先行受注好調! 操縦性・走行安定性・悪路走破性、すべてが性能アップした第6世代スバル「フォレスター」

スバル「フォレスター」が第6世代にモデルチェンジして、2025年4月に発表されました。4月の先行受注で売れ行きは快調といい、生産が需要に追いついていないと、メーカーではうれしい悲鳴のようです。6月初旬に、2.5リッターハイブリッドと、1.8リッターターボの2台に乗りました。

北米市場でも人気が高いというだけあって、新型フォレスターのルックス、ぐっとアメリカン的な力強さを感じさせるようになりました。米国のピックアップトラックとかSUVのような、幅広くて大型のグリルと、やはり大きなバンパー一体型エアダム。見た目の質感も上がっています。

▲ストロングハイブリッドのプレミアムS:HEV EX

▲ストロングハイブリッドのX-BREAK S:HEV EX

▲ダウンサイジングターボのSPORT EX

見た目だけではないようです。操縦性、走行安定性、悪路走破性、どれをとっても、従来型からの向上がみられます。基本的なパーツは従来型からの流用ですが、ボディをフルインナーフレーム構造として剛性をアップ。そのメリットが、走りに表れているのです。

フォレスターは、そもそもSUVのなかでもクロスカントリー、つまり本格的な4WD車の要素も大事にしてきたモデルです。スバルではそこもしっかりアピール。今回、従来型と新型の乗り較べを、岩場のコースで試すことができました。

▲プレミアムS:HEV EXに用意されるナッパレザーとウルトラスエードのコンビネーションシート

▲後席空間は広いうえに、シートバックレストは2-1-2可倒式

■より繊細かつ快適になった「X-MODE」の駆動力

スバル車の特長のひとつが「X-MODE」という、悪路用の制御機能。車輪の駆動力や左右輪の差動装置を制御する機能で、「スノウ&ダート」と「ディープスノウ&マッド」がモニター画面内で選択できます。

▲クリーンな造型のダッシュボードで、「X-MODE」をはじめ多くの操作をモニター内でおこなう

新型では、駆動力の制御がより繊細になって、悪路でも快適性が向上。加えておどろいたのは、揺さぶられ感がうんと減ったことです。岩場の走破性は、従来型もけっして悪くはないのですが、悪い路面を踏み越えていくときの突き上げなどは、新型ではあきらかに減少。後席にいても、おなじことをかんじるほどです。

理由は、上記の高剛性ボディ、とスバルの開発者。サスペンションシステムの動きの自由度が高くなり、ショックの吸収や、車体の姿勢制御など、本来の働きができるようになったといいます。

「X-MODE」に入れていると、急勾配の下り坂では時速20kmぐらいまでは、車速を保ちながら、車両が自動でブレーキをかけながら降りていきます。ドライバーはステアリングホイールを操作するだけ。

もうひとつ、このサイトの読者に大事と思ってもらえそうなのが、世界で初めてサイクリスト用エアバッグを装備したことです。不幸にも自転車乗りと接触した際、跳ね上がったそのひとをボンネットでしっかり受け止めます。かつ、頭部が、車体のなかで最も硬いAピラーによって強度のダメージを受けるのを防ぐため、凹型のエアバッグがウインドシールドのフレームの上にぼんっとふくらむのです。

キャンプ場など、車両と自転車が同じ道で出合う機会の多い場所では、ちょっと安心の装備です。もちろん、事故を起こさないよう、たがいに最大限の注意を払うのが大前提なのですが。

ここでもうひとつ紹介したいのが、オプションの豊富さです。フォレスターで趣味の世界に入るひとのために、さまざまな用品が用意されています。

フロントアンダースポイラーやサイドプロテクターをはじめ、日光の反射を抑えるフードデカールやカードトレイマット、さらに大中小えらべるルーフテント(Thule製)というぐあい。

▲THULEのルートトップテント(写真は2人用Sサイズ)などを載せた例

とくに注目は「荷室大活用パッケージ」で、荷室内ボディにボルト留めする堅牢なユーティリティフック、それを使うユーティリティバー、重いものを載せられるカーゴシェルフボードなどから構成されています。

▲ユーティリティフック、ユーティリティバー、カーゴシェルフボードで構成される荷室大活用パッケージをベースにアクティブライフブースターパックなどを組み込んだ例

▲自転車好きのアクティブなライドをサポートする装備も充実

▲フロントシートバックからリヤドアトリムまでを保護する形状のカーゴカバーを装着すれば、自転車などの大きな荷物を気兼ねなく載せられます。手洗い可能な防水生地製

■足回りは少し硬めな印象で車体の反応はダイレクト

乗ると、ハイブリッドモデルは大人っぽい印象です。先述の通り、走りはスムーズで足回りはしなやか。こそこそ声でも会話ができるぐらい静かなのにもビックリさせられました。

従来2.5リッターはマイルドハイブリッドでした。今回から、スバルの言葉でいうストロングハイブリッドになりました。スムーズな道だと、軽くアクセルペダルを踏んでいるかぎりEVモードになります。このクルマの運転に慣れれば、かなりいい燃費を出せるかもしれません。

対するターボのエンジンは、形式的にはハイブリッドモデルと同じ水平対向型。理想空燃費を追求したリーン燃焼を採用しつつ、高温になりやすいため、ターボを組合せて、温度管理を徹底しています。ドライブの体感としては、2000rpm前からターボチャージャーが働きはじめて、パワーが増すのがわかります。

足回りも、スポーティな印象を強めたターボモデルに合わせて、すこし硬めに設定。ステアリングフィールも同様で、切り込んだときの車体の反応がよりダイレクトにかんじられました。

4月に受注が開始され、ハイブリッドの先行予約が、生産予定をだいぶ上回り、納期は長めになっているようです。ターボがほうが納期が早いとのことで、迷うひともいるはずです。

2つのモデルは、そういうわけで、ことなるキャラクターを持っています。ただ、燃費はさておき、長距離でも疲れにくいとか、悪路での走破性とか、ステレオカメラ、広角単眼カメラ、前側方レーダーからなる「アイサイト」あるいは運転支援機能もそなえた「アイサイトX」といった機能は、どららのモデルでもえらべます。

モデルラインナップは、1.8リッターターボが「スポーツ」(404万8000円)と「スポーツEX」(419万1000円)、ストロングハイブリッドが「X-BREAK S:HEV」(420万2000円)にはじまり「X-BREAK S:HEV EX」(447万7000円)、「プレミアムS:HEV」(448万8000円)、そして「プレミアムS:HEV EX」が459万8000円。EXモデルにはアイサイトXが搭載されています。

【Specifications】
Subaru Forester S:HEV(カッコ内はSPORT)
全長×全幅×全高:4655×1830×1730mm
ホイールベース:2670mm
エンジン:2498cc直列4気筒ハイブリッド(1795cc直列4気筒)
駆動:全輪駆動
最高出力:118kW(130kW)+モーター88kW(なし)
最大トルク:209Nm(300Nm)+モーター270Nm(なし)
燃費 :18.4km@L(13.6km@L)(ともにWLTC)
乗車定員:5名
価格:448万8000(408万8000)万円

>> SUBARU

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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