艇体にデカールを貼り、塗装したフィギュアを仮置き【達人のプラモ術<米海軍PACV後期型>】

【達人のプラモ術】
ゲッコーモデル
「1/35 米海軍 パトロール エアクッション ビークル(PACV)後期型」
06/08

PACVの製作もいよいよ佳境です。艇体艤装もほぼ仕上がりました。同時に製作を進めていたジオラマベースは、メコン川の茶色い水面を再現。当時、メコン川で作戦に従事する米海軍のPBRやPACVが“ブラウン・ウォーター・ネイビー”と呼ばれていたイメージに合わせたものです。そしてPACVを引き立てるフィギュアの塗装も完了! 完成も見えてきました! モチベーションも大いにアップです!(全8回の6回目/1回目2回目3回目4回目5回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■ブラウン・ウォーター・ネイビー

モデリングペーストで製作した川面がしっかりと乾燥したので、塗装を進めます。ブラウン・ウォーター・ネイビー(Brown Water Navy)は、アメリカ海軍において河川や沿岸部を担当範囲とする部隊を指します。通常の艦隊(ブルー・ウォーター・ネイビー、外洋海軍)に対して、水が茶色い河川や沿岸部で作戦を展開することから、この名が付いたと言われています。

ベトナム戦争時はメコン川に派遣され、流域の南ベトナム解放民族戦線のゲリラ討伐を展開しました。PACVの活躍の場であったメコン川は東南アジア最長の大河です。乾期には流量が減り、3万9000平方キロメートルにもなるメコンデルタでは、網の目のような水路の川底に土砂が増え水深が浅くなり、船舶の運航が難しかったことから、PBR(河川哨戒艇)やPACVが活躍しました。

▲モデリングペーストを乾燥させた後、オキサイトレッドサーフェイサーで下地を塗装

▲エアブラシを使い川面の陰影をランダムに塗装していく

▲タミヤ情景テクスチャーペイントのダークアース(XF-52)をメインに、アクリル塗料のフラットブラウン(XF-10)とフラットアース(XF-52)等のブラウン系色を重ねて、エアブラシでメコン川の茶色い川面に塗り上げていく

▲ホワイトを使いウネリや波頭にエアブラシと筆塗りで白波を描いていく。乾燥後にアクリル絵の具用グロスメディウムを使い水面に光沢仕上げとしている。

 

■艇体の製作 その3

前回に引き続き、艇体の艤装を進めます。キャビントップには前回製作したエンジンブロックを接着。固定したのち、艇体に取り付けます。

順番が前後するのですが、キャビントップを組む際に、先に塗装を済ませておいた総舵手のフィギュア(タミヤ「PBRボート」からトレード、ポーズを改造)を操縦席に接着しています。

また同時にキャビン内の機銃も取り付けておきます。

さてキャビントップの接着ですが、旋回銃座の足場ステー4本をキャビン内側の穴に差し込みつつ、同時に左側の窓に設けられた銃眼から機銃が正しい位置に向くように取り付ける必要があります。これがなかなか大変、というか難易度高いです。

銃座のステーを無理に取り付け穴に差し込もうとせず1mm程カットしておくと、キャビントップの接着が楽になります(取り付け後はステーの基部は見えない)。

苦労させられるキャビントップですが、取り付けてしまうと内部と総舵手フィギュアはほとんど見えなくなってしまうんですけどね。

▲「PBRボート」に付いているフィギュアのポーズを改造した総舵手。操縦席のシートの座らせるために足を膝下でカットしているが、キャビントップを取り付けてしまうと見えなくなるので問題はない

▲右手は操縦桿に、左手は計器に添えている感じでフィギュアを接着固定

▲キャビン内左側に装備されている機銃。破損しやすいのでキャビントップを接着する時に取付けるようにしたい

▲キャビントップはウインドウのマスキングを剥がして取り付ける。クリアパーツは静電気で内側にホコリが付きやすいので要注意

▲銃座足場のステー上端を1mmほどカットしておくとキャビントップの取り付けが楽になる

 

