スキニーは本当に“終わった”のか?根強い人気を誇る理由と「次のトレンド」になる可能性

【2025年春のファッション特集 #2】

ここ数年、ストリートの流れを受けてオーバーサイズが定番化。ワイドパンツもすっかり街に馴染んでいます。とはいえ、「足が短く見える」「子どもっぽい」などの理由で敬遠する声も。そんな中、かつて一世を風靡し、“終わった”と思われていたスキニーパンツやスリムパンツが、再び注目されつつあります。

若い世代よりも、むしろ支持を集めているのは40代以降の男性たち。スマートに見せたい、トップスとのバランスを整えたい…そんなニーズにフィットする、頼れる一本です。トレンドの揺り戻しが進むいま、スキニーパンツは再評価される予感も。改めて、その魅力を見直してみるのもアリかもしれません!

■現代で敬遠されがちなスキニーパンツが選ばれるワケ

スキニーパンツの最大の魅力は、すっきりとしたシルエットと上品な印象にあります。ワイドパンツに比べてスマートに見えやすく、スタイリッシュな雰囲気を演出してくれます。また、トップスを引き立てる“名脇役”としても優秀。オーバーサイズのスウェットやシャツと合わせれば、コーディネートにメリハリが生まれます。

さらに、年齢を重ねるとお腹まわりが気になる一方で、脚は細くなっていく――そんな体型の変化にもフィットするのがスキニーパンツ。大人世代にとって、スタイルを活かしやすい頼れるアイテムです。

今回は、そんなスキニーパンツやスリムパンツを無理なく取り入れられる、バランスのよい着こなし方をご紹介します。

執筆・監修/宇田川 雄一
ファッション&モノ情報誌で活躍するスタイリスト。ビジネスからアウトドア、インテリアまで守備範囲が広い。ウェアを始めバッグや靴、雑貨に至るまで最新トレンドを把握

【ポイント1】スキニーは“上に盛る”がコツ。今どきシルエットをつくるには

▲ブルゾン 7万1500円/フィルソン( フィルソントウキョウストア)、パーカー 3990円/ユニクロ(ユニクロ)、パンツ 6590円/ザラ(ザラ カスタマーサービス)、スニーカー 3万8500円/ヨーク(HEMT PR)

スキニーパンツを今っぽく着こなすなら、トップスにボリュームを持たせた「Yライン」シルエットがおすすめ。アルファベットの「Y」のように、上半身にボリュームを出し、下半身をすっきり見せることで、スタイルをよく見せられるのが特徴です。

オーバーサイズのトップスを選べば、お腹まわりを自然にカバーできるため、体型が気になる人でも取り入れやすいスタイル。ただし、ボリュームがありすぎると幼く見えてしまうこともあるので、バランスに不安がある場合は、重ね着などでボリュームを調整するのもおすすめです。

【ポイント2】黒スキニーは“名脇役”。引き締め&主役引き立てが得意

▲ブルゾン 5万5000円/ワイドット(NORDISK APPAREL)、パンツ 6590円/ザラ(ザラ カスタマーサービス)、シューズ 3万5200円/ヨーク(HEMT PR)、バッグ 2990/ジーユー(ジーユー)

黒スキニーにテック系ブルゾンを合わせたスタイル。ボトムスに黒を持ってくることで引き締まった印象になり、全体がすっきりとまとまります。さらに、シューズやバッグも黒で統一すれば、トップスに合わせたブルゾンが自然と引き立ち、バランスの取れたコーディネートに仕上がります。

このように、コーディネートを組む際は、まず「何を主役にするか」を意識するのがコツ。その点、黒スキニーはどんなトップスとも相性がよく、スタイリングを引き締めながら“主役を引き立てる”名脇役として活躍してくれます。

【ここにも注目】黒スキニー×黒シューズは“脚長見え”の王道テク

黒スキニーに黒いシューズを合わせると、境目が曖昧になり、脚長効果がアップ。より洗練された印象に仕上がります。

ただし、全体を黒でまとめると、重たい印象になってしまうこともあります。その場合は、ソックスに明るい色を取り入れたり、くるぶしを見せたりすることで“抜け感”を演出するのがおすすめです。

