ソニーのワイヤレスヘッドホンの次世代モデル、「WH-1000XM6」が5月30日に発売されます。
▲ソニーのワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM6」。予想実勢価格は5万9400円
世界的に大ヒットとなった前モデル「WH-1000XM5」から約3年ぶりとなる新モデルになります。進化ポイントは、新開発プロセッサー“QN3”によるノイズキャンセリング性能や音質のさらなる強化など多数。さらに「WH-1000XM6」ではグラミー賞受賞/ノミネート歴のある著名サウンドエンジニアとの共創による徹底した音質チューニングもスタートしました。
今回は発売前のソニー「WH-1000XM6」の実機をお借りして、外見・ノイズキャンセル・音質と全方位に実力をチェックしていきます。
▲折りたたみ対応になった
手にとってまず現行ユーザーが気づくであろうポイントが、前モデルでは非対応だった本体の折りたたみ機構の復活です。
▲キャリングポーチは片手オープン可能な構造
「WH-1000XM6」というとソニー最高音質のヘッドホンであると同時に、航空機に乗るときや電車での通勤・通学用途までカバーする屋外利用も想定したモデルなので、毎日持ち歩きやすい方向にあらためて振ってきたということですね。
▲耳をゆったりと覆うオーバーヘッド構造
▲イヤーパッドは低反発な素材になり密閉度もアップ
装着感は相変わらずの快適さですが、細かな違いとしてヘッドバンド部の幅が広がっりつつ、頭頂部の膨らみは抑える形に。頭部への接地面積が増えることで安定性と快適性が向上しています。
ノイズキャンセリング性能は、新開発の“高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN3”を搭載によって世界最高クラスの性能をさらに強化。スペック上は従来のQN1の処理速度の7倍以上にアップ。内蔵マイクも左右合計12個にまで増強しています。ちなみにノイズキャンセルONの状態でも連続30時間再生が可能です。
▲電車内でノイズキャンセル性能をテスト
実際にソニー「WH-1000XM6」を持ち出して電車内で騒音低減を試してみましたが、ノイズキャンセル性能は確かにトップクラスの優秀さです。電車走行中の重低音の騒音はほとんど聞こえなくなる上に、ガタガタとした電車の揺れる音、人の声も大幅にボリュームダウン。
同じ環境で前モデルの「1000XM5」と比べてみると、特に中低域の騒音低減が向上していることが分かります。常に最適なノイズキャンセリングを提供する“アダプティブNCオプティマイザー”は完全無音よりも自然さを重視するタイプで、他社のノイズキャンセルが苦手な人にも合いそうです。
▲外音取り込みも優秀で装着したまま渋谷を歩いて問題なし
なお、外音取り込みも優秀で、周囲の音はクリアに聞こえるタイプ。装着したまま渋谷の雑踏や電車内でも過ごせたので、屋外ヘッドホン派も扱いやすいですね。
音質については、専用設計のドライバーユニットを採用。さらに新プロセッサー“QN3”の機能として“先読み型ノイズシェーパー”を新たに開発し、急峻な音の立ち上がりに対する応答性を向上。Bluetoothコーデックは引き続きハイレゾワイヤレスのLDACコーデックに対応しています。
▲音質を「WH-1000XM6」(写真右)と前モデル「XM5」(写真左)で比較
「WH-1000XM6」で宇多田ヒカル『BADモード』から聞き始めると…一聴した瞬間にわかるほどに、前モデルから音質は激変。まず気づくのは、情報量の多さ。そして前モデルから引き継ぐ空間の広さとともに、歌声の聞きどころを押さえたビビッドさを手に入れたこと。低音は極めて深く鳴らすと同時にリズム感のキレも極上。洋楽のROSÉ & Bruno Mars『APT.』は特に、鮮やかな歌声と空間的定位のリアルさ、バスドラムのアタックの鋭さなど相性は最高です。
▲専用アプリからのイコライザーも10バンドに強化されています
屋外の路上でノイズキャンセルをかけつつ大音量で音楽を聴き込んでみたのですが、頭のまわりを取り巻くサウンドの定位で、周囲の環境を忘れるほど音楽に没頭させてくれるサウンドなんですよね。一方で小音量リスニングでも音の鮮やかさとパワフルな低音と聞きどころは外しません。
前モデルの「1000XM5」のストイックながら“薄い”サウンドから、“聴いて楽しいサウンド”になったところに、音楽サウンドエンジニアとの共創の成果を感じます。
また新搭載“360 Upmix for Cinema”では、ステレオ音源のNetflixやYouTubeの映画や動画を立体的な音場へとリアルタイムで変換。やや強めにサラウンド感が付くサウンドですが、臨場感重視なら活用したいモードです。
▲通話マイクの音質と“AIビームフォーミング”性能も向上
オンライン会議や通話が増えた今、マイク性能も重要です。「WH-1000XM6」は6つのマイクを使ったソニー独自の”AIビームフォーミング”を搭載。ビデオ会議でテストしてみたところ、マイク音質は低音まで厚みがある音質なだけでなく、テストした横の部屋のテレビの音声を拾わない集音も完璧。「1000XM5」は通話マイク性能が今ひとつだったこともあり音質は大きくアップしました。
* * *
ソニー「WH-1000XM6」、改めて実機を使い込んでみると、大ヒットモデル「1000XM5」の後継機種として音質、ノイズキャンセル性能アップだけでなく、この3年間分の進化をやりきった感があります。ただ、近年発売の製品の例に漏れず価格が5万9400円とハイエンド価格帯へと突入。でも、これだけ出来が良ければ十分価値のあるヘッドホンの選択肢になりますね。
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年よりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/678717/
- Source:&GP
- Author:&GP
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