Ankerの最新防犯カメラ「Eufy eufyCam S3 Pro」徹底レビュー!顔認識AIと検知精度が大幅進化

自宅を守るために取り付ける、Wi-Fi&スマホで利用可能な防犯カメラ。僕の自宅では、これまでに通算16台もの防犯カメラを取り付けてレビューしてきました(うち12台は現在も自宅内外を監視中)。そして今回テストしたのは、Ankerが5月22日に発売した最新モデル「Eufy eufyCam S3 Pro 2-Cam Kit」です。

実はこのAnker「Eufy eufyCam S3 Pro 2-Cam Kit」、今年1月にレビューしたばかりの「Eufy eufyCam S330 2-Cam Kit」の後継モデルになります(記事はこちら)。

4K高画質(3840×2160画素、約800万画素)のカメラ2台と、顔認識AI「BionicMind」を搭載したホームサーバー「HomeBase S380」、さらに外付けのソーラーパネル1台。直販価格は5万9990円と、前モデル「EufyCam S330」(4万9990円)から1万円アップし、業界内でもハイエンド価格帯になりますが、新たにソーラーパネルが付属しています。

▲ホームサーバーと2台のカメラ、外付けソーラーパネルをセットしたパッケージ

防犯カメラとしての性能も向上しています。

まず従来の赤外線(PIR)センサーに加えて、レーダー方式も採用した2つの検知方式により、検知精度をアップ。最大12m先まで動作検知が可能になっています。そして夜間撮影では「MaxColor Vision」技術により、スポットライトなしでも最大9m離れた人の顔やクルマのナンバープレートをフルカラーで識別。

また「HomeBase S380」が屋内に設置するNAS形式というところもポイントです。有線LAN接続が必須なので、ルーター近くに配置することになります。なお、出荷時16GBの内蔵ストレージのみですが、2.5インチのHDD/SSD追加で最大16TBまで拡張可能になっています(今回はHDD増設は未テスト)。

▲家庭内にセットしたホームサーバーに録画するタイプ

レビューでのカメラ設置場所は、敷地入口の門付近と玄関横の2カ所。本来は壁へのネジ打ち込み固定が推奨ですが、日本の家庭ではハードルが高すぎるので、今回はテストということでダイソーで購入した黒い金属製ネットを活用しました。カメラ本体は約540g(ブラケット除く)とやや重量感がありますが、付属の取り付けブラケットを結束バンドで金属ネットに固定することで仮設置しました。

▲毎回頭を悩ませるレビュー時の仮設置。今回はダイソーの金属製ネットを活用

▲1台は門横にあたる塀に金属ネットごと結束バンドで固定

カメラ上部には小型のソーラーパネルを搭載しているので、Wi-Fiの電波が届けば電源配線ナシで使えます。だから設置は簡単…と思いきや、防犯カメラとして撮影したい位置や向きと、カメラ上にあるソーラー発電のための日当たりを同時にカバーする必要があるため、設置場所にかなり悩みました(メーカー公称では、日当たりの良い場所で1日1時間の充電があれば、30秒の動画を1日10件録画しても約365日バッテリーが持続)。

今回レビューする「Eufy eufyCam S3 Pro 2-Cam Kit」にはバックアップ用の別体ソーラーパネルが1台付属しているので、どうしても日陰となってしまう玄関横に設置したカメラにはこのソーラーパネルを接続して一緒に固定しました。

▲玄関横にはカメラと外付けソーラーパネルをまとめて固定

それでは防犯カメラの画質やアプリの操作性などをレビューしていきましょう。

 

■人物検出の精度は向上。AI顔認識も強力

話は前後しますが、まずは開封後のセットアップから紹介していきます。

初期設定は「Eufy Security」アプリを利用します。最初に「HomeBase S380」を有線LANに登録してから、付属のカメラ2台を接続する流れになります。

▲ホームサーバー、カメラの順に「Eufy Security」アプリに登録

登録を済ませると、他のAnker “Eufyシリーズ”のカメラと同じように扱えます(過去にレビューした「Eufy SoloCam S340」など。記事はこちら)。