【ポイント3】春は“シャツ合わせ”で軽やかに。黒スキニーが映えるレイヤードスタイル

▲シャツ 2万5300円/ジュゲム(HEMT PR)、ニット 6355円/アンフィーロ(オンワード樫山)、パンツ 6590円/ザラ(ザラ カスタマーサービス)、シューズ 3万5200円/ヨーク(HEMT PR)

黒スキニーにシャツを合わせることで、これからの季節にぴったりのレイヤードスタイルが完成します。シャツを羽織るだけで軽やかさが加わり、シンプルながらもこなれた印象に。

特に、オーバーサイズのシャツを選べばアウター感覚で着こなせるうえ、Yラインシルエットもつくりやすくなります。全体のバランスが整い、黒スキニーの細身シルエットとも相性抜群。さらに袖をまくれば、手元がすっきりして、より軽快なこなれ感が生まれます。

【ポイント4】縦を意識すればスタイルUP。Iライン×スキニーが好相性

▲スウェット 2990円、カットソー 1290、パンツ 2990円/全てジーユー(ジーユー)、スニーカー 3万8500円/ヨーク(HEMT PR)

シンプルなスウェットを合わせた、Iライン寄りのスタイル。「Iライン」シルエットとは、アルファベットの「I」のように上下を細めにして、縦のラインを強調したシルエットのこと。視覚的に身長を高く見せる効果があり、全体をすっきりとスタイリッシュに見せることができます。

シンプルだからこそごまかしが効かず、やや難易度は高めですが、そのぶん清潔感を出しやすいのが魅力。トップスを少し大きめにすることで適度なゆとりが生まれ、今っぽいリラックス感も演出できます。

【ここにも注目】トップスは“お尻が隠れる”くらいがちょうどいい

トップスのサイズ感を決める際は、“お尻が隠れるかどうか”をひとつの目安にするとよいでしょう。

お尻がほんのり隠れる程度ならバランスが取りやすく、もう少し大きめのサイズを選べば、Yラインシルエットもつくりやすくなります。

【ここにも注目】視線は上に。小物でメリハリを加えるテク

▲バッグ 3万8500円/ヨロズ(HEMT PR)

シンプルすぎると感じる場合は、トレンドのビッグショルダーなど、小物でアクセントを加えるのもおすすめです。

バッグで上半身にボリュームを持たせれば、視線が自然と上に集まり、脚の細さがより引き立ちます。

【ポイント5】足元チェンジで印象アップ。革靴でスキニーを格上げ

▲ローファー 1万2600円/ハルタ(ハルタ)

ちなみに、スニーカーを革靴に変えるだけで、コーディネートに上品さが加わります。たとえば、写真のように深みのある色合いの生デニムにローファーを合わせると、スキニーデニムでもトラッドな雰囲気が際立ち、大人っぽい着こなしが完成します。小物の選び方ひとつで印象が大きく変わるのも、ファッションの楽しさのひとつです。

それではここから、上品なスタイルを演出できるスキニーデニムを5本ご紹介します。

【アイテム1】大人の“こなれ感”をつくる、上品スキニーの代表格といえば

DENHAM(デンハム)
「BOLT HFMWD」(4万5100円)

▲カラーは写真のブルーのみ

2008年にオランダで誕生したデニムブランド「DENHAM(デンハム)」。職人技と最新技術を掛け合わせ、岡山デニムや独自のヴィンテージ加工によるリアルなエイジングが魅力です。

洗練されたシルエットにも定評があり、2020年には「NIKE × DENHAM Air Max 90」のコラボでも話題を集めました。

タイトなスキニーシルエットの「BOLT」は、ストレッチ性の高いフリームービング素材を採用し、フィット感と動きやすさを両立。ブラックのボタンやリベットが全体をクールに引き締め、ユーズドライクな深みのある色合いが大人の上品さを漂わせます。シンプルで洗練された一本は、幅広いスタイルにフィットしてくれます。

>> DENHAM

【アイテム2】はくたびに育つ、美シルエットのスリムテーパード

Nudie Jeans(ヌーディジーンズ)
「Lean Dean Dry 16 Dips(リーンディーンドライ 16 ディップス)」(3万800円)

2001年にスウェーデンで創設されたデニムブランド「Nudie Jeans(ヌーディジーンズ)」。最高品質の素材とトップクラスの縫製技術に定評があり、世界中のデニムファンに支持されています。

