“ロゴドンT”には抵抗あるけどなんか物足りない…という人に勧めたい「プリントT」という手段

【2025年春のファッション特集 #6】

気温もグンと上がり、2025年の夏は例年以上に暑くなりそうな予感。そんな時季に頼りたくなるのが、やっぱりTシャツです。でも、ただの無地じゃ味気ないし、かといって“ロゴドンT”みたいなインパクト重視のデザインにはちょっと抵抗がある…。そんな大人にこそおすすめしたいのが、絶妙なさじ加減で“こなれ感”を演出できるプリントTシャツ。

とはいえ、何でもアリというわけではありません。選びや着こなしを間違えると、子どもっぽく見えたり、カジュアルになりすぎたりするリスクも。だからこそ、今年は「プリントTをどう着るか?」が大人の夏スタイルを左右するカギになりそうです。

今回は、そんな“大人にちょうどいいプリントT”をスマートに取り入れる方法を紹介します!

執筆・監修/宇田川 雄一
ファッション&モノ情報誌で活躍するスタイリスト。ビジネスからアウトドア、インテリアまで守備範囲が広い。ウェアを始めバッグや靴、雑貨に至るまで最新トレンドを把握

【ポイント1】プリントTを大人っぽく着こなすなら、まずは“ベースカラー”で勝負!

▲左下)Tシャツ 9680円、左上)Tシャツ 9680円/ともにブランデット マキノ イチゴウ スガワラ(ともにBLANDET Tokyo)、中上)Tシャツ 参考商品/リミタート、右上)Tシャツ 2万2000円/ザ インター ナショナル アート コレクション (ともにノウン)、中下)Tシャツ 1500円、右下)Tシャツ 1500円/ともにユーティー(ともにユニクロカスタマーセンター)

プリントTは、どうしてもカジュアル色が強くなりがち。だからこそ、大人が選ぶなら“色”にこだわるべきです。まず間違いないのは、白か黒のベーシックカラー。プリントの存在感を引き立てながらも、全体の印象をぐっと引き締めてくれます。派手な色でインパクトを狙うより、シンプルな色使いで“余裕のある個性”を演出するほうが、今っぽくてスマートです。

さらに近年では、プリントのトレンドにも変化が。ブランドロゴを“ドン!”と押し出したデザインより、アートTやフォトTのように感覚的に楽しめる控えめなデザインが主流に。知っている人だけが気づく、そんな余白のある一枚こそ、2025年の空気感にフィットします。

【ポイント2】スラックスで品格をひとさじ。プリントTを“きちんと見せ”するテク

▲Tシャツ 9680円/ブランデット マキノ イチゴウ スガワラ(BLANDET Tokyo)、トラウザーズ 3万800円/バーンストーマー(HEMT PR)、シューズ 1万2650円/ハルタ(ハルタ)

プリントTの魅力は、無地Tにはない利便性にもあります。柄があることで視線が分散し、体のラインをぼかしてくれるうえ、薄手の生地でも透け感を気にせず着られる。実用性という点でも、夏のワードローブに欠かせない存在です。

とはいえ、デザインの主張があるぶん、どうしても少年っぽく見えてしまうリスクも。そこでバランスを取るなら、センタークリース入りのスラックスを合わせるのが正解。カジュアルなプリントTに“きちんと感”をプラスすることで、大人にふさわしい洗練された着こなしが完成します。

【ポイント3】大事なのはサイズ感。大きすぎるときは迷わずロールアップを!

プリントTを選ぶときは、デザインに惹かれて手に取ることが多いはず。でも、いざ試着してみると、微妙にサイズ感が合わない…なんてこともありますよね。そんなときは、袖を軽くロールアップするだけでOK。特に、肘まで落ちる長めの袖は、ロールアップすることでシルエットが引き締まり、シャープな印象をつくれます。

トレンドとして袖まくりの波はありますが、それ以上に大切なのは「だらしなく見せない」こと。サイズバランスを整えるだけで、Tシャツスタイル全体の洗練度がぐっと高まります。

【ポイント4】プリントTは“チラ見せ”でもう一段こなれる

▲シャツジャケット 8590円/ザラ(ザラ カスタマーサービス)

プリントTは、ただ1枚で着るだけじゃもったいない。シャツや薄手アウターを重ねて、“チラ見せ”することで、スタイリングに奥行きと遊び心を加えることができます。中でも今の気分にハマるのは、ライトな印象のデニムシャツアウター。カジュアルすぎず、かといってワーク感も強すぎず、プリントTをうまく引き立ててくれます。

さらに、プリントT以外をモノトーンでまとめれば、大人の上品さも自然とアップ。肩の力を抜きつつ、しっかり洒落たレイヤードスタイルを完成させましょう。

【ポイント5】夏の羽織りは開襟シャツがベスト!プリントTと色をリンクさせて洒落感を演出

▲シャツ 9990円/アンフィーロ(オンワード樫山)、Tシャツ 1500円/ユーティー(ユニクロカスタマーセンター)

Tシャツスタイルにひと手間加えたいなら、開襟シャツを羽織るのが正解。ボタンを開けたラフな着こなしで、プリントデザインをほどよく主張できます。さらに、プリントに使われている色とリンクするカラーを選べば、コーディネートに自然な統一感が生まれ、こなれた雰囲気に。

ここ数年人気の開襟シャツは、今季も引き続き注目株。特に、透け感のあるシアー素材や、編み目の表情が新鮮なサマーニット素材なら、真夏でも軽やかに着られて重宝します。一枚持っておけば、Tシャツスタイルに変化をつけたいときの強い味方に。プリントTをもっと自由に、もっと大人っぽく楽しめます。

【ポイント6】パンツとTシャツの色を揃えて、縦ラインを意識!

▲Tシャツ 参考商品/リミタート(ノウン)、シャツ 7990円、スニーカー5990円/ともにザラ(ともにザラ カスタマーサービス)、トラウザーズ 7万8100円/フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ(ノウン)

パンツの色とプリントTのベースカラーを近い色で揃えることで、全体にすっきりとした縦のラインが生まれ、スタイルアップ効果が期待できます。さらに無地×無地ではなく、プリントのあるTシャツを取り入れることで、シンプルすぎず、適度なアクセントもプラス。スタイリングに立体感とメリハリが生まれます。

こうした“色のつながり”を意識するだけで、Tシャツスタイルはぐっと大人っぽく、洗練された印象に。さりげない配色テクニックが、装いに奥行きをもたらしてくれます。

■この夏、大人が狙うべき「推しプリントT」5選

ここまでプリントTの着こなし方について紹介してきましたが、では実際、どんなブランドのTシャツを選べばいいのか。今の気分にフィットしていて、大人でも品よく着られる、そんな一枚をセレクトしました。ここからは、今季おすすめしたい「推しプリントT」5枚を紹介します。

【アイテム1】渋みと知性をまとう。植物をアートに昇華した一枚

ブランデット マキノ イチゴウ スガワラ
「MAKINO T-SHIRTS」(9680円)

▲カラーは左のMidoriと右のSakuraの2色をラインナップ。右のSakuraは裏返した状態

写真家・菅原一剛氏が、植物学者・牧野富太郎博士の標本をモチーフに撮影した写真集「MAKINO 植物の肖像」シリーズから、ビロードムラサキをプリントした一着。1億5000万画素の超高精細カメラで捉えた繊細な陰影と質感が、Tシャツを静謐なアートピースへと昇華しています。

裏面には博士のメッセージもプリントされ、自然へのリスペクトを感じさせるリバーシブル仕様。知的で奥行きのあるスタイルを演出してくれる一枚です。

>> ブランデット マキノ イチゴウ スガワラ

【アイテム2】 あのピカソの名作が“日常に着られるアート”に昇華

UT(ユーティー)
「パブロ・ピカソ UT」(1500円)

毎年話題を集めるUNIQLOのUTコレクション。今年は、20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソとのコラボが実現しました。ピカソは絵画にとどまらず、彫刻や陶芸、舞台美術にまで活動の幅を広げた稀代のアーティスト。数ある作品の中から4点をセレクトし、Tシャツという日常的なアイテムに落とし込んでいます。