■ウイングの取り付けとデカール貼り

キャビンが組み上がったら、インストの指示に従い製作した操舵用のリアウイング、さら艇体上面の足場を艇体に組んでいきます。

ここまで組み上がると一気にホバークラフトらしくなり、モチベーションも上がります。その勢いでデカール貼りと参りましょう。

デカールはそれほど数が多くないのですが、ハイライトはやはり艇体前部のホバー部分に描かれたシャークティース貼りでしょう。

ホバー部分は曲面ということもあり、大判のシャークティースを貼るにはコツがいります。そのままではどうしてもシワが寄ってしまうので、マークセッターでデカールを軟化させつつ、何ヶ所かに切れ込みを入れて曲面に馴染ませる必要があります。

にしても、貼り込んでみるとホバー部分が曲面ということもあって、シャークティース(サメの歯)というより、チョウチンアンコウの大口といった感じで愛嬌があります。

▲インストの指示に沿って組み上げた操舵用のウイング

▲デカールは質が良く透けることもない。ややフィルムが厚いが、張りやすくはある

▲補強用のリブが凸で表現されている操舵用ウイング上面に大判の星条旗を貼る必要がある。しっかりと密着させるため、マークセッター(デカール軟化剤)の使用は必須となる

▲シャークティースは、いちばん大きいものをチョイス

▲シャークティースは曲面に馴染ませなくてはいけないので、マークセッターを使用する。位置修正する場合は、たっぷりの水をつけてけて行う

▲軟化剤で柔らかくなったデカールは、綿棒を使い内側から外側に空気を追い出すように曲面に馴染ませていく

▲大判デカールは曲面に馴染ませにくいので、矢印の個所に切れ込みを入れることで皴ができるのを防いでいる。同時にドライヤーの温風を使うのも効果大

▲マークセッターを使い、さらに切れ込みを入れることで、大判のシャークティースのデカールでも、ホバー部分の曲面とパーツの凹凸にキレイに馴染ませられた

▲デカールを貼った艇体は、ジオラマベースと組み合わせたのち、さらに水の表現を入れていく(画像はまだ仮組み状態)

 

■おまたせしました!フィギュアの塗装です

艇体のデカール貼りまで終わらせたところで、ガンナー1体、艇艇に乗せる兵士3体のフィギュアの塗装を進めます。

操舵手に関してはキャビン内に乗せなくてはいけないので先行で塗装をしています。塗装は、「PBRボート」からトレードしたものとレジン製の兵士2体ともども黒サーフェイサーで下地を塗装。その後、ベースカラーとなるオリーブグリーンをエアブラシで塗装し、ジャケットや装備は水性アクリル塗料を使い筆塗りで仕上げました。

肌に関しては、以前調色した独自のカラー(ラッカー系)で塗装し、全体の陰影はスミ入れ塗料を使っています。

▲黒サーフェイサーで下地塗装後、軍服のベースカラーとなるオリーブグリーンをエアブラシで塗装していく(画像はレジンフィギュア)

▲アーマージャケットのカーキやグリーンを塗り重ねていく。塗料は水性アクリルを使用

▲腕と顔を自作した色で塗装していく。画像は銃座のガンナー。右腕は銃座に収めるため後着けとしている

▲今回、フィギュアの肌の塗装には、Mr.カラーから発売されていたキャラクター系フィギュア用カラー「みるきぃぱすてる」のルビーオレンジをベースに、明度と彩度を落として調色し、リアルフィギュアに合うようにした自作カラーを使用

▲塗装が完了したフィギュアをPACVの艇体上の仮置きした状態。さらにここに兵士の銃や弾薬箱といったアクセサリーパーツが追加される。銃座の機銃の銃身が片方ないのは不注意で折ってしまったため

▲キャビン内部の総舵手を含め、今回5体のフギュアを追加製作したことで、ジオラマとして製作したPACVの存在感が大幅にアップ

 

■次回はウエザリング!

いや~、今回はやることテンコ盛りでした。なかなかに作り応えのキットであります。

さて第7回となる次回は、艇体を完成させてフィギュアをセッティング、そしてブラウン・ウォーター・ネイビーならではのウエザリングを入れていきます。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

【関連記事】

◆錆や汚れといったウェザリングが映える!使い込まれたジープを再現【達人のプラモ術<ジープ ウィリスMB>】
◆映画『Uボート』公開40周年記念キットの潜水艦「U-96」をリアル再現!【達人のプラモ術<Uボート>】
◆第二次大戦時のアメリカ海軍空母“ビッグE”を洋上ジオラマで製作!【達人のプラモ術<米海軍空母エンタープライズ>】


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA