできます。

パーカーは選び方と着こなし次第で、「若作り」ではなく「大人の洗練されたカジュアル」を演出できるアイテム。TPOを意識しながら、自分に合ったスタイルを楽しみましょう。

■実は小顔効果も?大人にうれしいパーカーの隠れた実力

「おじさんパーカー問題」が話題になる一方で、パーカーには多くのメリットがあります。選び方さえ間違えなければ、中年男性でもおしゃれに着こなせる優れたアイテムです。

最大の魅力は、小顔効果。フードが顔まわりにボリュームを持たせ、輪郭を引き締めてくれます。特に、立ち上がりのあるタイプのフードは首元をすっきり見せてくれるので、首が太くなりがちな中年男性にもぴったり。

さらに、Tシャツやシャツの上にさっと羽織るだけでコーディネートが完成する手軽さも、大きな魅力です。そして、パーカーが持つ若々しくアクティブな印象も見逃せません。おじさんになったからといって、パーカーをあきらめる必要はありません。むしろ、大人だからこそ似合うパーカーを選んで、こなれた雰囲気を楽しみましょう。

そこで今回は、大人の男性が選ぶべきパーカーを3点ご紹介します。

【アイテム1】洗練された着心地とタフさが魅力。チャンピオンの定番スウェット

Champion(チャンピオン)
「リバースウィーブ フーデッドスウェットシャツ」(1万4300円)

▲直営店限定アイテム。カラーは写真のオックスフォードグレーの他、ブラック、ネイビー、ライトグレーの4色展開

「ザ・キング・オブ・スウェットシャツ」と称され、多くの人に愛され続けるChampion。本製品最大の特徴は、「REVERSE WEAVE(リバースウィーブ)」製法にあります。

通常は縦に使う生地を横向きに配置することで、縦方向の縮みを防ぎ、さらに両脇に配された「エクスパンションガゼット」が横縮みを軽減。これにより、動きやすさと高い耐久性を実現しています。

ヘビーウェイトながら、レーヨンをブレンドすることで生まれる柔らかくしなやかな質感も魅力のひとつ。胴回りはすっきりとしたシルエットで、スウェットシャツ特有のダボつきを抑え、上品に着こなせます。サイズはSからXXLまでと、豊富なラインナップもポイントです。

>> Champion

【アイテム2】シンプルなのに上品。洗練された大人のためのフーディ

ZARA(ザラ)
「ベーシックフーディ」(5990円)

▲写真のカーボングレーの他、アイスグレー、グレーマール、オフホワイト、ブラック、エンジ、オレンジの7色をラインナップ

「ベーシックフーディ」は、裏起毛のコットン生地を使用した、肌触りの良いフーディです。調節可能なフード付きネックやフロントのカンガルーポケット、リブ仕様の袖口など、シンプルで普遍的なデザインが特徴です。

フードの紐もボディと同色で統一されており、ポリエステル混紡の生地によるほどよい光沢感が上品な印象を与えます。また、フードの立ち上がりが美しく、シルエットはややゆったりめながら丈は長すぎず、スッキリとしたバランスの良いデザインです。

カラーは全7色展開で、パーカーの定番カラーである3種類の異なるグレーが揃っている点もポイント。ZARAのアイテムは全体的にサイズ感がやや大きめなので、ジャストサイズを求めるなら店頭での試着がおすすめです。

>> ZARA

【アイテム3】60年代の空気感を今に。ディテールまで忠実に仕上げられたベーシックウエア

Healthknit (ヘルスニット)
「トンプキンス スウェット フーディ長袖」(1万2980円)

▲写真のフェードブラックの他、ヘザーグレー、ヘザーグレーxフェードブラック、フェードレッドの4色をラインナップ

「TOMPKINS Sweat」は、アメリカ製の旧式編み機「トンプキンス」を使用して編まれたスウェットです。この編み機は、一般的なものとは異なり、下から上へとゆっくり編み上げる構造が特徴。そのため生地に余計なストレスがかからず、ふっくらとした柔らかい風合いに仕上がります。

裏毛仕様で、オールシーズン快適に着用できるのも魅力。デザインは、1960年代のアーカイブスウェットをリプロダクトしており、表地とフライスの色差や特殊な製品加工によって、ヴィンテージのような風合いを再現しています。

当時と同じフラットシーマ仕上げの通称「ドラポケ」や、ラグランスリーブの切り替えラインも忠実に再現。シルエットは現代的なリラックスフィットにアップデートされているため、羽織りものと合わせたコーディネートも楽しめます。

>> Healthknit

*  *  *

パーカーは「おじさんが着るとダサい」と思われがちですが、実は小顔効果や体型カバー、若々しさを演出するなど、うれしいメリットもあります。大切なのは、サイズ感・シンプルなデザイン・TPOを意識したコーディネート。この3つを押さえれば、中年男性にとっても頼れるアイテムになります。

「おじさんパーカー論争」は、固定観念や世間のイメージによるところが大きいですが、最終的にファッションは自分の自由。ただ、「周りからどう見られるか」を意識するのも、おしゃれの楽しみ方のひとつです。

自分らしさを大切にしつつ、好印象を与える着こなしを楽しんでみましょう。

>> 2025年春のファッション特集

<メイン写真/田中利幸>

 

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