▲登録後はアプリからライブ視聴も可能に

では画質からチェックしていきますが、やはり4K画質の威力を実感します。日中の映像は鮮明で、135°の広視野角と相まって1台でカバーできる範囲は十分。4K解像度でビットレートは数百kbps程度なので、ノイズは多めではありますが、屋外照明のある夜間撮影でもカラーで鮮明に映ります。

▲昼間の撮影映像

▲夜間の撮影映像

設置後すぐに出張で不在になる予定だったので、検知対象はデフォルトの「人物(顔認識)」と「人物(検知)」のみの状態にセット。バッテリー管理はデフォルトの「バッテリー節約モード」(最大20秒録画)ではなく、「監視モード」に切り替えおきました。

出張から帰宅後、アプリで録画内容にあたる「リスト」を確認してみると、2台のカメラで800件近い録画が記録されていました。

ここまで録画数が多いと録画内容の確認は手間ですが、ここで独自機能である顔認識AI「BionicMind」が活躍します。録画内容を確認できる「イベント」を見ると、カメラ映像から映った人の顔をピックアップしてアイコンとして表示してくれています。これなら動画内容を再生しなくても動画を一覧で確認できますね。

▲「イベント」は録画ビデオに顔アイコンを表示(一部、プライバシー保護のためぼかしを入れています)

ポイントは、顔は検出するだけでなく特徴を認識してデータベース化すること。だから、日を越えた絞り込み条件としても利用可能です(未登録のままでも利用できます)。特定の誰かの動きを確認する、定期的に家の近くを通る人がわかる、そして普段見かけない人が防犯カメラに映っていることにも気付きやすくなります。なお、検出時にスマホへ通知、さらに画像添付も可能なので、もし要注意人物がいるようなら活用できそうです。

▲顔認識した対象は自動でデータベース化。家族や宅配業者などの登録も可能です

レーダー方式を追加した新しい検知システムも効果的でした。前モデルでは見逃しがちだった素早い動きの新聞配達のバイクも、今回は「人物(検知)」としてキャッチ。また検知から録画開始の反応速度も高速化していて、バイクが道に侵入してきたところから撮影できていました。

6日間のバッテリー収支も確認してみます。

日なたになる門に設置したカメラ(カメラ上のソーラーパネルのみで稼働)はイベント2838件、録画265件で100%から96%に低下、やや日陰の玄関(カメラ+外付けソーラーパネルで稼働)はイベント909、録画519件で100%から94%に低下。計算上は半年単位でバッテリーが持ちそうとはいえ、録画対象を人物のみに限定してマイナス収支はやや心許ないところです。

ただし、アプリ内でバッテリー収支やソーラーパネルの発電量などのさまざまな情報を確認できるので、検出条件など調整する材料は揃っています。

▲ソーラーパネルの発電量レポート。カメラ一体と外付けも分けて集計

▲他のカメラには珍しい検知ヒートマップ。これを元に検知不要なエリアの除外も可能

*  *  *

今回テストしたAnker「Eufy eufyCam S3 Pro 2-Cam Kit」ですが、ただのハイエンド防犯カメラというだけでなく独自性が際立ちました。

とにかく顔認識AI「BionicMind」が決定的にユニークで、一週間から月単位で見た時に、頻繁に検出する人と出没する不審者の区別が付くのは、これまでの防犯カメラを超えた便利さです。約6万円という価格は防犯カメラとして高額ですが、録画サーバーにはHDD/SSD増設が可能で月額料金は不要。1台にすべてお任せするという考え方で導入しても良さそうです。

なお、防犯カメラの真の目的は「犯罪の抑止」です。設置後は「防犯カメラ作動中」のステッカーも忘れずに貼って、その存在をアピールすることをお勧めします。

▲防犯、そしてご近所トラブル防止のためにもネット通販等で購入可能なシールの貼り付けを

>> Anker

<取材・文/折原一也 撮影協力/アンカー・ジャパン>

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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