なかでも注目したいのが、1922年作「ギターのある静物」をモチーフにした一枚。キュビズムならではの構成美と静かな色調が印象的で、装いに落ち着きと奥行きを与えてくれます。300点以上を展開するUTコレクションの中でも、クラシックかつ新鮮な存在感を放つシリーズ。アート好きもファッション好きも手に取りたくなる一着です。

>> UT

【アイテム3】コンビニで手に入るとは思えない 上質&アートな一枚

コンビニエンスウェア
「フォトTシャツ TOKYO SEQUENCE #1」(1998円)

▲カラーは写真のホワイトのみの1色展開

写真家・映画監督の奥山由之氏と「FACETASM」デザイナーの落合宏理氏によるプロジェクト「TOKYO SEQUENCE」と、ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」がコラボレーション。8mmフィルムカメラで撮影された映像から、わずか0.0何秒という瞬間を切り取った3コマを並べ、東京の移ろいを連続的なビジュアルで表現したアート性の高い一着です。

素材には上質なUSAコットンを使用し、肩の落ち感やステッチ幅など細部まで丁寧に設計されています。さらに抗菌防臭加工も施され、日常使いにも最適。「いい素材、いい技術、いいデザイン。」を掲げるブランドコンセプトを、気軽に体感できる一枚となっています。

>> コンビニエンスウェア

【アイテム4】“手刷り”だから生まれる、アートの深みを纏う一枚

THE INTERNATIONAL ART COLLECTION(ザ インターナショナル アート コレクション)
「【RK】SHORT SLEEVE T-SHIRT / Dancing, Kobe」(2万2000円)

▲カラーは写真のホワイトのほか、ブラックをラインナップ

“Homage to Art and Photography=芸術と写真への敬意”をコンセプトに掲げるTHE INTERNATIONAL ART COLLECTIONは、ロサンゼルスのINTERNATIONAL IMAGES社との提携により2021年に誕生。2022年秋からは“ウェアラブルアートTシャツ”という新たなコレクションを展開しています。アートごとにインクを調合し、職人が一枚ずつ丁寧に手刷りすることで、ギャラリー作品のような深みのある仕上がりを実現しています。

本アイテムは、幻想的な色彩と独自の視点で国内外から高い評価を受ける写真家・RK氏の作品をプリントした一枚。デザインに惹かれてから作家を知る、そんな出会いが楽しめるのも、フォトTならではの醍醐味です。

>> THE INTERNATIONAL ART COLLECTION

【アイテム5】松田優作の“スピリット”をまとった、ダークでエモーショナルなシネマT

SILAS(サイラス)
「MONOCHROME PHOTOGRAPH YUSAKU S/S TEE」(7150円)

好きな映画や心動かされたシーンをファッションに取り入れられるのも、プリントTシャツならではの魅力です。「MONOCHROME PHOTOGRAPH YUSAKU S/S TEE」は、リドリー・スコット監督作『BLACK RAIN』の世界観を、ダークに表現した一枚。故・松田優作氏の印象的なシーンをモノクロでプリントし、無機質でありながらエモーショナルな佇まいに仕上げています。

劇場映画としては、松田氏の遺作でもある『BLACK RAIN』。このグラフィックTは、その深い余韻を纏える特別な一枚です。Tシャツは気軽に着られるぶん、趣味や美学を自然に表現できるアイテム。だからこそ、“ただのファンアイテム”で終わらせない、センスとストーリー性を意識して選びたいものです。

>> SILAS

*  *  *

最近のトレンドは、無個性より“さりげない個性”。「無地Tシャツ」一強だった時代を経て、今またプリントTが再び注目を集めています。アートや写真、タイポグラフィなど、表現の幅も広がり、選ぶ楽しさがぐっと広がった今が、まさに絶好のタイミング。

今回ご紹介したのは、その中でも“大人が着てサマになる”プリントTのほんの一部。感性にフィットする一枚に、きっと出会えるはずです。

>> 2025年春のファッション特集

<メイン写真/田中利幸>

 

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