5月20日、GoogleによるAIベースのリサーチ・アシスタント「NotebookLM」にアプリ版が登場しました。
Googleアカウントさえあれば無料で使える、Geminiが組み込まれた最強のAIベースによる情報管理まとめツール「NotebookLM」。僕はブラウザ版が登場した時から使い倒していますが、最近気付いたのが「NotebookLMは音声メモからの文字起こし&まとめ作成ツールとして最強である」ということ。
雑誌やWebなどメディアで仕事をしている僕にとって、オフラインで行われる取材は日常茶飯事。でも、取材現場では「正確な情報をメモしたいけど、立ち話でメモを取る手が空いていない」とか「キーボードで打つにも追いつかない」という場面もあり、これをスマートに解決する方法をずっと探していました。
そんな時は録音デバイスによる音声メモが頼みの綱ですが、音声メモで録音しておいたとしても、今度は文字起こしが手間。
そんな仕事効率化の悩みに対して、この「NotebookLM」はほんとに便利なんです。僕が実際に取材の現場で実践している活用法を紹介していきます。
そして、ここで重要なポイントがひとつ。新たにアプリ版が登場したわけですが、テストした結果、残念ながら2025年5月現在、ブラウザ版とアップロードUIが異なるため音声ファイルを扱えません。今後のアップデートに期待しつつ、現状はスマホでも動くブラウザ版の「NotebookLM」を使いましょう。
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年よりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
■録音はスマートウォッチで「さりげなく」
最初に考えるべきことは録音デバイスの準備です。もちろん専用のICレコーダーも高性能で良い選択肢ですが、これだと気軽に音声メモに残す用途では扱いにくいし、とっさに準備できないことも。
そこで、「さりげなく」録音するデバイスとしてスマートウォッチの録音機能を活用します。
Apple Watchでももちろん対応していますが、僕が使っているのはAmazfitのスマートウォッチ「Amazfit T-Rex 3」です。
アウトドア志向のスマートウォッチなのですが、本体に音声アシスタント機能があるので、実は内蔵マイクの性能がいい。それから隠れた推しポイントとして、オフライン地図データなどの保存用に32GBもの内蔵ストレージを搭載しています。バッテリー持続時間もハードな利用でも13日間持つので、ビジネスの現場でも好都合なんですよね。外見としてはただの時計なので、手首に付けていて違和感がないし、普段のやり取りをしながら、しっかりと音声メモとして記録を残せるわけです。
▲さりげなく音声メモの録音が可能
もちろん、Apple Watchなど他のスマートウォッチでも録音機能付きのものはたくさんあるので、マイク性能、ストレージ、バッテリーが揃えば他機種でも構いません。
■録音した音声ファイルから「NotebookLM」までスマホで完結
では、スマートウォッチで録音した音声ファイルから文字起こしと要約づくりをしていきましょう。
▲検証時には僕のYouTubeチャンネルの動画の音声を録音
具体的な手順は以下になります。
1. スマートウォッチのアプリ(AmazfitならZeppアプリ)で音声を取り込む
2. 取り込んだ音声ファイルを保存
次に、取り込んだ音声ファイルをZeppアプリの共有ボタンでスマホの内蔵ストレージに保存します。ここで「NotebookLM」アプリに直接送っても、アプリ版は音声ファイルを読み込んでくれないので注意しましょう。
3. 「NotebookLM」にアップロード
ブラウザ版の「NotebookLM」を開き、新しいノートブックを作成して「ソースをアップロード」ボタンから「ファイルを選択」で、先ほどスマホの内蔵ストレージに保存した音声ファイルを追加します。
操作こそ複数ステップにわたりますが、所要時間でいえばスマートウォッチ→内蔵ストレージ→「NotebookLM」へアップロードで1分強程度。これだけで「NotebookLM」が音声ファイルを解析し、文字起こしを開始してくれます。
なお、2.のステップで音声ファイルをGoogleドライブに直接保存することも可能ですが、Googleドライブに保存しても「NotebookLM」のUIからGoogleドライブの音声ファイルには直接アクセスできません。この場合はブラウザ版「NotebookLM」の「ファイルを選択」を開いて、上の階層からGoogleドライブにアクセスします。また、PCやMac環境ではローカルファイル扱いでアップロードすることも可能です。
■完全無料で文字起こし以外の「NotebookLM」活用法
「NotebookLM」の機能は、ただ文字起こしをしてくれるだけではありません。今回の活用法の目的である“メモの作成”という部分まで自動化できます。
▲音声メモから音声概要と文字起こしを自動作成
音声ファイルをアップロードしてしばらくすると、チャット画面にAIが自動で概要をまとめて表示します。ソースタブでは、音声メモをそのまま文字起こししたテキストを確認できます。
▲ソースタブから音声ファイルを選ぶとそのままの文字起こしも確認可能
「NotebookLM」が採用するAIはGoogleのAI「Gemini Flash」がベースとのことですが、日本語音声の認識精度は優秀。「NotebookLM」上のタイトルも内容に合わせて自動で付けてくれるので、音声ファイルを上げておけば、後はお任せでOK。
音声メモの内容をより詳しく読むなら「Studio」タブから「ブリーフィングドキュメント」を生成しておくと、より詳しい内容を含むメモを作成できます。これを「ソースに変換」しておくと後で読み返す時にも便利。ちなみにこの機能は、複数のソースにも対応しているので、複数の会議やインタビューの内容を横断的に把握したり、音声メモ同時にPDFの資料を渡すような使い方も可能です。
▲メモ内容を読み返すにはAIに「ブリーフィングドキュメント」を作成してもらうと便利
それから「NotebookLM」のチャット機能を使えば、音声メモ内容に質問もできます。例えば「この音声で〇〇について話している部分を教えて」といった質問にも答えてくれます。回答内容は発言文字起こしの引用付きで安心です。AIの「Gemini」が一体化しているので、「内容を読みやすいレポートにまとめて」と指示すれば、きれいな文書にも一発で変換できます。
▲音声メモの内容に対してチャットで確認したいポイントの質問が可能
■音声ファイルを扱う管理ツールとしては本当に最強なのでは
録音した音声ファイルを読み込めて、無料で文字起こしまでできて、ノートブック形式で操作性が良く、使い勝手の良いツール「NotebookLM」。ブラウザ版、アプリ版を併用することでスマホでもPC/Mac環境でも利用可能です。
ここにたどり着くまでに僕は、AIまわりで試行錯誤してきました。ChatGPTやGemini、Claudeなどは音声ファイルを読み込まないし、Apple Intelligenceは音声認識の精度とメモの扱いが今ひとつ。ICレコーダーに紐づいている他社製品では、専用アプリによる文字起こし部分の時間制限があったりしました。
「NotebookLM」は、Web上のデータやPDFファイル、YouTubeまで扱える多機能なリサーチ・アシスタントと呼ばれるツールですが、他のAIで使いづらい音声メモのファイルを扱えるとは予想外の便利さです。有料のPro版ユーザーなら、最近日本語にも対応して話題になった音声概要の機能につなげることもできます。
スマートウォッチによる音声メモの録音と、「NotebookLM」の無料で使える強力な文字起こし&AIベースの分析とまとめ機能は、仕事におけるメモを最高に効率化してくれます。使ってみると、きっとAIを活用した仕事効率化のすごさに気づきますよ!
<取材・文/折原一也>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/678416/
- Source:&GP
- Author:&GP
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