2025年上半期注目ワイヤレスイヤホン4機種レビュー。“ながら聴き”と“高コスパ”がトレンドを牽引

2025年も進化を続けるワイヤレスイヤホン市場。今年のテーマはライフスタイルに寄り添う形の“多様化”。音楽リスニングの定番である高音質なノイズキャンセリングイヤホンが各社から登場する一方、アンカー「Soundcore Liberty 5」やソニー「WF-C710N」など1万円台の価格帯で機能と音質の高さを実現したコスパ重視の製品が大躍進しました。

▲「Soundcore Liberty 5」「WF-C710N」「Soundcore AeroClip」「OpenDots ONE」4機種をレビュー

同時に、耳を塞がずに周囲の音も聞き取れる“オープンイヤー型”の中でも、耳に挟み込む“イヤーカフ型”としてアンカー「Soundcore AeroClip」やShokz「OpenDots ONE」が登場しトレンド化。音楽を聴きながら家事や仕事、運動するという“ながら聴き”が、一時的なブームではなく完全に定着を始めたと言えます。1台の高性能イヤホンを求めるだけでなく、通勤・通学用の高音質モデル+自宅や運動時に使うオープンイヤー型といったように、目的とスタイルに応じて複数台を使い分ける時代へと本格的に突入しました。

こうした2025年上半期のトレンドを象徴する4つの最新モデルをピックアップ。実機インプレッションをお届けします。

 

■アンカー「Soundcore Liberty 5」

定番ブランド・アンカー主力モデルのアップデート版が6月に登場しました。2022年に発売され人気を博した「Soundcore Liberty 4」の正統後継機になります。

最大の進化点は、同社独自の「ウルトラノイズキャンセリング」が2.0から3.5へと大幅に強化されたこと 。周囲の騒音をより効果的に低減。音質面ではハイレゾワイヤレスのLDACコーデック対応のほか、立体音響技術Dolby Audioも搭載。1万円台半ばという価格設定ながら、他社の最上位クラスに相当するトレンド機能の網羅はまさにコスパ最強仕様です。

サウンドをチェックすると、Anker流と呼ぶべき強烈な重低音はそのままに、高域の鳴りを抑えてややバランス志向のサウンドになりました。それでもサウンドキャラクターは重低音寄りではありますが、現代のポップスやロックでは臨場感と迫力の揃ったサウンドとして没入感抜群。ノイズキャンセリング性能も実用的で、電車内の騒音も1万円台と考えると最優秀クラス。ロングセラー間違いナシのコスパモデルです。

アンカー「Soundcore Liberty 5」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体): 12時間/8時間(ANCモード)
最大再生時間(ケース込み): 48時間/32時間(ANCモード)
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:◯(Dolby Audio対応)
防水性能:IP55
ワイヤレス充電:◯
実勢価格: 1万4990円

 

■ソニー「WF-C710N」

ワイヤレスイヤホンで世界的な人気を誇るソニーによるお手頃価格のノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホンが4月発売の「WF-C710N」。上位機種「1000X」シリーズで培われた高度なノイズキャンセリング技術や、圧縮音源をハイレゾ相当の音質にアップスケーリングするソニー独自の「DSEE」にも対応。今回レビューした新色グラスブルー搭載も注目のカジュアル志向の注目モデルです。

実機を使い始めると、よくできたエントリーモデルといった印象。サウンドはソニーらしい、クセのないバランスの取れた音質。ボーカルの伸びやかさや適度な低音のパワーがあり、どんなジャンルの音楽もそつなくこなす優等生。ノイズキャンセリング性能は、上位機種ほどの強力さはないものの、通勤時の電車内の騒音や街中の喧騒を和らげるには十分。定番ブランドの新スタンダードとしてヒットも納得です。

ソニー「WF-C710N」
対応コーデック:SBC、AAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体): 約12時間/約8.5時間 (ANCオン)
最大再生時間(ケース込み);約40時間/約30時間(ANCオン)
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:◯(360 Reality Audio認定モデル)
防水性能:IPX4
ワイヤレス充電: -
実勢価格: 1万8000円前後

 

■アンカー「Soundcore AeroClip」

“ながら聴き”市場の最注目株として4月に登場したのが、Ankerが手掛けるオープンイヤーイヤホン「Soundcore AeroClip」です。オープンイヤーのなかでも、耳を完全に塞がず、耳の外側に装着するイヤーカフ型。オープンイヤーながら12mmの大型ドライバーを搭載することで、低音重視のサウンドを志向。LDACコーデックにも対応しています。あらゆる耳にフィットする構造が音漏れを抑えるところもポイントです。

イヤーカフ型イヤホンの最大の利点は、装着時のストレスのなさ。「Soundcore AeroClip」の装着感はとても良く、長時間の使用でも圧迫感は全くなく、少し頭を振ったくらいでは外れる気配もありません。サウンド面では、オープンイヤー型とは思えないほどパワフルな重低音を実現。新トレンドのオープンイヤー型でもAnkerが定番という流れになる可能性大ですね。

アンカー「Soundcore AeroClip」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:ー
外音取り込み:ー
最大再生時間(イヤホン単体):最大8時間
最大再生時間(ケース込み):最大32時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:ー
防水性能:IPX4
ワイヤレス充電:ー
実勢価格:1万7990円

 

■Shokz「OpenDots ONE」

骨伝導イヤホンのパイオニアとして、スポーツ愛好家を中心に絶大な支持を得るShokz。そのShokzが満を持して6月に投入したモデルが、同社初となるイヤーカフ型オープンイヤーイヤホン「OpenDots ONE」。同社が持つ人間の耳の形状に関する知見を活かした構造は、同形状のライバルよりコンパクトかつ強力にフィットします。

実際に装着してみると、さすがShokzと言うべきか、耳にかける部分の素材や形状が絶妙で、ピタッと吸い付くようにフィット。イヤーカフ型のなかでも小型であるというのもひとつのポイント。音質は、中高域のクリアさと、リッチな低音のバランスを取った非常に聴き取りやすいサウンド。特にJ-POPでも歌声など人の声の帯域が明瞭で小音量でも聞きやすく、ボーカルや動画とも相性も優秀。Shokzはビジネス志向でも人気があるため、イヤーカフ型でも信頼できるブランドの製品を選びたい人にとっては優秀な選択肢になりますね。

Shokz「OpenDots ONE」
対応コーデック;SBC
アクティブノイズキャンセル:ー
外音取り込み:ー
最大再生時間(イヤホン単体):約10時間
最大再生時間(ケース込み):約40時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:◯(Dolby Audio対応)
防水性能:IP54
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:2万7880円

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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