【達人のプラモ術】
ゲッコーモデル
「1/35 米海軍 パトロール エアクッション ビークル(PACV)後期型」
07/08
PACV製作の第7回。エンジン周りのステーやワイパーなど艤装パーツを取り付けて艇体を完成させ、さらにデッキ上にフィギュアを配置。手前味噌ではありますがブラウンウォーターネイビーのPACVは雰囲気アリアリの仕上がりとなりました。完成までもう一歩です! 今回は完成した艇体に汚しを入れていきます。(全8回の7回目/1回目、2回目、3回目、4回目、5回目、6回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■ジオラマベースと合体
まずは前回仕上げた艇体をベースの凹に収め、水面ベースに固定するため、PACVのフロート部の隙間に木工用ボンドを充填します。木工用ボンドは硬化すると半透明のビニール状になるので、手軽かつ簡単に今回のような喫水線の表現ができます。ただし隙間が5mm以上あるとボンドは流れて隙間が埋まらないため、事前に裏打ちをしておく必要があります。また乾燥後にけっこう肉ヤセするので、厚塗りはオススメできません。塗布後、ボンドは24時間乾燥させます。
▲ジオラマの地面部分は、タミヤのテクスチャーペイントで下地を作って、水で溶いた木工用ボンドで鉄道模型用のパウンダーを貼りつけている
▲ベース塗布した木工用ボンドの上から地面を再現するためのパウダーをまぶして乾燥定着させる
▲下草も鉄道情景素材を貼り付けて再現
▲製作したベースに艇体をはめ込んだ状態。このままだとスカートの喫水線部分に不自然な隙間が生じてしまうので、木工用ボンドを充填して隙間を埋め喫水線を再現する必要がある
▲ジオラマの水面と接する艇体の周囲にぐるりと木工用ボンドを充填
▲喫水線が均一になるよう木工用ボンドを充填。この状態で24時間間は乾燥させる
▲木工用ボンドは乾燥することで半透明となり喫水線を再現できる。次回さらに塗装を重ねることで、よりリアルな質感を再現していく
▲喫水線の隙間が木工用ボンドで自然な感じに埋まり、透明感のあるリアルな仕上がりとなっている
■艇体が完成
ベースと艇体をしっかりと接着できたら、艇体の艤装を進めます。
艤装パーツ取り付けの前にベースと合体させたのは、艇体から突出しているアンテナなどの脆いパーツがベース取り付け時に破損するのを防ぐためです。
推進用プロペラ周りに接触防止のステーを取り付け、キャビン上のアンテナやワイパー等、細かなパーツを取り付けていきます。どのパーツも細く繊細なのは良いのですが、ランナーから切り離す際に簡単に折れてしまうので、取り扱いには注意が必要です。特にワイパーは初めからステーが折れていて使用できなかったので0.3mmの真ちゅう線に置き換えています。
▲艇体のデッキに配したフィギュアと3Dプリンタパーツの担架
▲キャビンのワイパーは3カ所。ステーは真ちゅう線で作り直している。ガラス面はワイパーの拭き取り範囲外をダークアースで軽く汚している
▲推進用プロペラの保護用ステー、キャビン上部のアンテナ等を取り付けた状態。どのバーツも折れやすいので要注意。キャビン上部のアンテナも接着強度がないので、真ちゅう線を埋め込んで補強しておくことをオススメする
■仕様を変更
今回、艇体前面の乗降用ハッチとブリッジは格納状態で製作していたのですが(キットは格納状態と展開状態の選択が可能)、水上から地上に疾駆するPACVの動きの表現、特にホバークラフト特有の盛大な水煙の上手い表現が思いつかず、また追加したフィギュアがくつろいだポーズなので、これだと疾走状態は似合わんなぁ、といういこともありまして…。ムムムと悩んだ挙句、PACVは岸に接岸した状態として、ハッチとブリッジを開いている状態に変更しました。
これでポーズを改造して乗せた総舵手のフィギュアや苦労させられたキャビン内部のシートなどもバッチリ見えるようになりました。
▲艇体前面のハッチと乗降用のブリッジを開いた状態に変更
▲乗降用ハッチを開けたことで、キャビン内部のディテールが良く見えると同時にPACVの特徴もより表現できた
■河川哨戒艇ならではのウェザリング
ベースに固定したPACVの艇体にウェザリング(汚し塗装)を入れていきます。艇体はオリーブドラブの単色塗装で、そのままではどうしても単調に見えてしまうので、ウェザリングは必須です。
実物の写真を見る限り、作戦任務中のPACVはかなり汚れています。海で活躍する艦艇の潮焼けとはまた違う、ブラウン・ウォーター・ネイビーの名のとおり、メコン川の泥と埃にまみれており、強烈な日差しで塗装も退色しているようです。
今回はMr.ウェザリングカラーのブラウン系の色を使い、埃と泥といったウェザリングを施しました。同カラーは色数が多く、特に今回のような河川の泥や東南アジアの埃っぽい雰囲気の再現では重宝します。塗装はすべて筆塗り(綿棒も使用)となります。
