ブラッド・ピット主演映画「F1/エフワン」の撮影には、AppleのエンジニアたちがiPhoneのカメラを流用して制作した専用の車載カメラが用いられています。Appleは、世界開発者会議(WWDC25)の期間中、一部のメディア向けに映画「F1/エフワン」に使われた車載カメラの開発秘話を明かしています。
Appleに寄せられた要望。映画品質の映像を、車載カメラで!
6月27日に公開されるAppleのオリジナル映画「F1/エフワン」のジョセフ・コシンスキー監督と、撮影監督のクラウディオ・ミランダ氏は、本物のドライバー視点の映像を映画に使いたい、とAppleに相談しました。
映画スタジオで使用されるカメラをF1マシンに搭載することは不可能ですし、テレビ中継で使われる小型カメラは、映画に使用できるレベルの映像品質ではありません。
この無理難題を絶好の機会と捉えたAppleは、映画「F1/エフワン」専用のカメラを開発することを決めました。
Apple技術陣、iPhone15 Proカメラを大改造!
テレビ中継に使われる小型車載カメラと同じ大きさと重量で、F1マシンの過酷な衝撃と振動と熱に耐えられるカメラには、iPhoneのカメラモジュールが使用されることとなりました。

開発された車載カメラは、iPhoneのカメラとは似ても似つかない形状となっていますが、内部にはiPhoneのカメラセンサーと、Aシリーズチップが搭載されています。

映画が撮影された時期から、iPhone15 Proに搭載されている48MPセンサーとA17 Proチップが組み合わせられたと推測されています。
車載カメラには、iPhoneのバッテリーや、露出制御をしやすくするNDフィルター、そして専用のカスタムiOSファームウェアまで搭載されています。

撮影映像はProRes Log形式で記録されることで、他のシーンとの色合わせなどの高度な編集が可能となっています。
撮影陣向けに専用iPadアプリも開発
F1マシンには、無線通信装置の搭載が厳しく制限されているため、カメラをワイヤレスで制御することができませんでした。
そこでAppleは、カメラリグとUSB-Cで接続するiPad用に専用アプリを開発しました。撮影陣は、このアプリを活用してホワイトバランスやフレームレート、録画開始/停止などの制御を行なったそうです。

専用車載カメラで撮影された映像は、映画「F1/エフワン」の至る場面で登場しているそうなので、映画を鑑賞する際は車載カメラが使用されたシーンにも注目してみてください。

Appleが開発した車載カメラの動画はこちら
自動車メーカーがF1の技術を市販車に活かすように。
世界の自動車メーカーは、過酷なレースで勝利を追い求めるだけでなく、世界最高峰の現場で磨いた技術を市販車向けに活用しています。
Appleも、ハリウッド映画制作の現場で求められる映像技術を、iPhoneカメラの研究開発に活用しているかもしれません。
Appleは、iPhoneの「Apple TV」アプリで再生すると、F1マシンの音や音楽に合わせてiPhoneが振動する、映画「F1/エフワン」の特別版の予告編を公開しています。
Apple Musicでは、映画のサウンドトラックが先行リリースされています。
Photo: Bobby Tonelli/YouTube
- Original:https://iphone-mania.jp/apple-595858/
- Source:iPhone Mania
- Author:hato
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