データベースを扱うシステムでは、複数の利用者が同時にデータを操作するため、競合(データの不整合)が発生することがあります。
この記事では、特定の条件で競合が発生していないかを確認するSQLの書き方について解説します。
競合チェックが必要な理由
データベースでは、同じデータを複数の処理が同時に更新しようとすると、意図しない上書きが発生する可能性があります。
例えば、以下のような場面が考えられます。
- Aさんがデータを更新しようとしている間に、Bさんが同じデータを変更してしまう
- その結果、Aさんの更新がBさんの更新で上書きされ、Aさんの意図した変更が反映されない
このような事態を防ぐために、データの競合が発生していないかを確認する必要があります。
SQLを使った競合チェックの実装例
以下のSQLを実行することで、指定したデータがデータベース内に存在し、かつ更新日時が一致しているかを確認できます。
SELECT COUNT(*) AS count FROM データテーブル名 WHERE id = $1 AND DATE_TRUNC('second', 更新日時カラム) = DATE_TRUNC('second', $2::timestamptz)
各条件の意味
id = $1
- 特定のデータ(行)を識別するための条件です。更新対象のIDと一致するデータがあるかを確認する
DATE_TRUNC('second', 更新日時カラム) = DATE_TRUNC('second', $2::timestamptz)
更新日時カラム
の値を秒単位で切り捨て、指定した更新日時($2
)と比較する- これにより、ミリ秒以下の細かいズレによる誤判定を防ぐ
このSQLの実行結果
count
が1以上の場合 → 指定したid
のデータが存在し、指定した更新日時と一致しているcount
が0の場合 → 指定したid
のデータが存在しない、または更新日時が異なっている
競合が発生するケース
このSQLを使ったチェックの結果 count
が0 になるのは、次のような場合です。
- データが削除された
- 対象のIDを持つデータがすでに削除されている
- 別の処理でデータが更新されている
- すでに別の処理によって更新日時が変わっており、指定した日時と一致しない
この場合、競合が発生していると判断できます。
実装例(Node.jsを使用)
実際のシステムでこのSQLをどのように実装するかを示します。
/** * データの競合をチェックする関数 * @param {object} client - データベース接続オブジェクト * @param {string} tableName - 確認対象のテーブル名 * @param {number} id - チェック対象のID * @param {string} updateDt - チェック対象の更新日時 * @returns {boolean} 競合がある場合はtrue、ない場合はfalse */ const isConflict = async (client, tableName, id, updateDt) => { const query = { text: ` SELECT COUNT(*) AS count FROM ${tableName} WHERE id = $1 AND DATE_TRUNC('second', update_dt) = DATE_TRUNC('second', $2::timestamptz) `, values: [id, updateDt], }; const results = await client.query(query); return results.rows[0].count === "0"; };
関数の説明
tableName
(テーブル名)、id
(対象のID)、updateDt
(更新日時)を引数に取る- SQLを実行し、条件に一致するデータの件数を取得する
- 取得した件数が0なら、データが存在しないか更新日時が変わっているため、競合があると判断する
- 競合がある場合は
true
を返し、競合がない場合はfalse
を返す
競合を防ぐための対策
楽観的ロックを使用する
楽観的ロックとは、データを更新する前に、更新前の情報と一致するかをチェックする方法です。
上記のSQLを実行し、データが想定どおりの状態かを確認してから更新処理を行います。
トランザクションを活用する
トランザクションを使用することで、データの更新が適切に行われるように制御できます。
競合が発生した場合はロールバックすることで、不整合を防ぐことが可能です。
更新日時の精度を統一する
システムによっては、更新日時の精度がミリ秒単位か秒単位かで異なることがあります。
SQL側で DATE_TRUNC('second', ...)
を使うことで、比較時のズレを防ぎます。
まとめ
データベースの競合を防ぐには、適切なチェックとロックの仕組みを導入することが重要です。
本記事で紹介したSQLの競合チェックを活用することで、データの整合性を保つことができます。
実装の際には、トランザクションや楽観的ロックと組み合わせて、より安全なシステムを構築してください。
- Original:https://minory.org/sql-check-conflict.html
- Source:minory
- Author:管理者
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