実物の写真を参考にしつつ、Mr.ウェザリングカラーの「グレイッシュブラウン」と「ステインブラウン」を使い艇体の汚れを描いています。
ゴムが使われているフロート部分はグレイッシュブラウンを使い、乾いた泥汚れを再現。塗装したMr.ウェザリングカラーを、さらに専用溶剤を含ませた筆をこすりつけて溶かし、流れた泥汚れやムラを描いています。
個人的な見解ですが、ウェザリングって楽しいんですよ、なのでついついガッツリと入れてしまがちです。海外モデラーの作品でも多いのですが、これでもかってくらい汚していることが多いんですね。まぁこれは好みもあるので一概に入れすぎがダメだとは言いませんが、達人的にはガッツリウェザリングは好みではないので、ほどほど控えめに仕上げるようにしています。
▲Mr.ウェザリングカラー「グレイッシュブラウン」を筆塗りで艇体に塗装し、埃の汚れた質感を入れていく。ウェザリングカラーは専用の薄め液で希釈した状態で使用する
▲Mr.ウェザリングカラー「グレイッシュブラウン」の上から「ステンブラウン」を重ねて、泥の汚れを再現。ブレンディングしつつ、単調にならなように色を入れていく
▲胴体両側のデッキは木製と思われるので「グレイッシュブラウン」をメインにキャビンやエンジン周りは「ステイブラウン」と「グラウンドブラウン」を重ねることで汚れの質感を変えている。個人的な好みから、ウェザリングは控えめしている
▲実物の写真を見るとゴム製のスカートはもう少し泥の汚れを入れた方が良いようだ
▲水草が浮島のように密集して通常の艦艇では進めないような場所を進むPACV。艇全体が埃と泥で汚れているのが分かる
■ウェザリングカラーは上澄みを使う
Mr.ウェザリングカラーの使用に際しては、戦車等の泥汚れとは違う、埃っぽい、泥と水垢のような汚れを表現したかったので、攪拌した濃い状態ではなく、軽く攪拌して、さらに専用薄め液で希釈したものを筆で塗布しています。また筆を使ってキットの表面でウェザリングカラーをブレンディング(塗料を混ぜながらの塗装)も行っています。
今回、艇体の塗装はラッカー系塗料使用していますが、Mr.ウェザリングカラーは重ね塗りしても塗料を侵すことがないので、塗布後にウェザリングカラー専用うすめ液を使って綿棒等で拭き取りもできます。
GSIクレオス
「Mr.ウェザリングカラー」(各475円)
▲「グレイッシュブラウン」
▲「グランドブラウン」
▲「ステインブラウン」
ウエザリングやスミ入れ、ウォッシングなどに使用する油彩をベースにした伸びのよい塗料。さまざまなジャンルのスケールモデルに使用できる汎用的な色調となっている。グレー系が2色、地面の表現などに使用するブラウン系が8色、サブ系色が2色、ラインナップしている。フィルタリングリキッド等、他のMr.ウェザリングカラーと混色して使用することも可能。 成分的にポリスチロール樹脂にクラックを生じさせにくいが、ウォッシングなどで一度にたくさんの塗布は亀裂や破損を生じる場合もあるので避けた方がいい。希釈や拭き取りにはMr.ウェザリングカラー用うすめ液を使用する。
▲「Mr.ウェザリングカラー 専用うすめ液 (大)」(982円)
■牛のプラモ追加決定!
知人のモデラーが「PACV作っているなら、これ使いなよ」とPACVと同じゲッコーモデルからリリースされているフィギュアセットを譲ってくれました。ベトナム人の農夫が牛車で米袋を運んでいるいかにも60~70年のベトナムの風景といったキットです。
同社はこうしたベトナム戦争の日常的なフィギュアを多数リリースしているんですね。さすがに農夫のフィギュアはジオラマに合わないので使用しませんが、牛はありがたく使わせてもらうことにしました。1/35スケールでの牛のフィギュアは、タミヤの「動物セットⅡ」でキット化されているのですが、乳牛なので、東南アジアの牛と雰囲気が違うんですね。
ゲッコーモデルでは東南アジア、ベトナムではよく見る水牛もキット化しているのがさすがというか、マニアックですな。
さてこの牛をPACVとどう絡めるか…。
▲知人が譲って譲ってくれたゲッコーモデル「60sー70s Vietnamese Farmer Cattle Cart」。米袋を積んだ荷馬車と農夫が2体、荷車を引く牛が2頭で構成されたキット。ディテールもシャープで雰囲気も悪くない
ということで今回はここまで。PACVは完成し、ジオラマも大まかに仕上がりました。次回はここからさらにブラッシュアップを進めて完成を目指します。乞うご期待!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/668814/
- Source:&GP
- Author:&GP
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