スズキがついに、という感じで、同社初のバッテリー駆動EV「eビターラ」を開発。量産車発売前に、2025年6月にプロトタイプに乗る機会を設けてくれました。
■全長4275mm、立体的でユニークなボディデザイン
全長4275mmと比較的コンパクトなサイズですが、デザインではクロスオーバー的なオーバーフェンダーなど、実車も存在感が抜群です。グローバルな市場で展開する車種だけに、ちゃんと個性が際立っています。
BEV(バッテリー駆動EV)でありながら、多機能性をうたっているのがeビターラの特徴。AWD(全輪駆動車)では、片輪が滑ってもブレーキを使うことで接地輪の駆動力を確保するトレールモードをそなえているし、登坂性能は26.8度を確保しています。
スズキの社内デザインというボディは、かなり立体的で、ユニークな形状です。ふくらみが強調されたフェンダーに、太いリアクォーターパネル。前後のオーバーハングはかなり短くて、そのせいもあって、225/55R18サイズのタイヤの存在感が目立っています。
フロントから側面をまわってリアにいたるまで、車体下半分ぐらいは、黒い合成樹脂製のクラディングを装着。オフローダーとしての力強さも強調されています。ひと味違うBEV、がスズキの目指したところでしょうか。
■加速の良さを感じさせる電動駆動モジュール「eAxle」
BYD傘下のFBDから調達するリン酸鉄リチウムバッテリーは、シャシーの一部の構造を担っています。これに、BluE Nexus(ブルーイーネクサス)から供給を受ける、モーター、インバーター、トランスアクスル一体化の電動駆動モジュール「eAxle(イーアクスル)」を組み合わせています。
トヨタが同じ車体を使って、自社ブランドでもBEVを発売するとされています。コンパクトBEVのセグメントで先んじたのがスズキというわけです。
FWD車はフロントにひとつ、AWD車は前後にeAxleを搭載。49kWhのバッテリーとの組み合わせでは106kWのパワーで前輪を駆動します。61kWhのバッテリーの場合、フロント用eAxleのパワーは128kWに向上。さらにAWDでは、リアに48kWhのeAxleが搭載されます。(トルクは未公表)
同様のシステムを持つeAxleでも、例えばレクサスが25年秋に発売を予定している「RZ」では167kWですから、だいぶパワーに差があります。
それでも、実際にドライブすると、後輪がクルマを押し出してくれる感覚がしっかりあって、加速の良さを感じられます。
スズキの開発者が「eビターラではあくまで運転のしやすさを狙いました」と話しているとおり、やたらスポーティではありません。ただし、加速感とステアリングフィールはよく合っている感じで、好ましい印象でした。
グレード構成は、前輪駆動(FWD)と、上のAWD。バッテリー容量は、前輪駆動用に49kWh。もうひとつ61kWhのものが、FWDとAWDに用意されます。つまり、パワートレインだけでみると、3グレード構成です。
同じタイミングで高出力のFWD車も運転しました。車重が4WDに対して100kg軽いだけあって、カーブなどでの身のこなしが軽快で、好ましいフィーリングです。街乗りの経験はまだないのですが、きっといい感じでしょう。
選ぶ楽しさがある。そこがeビターラの魅力でしょう。日本での発売は25年度中とのことです。
【Specifications】
Suzuki e-Vitara 4WD (Prototype)
全長×全幅×全高:4275×1800×1640mm
ホイールベース:2700mm
車重:1890kg
動力:電気モーター 前後各1基
駆動:全輪駆動
バッテリー容量:61kWh
最高出力:フロント135kW
最大トルク:307Nm
一充電走行距離:450km以上
乗車定員:5名
価格:未定
>> スズキ eビターラ
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/688395/
- Source:&GP
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