「Lean Dean」は、ストレートとスリムフィットの長所を融合させた定番のスリムテーパードモデル。腰まわりには適度なゆとりがあり、裾に向かってすっきりと細くなるシルエットが特徴です。深めの股上とストレッチの効いた生地によって、快適さと美しいラインを両立しています。

生地には11.5オンスのオーガニックコットンを使用。16回ものインディゴ染めによる深みのあるドライデニムは、リンス加工をしていないぶんコシがあり、穿き込むほどに風合いが変化。時間とともに“自分だけの一本”に育っていく、楽しみのある一本です。

>> Nudie Jeans

【アイテム3】Tシャツ1枚で決まる。快適&美脚デニムの最適解

ZARA(ザラ)
「クロップド丈スキニーフィットデニムパンツ」(6590円)

▲カラーは写真のカーボン のほか、ブラック 、ミディアムブルー 、ライトブルー 、ホワイト の5色展開

脚をすっきりと見せる、計算されたシルエットがポイント。裾に向かって緩やかに細くなるテーパードラインが、自然なスタイルアップを叶えます。太ももには適度なゆとりがあり、全体のラインは美しく整い、洗練された印象に。

クロップド丈ながら、日本人の体型にもなじみやすい絶妙な長さで、バランスよく履きこなせます。さらに、ストレッチ素材を使用しているため、締め付け感がなく、自然なフィット感で長時間の着用も快適。履くほどに柔らかくなじみ、こなれた雰囲気を演出してくれます。

また、5色の豊富なカラーバリエーションから選べるのも嬉しいポイント。シンプルなTシャツやシャツを合わせるだけで、大人のカジュアルスタイルがすっきりと完成するでしょう。

>> ZARA

【アイテム4】色あせ知らずでキレイが続く。“仕事にも効く”黒スキニー

EDWIN(エドウイン)
「ハタラクロ メンズ スキニーパンツ ストレッチ」(7590円)

黒スキニーは、ビジネスにもプライベートにも活躍する万能アイテム。とはいえ、色褪せやホコリの付着によって清潔感が損なわれてしまうこともあります。そこで登場したのが「ハタラクロ」。化学繊維と特殊な着色技術を用いることで、色あせしにくい仕様を実現。さらに、毛羽立ちを抑えた生地によってホコリの付着も軽減され、いつでも清潔感のある見た目をキープできます。

また、高いストレッチ性で快適な履き心地を実現。ポケット上部にはペン差しを備えるなど、ビジネスシーンにも便利な機能性を搭載しています。シンプルで洗練されたデザインと、自然な脚長効果を叶える美しいシルエットで、オンにもオフにもフィット。まさに、働く人のために設計された“頼れる黒スキニー”です。

>> EDWIN

【アイテム5】この快適さ、クセになる。色違いで揃えたくなる万能スキニー

GU(ジーユー)
「ウルトラストレッチスキニージーンズ」(2990円)

▲カラーは写真のNAVYの他、BLUE、BLACK、GRAYの4色展開

圧倒的な履き心地と、美しいシルエットを兼ね備えたGUの定番スキニージーンズ。ブランド最高水準のウルトラストレッチ素材を採用し、抜群の伸縮性で動きやすさも◎。程よい厚みのある本格的なデニム生地で、高見え感もバッチリです。

定番の5ポケットデザインで、流行に左右されず長く愛用できるのも嬉しいポイント。シャツやジャケットと合わせてきれいめに、オーバーサイズのトップスと合わせれば今っぽいカジュアルスタイルにもハマります。

ウエストは前ボタン&ファスナー仕様で、ベルトループ付き。カラー展開も豊富で、色違いで揃えたくなること間違いなし。デイリーに活躍する1本を、ぜひ手に取ってみてください。

>> GU

*  *  *

オーバーサイズの流行がすぐになくなることはありません。体型をカバーできて着心地も快適。さらに、オンラインショッピングが主流になった今、多少サイズが大きくても着られるという点で、サイズ選びのストレスも軽減されます。

とはいえ、2000年代のファッションが若者の間から大人世代にも広がりつつある今、スキニーパンツの再評価が進んでいるのも確か。これからのトレンドを見据えるなら、スキニーや細身のパンツをチェックしておいて損はないでしょう。

「普段はワイドばかりだけど、たまには細身も履いてみようかな」――そんなふうに思ってもらえたらうれしいです。

>> 2025年春のファッション特集

<メイン写真/田中利幸>

 

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