クルマのエアコン、きちんと知っておかないと後悔するかも…。行楽シーズン前にメンテナンスしよう!

【知っておきたい!今更聞けない!クルマのAtoZ】

夏休みが目前に迫り、暑い季節の行楽シーズンが始まりますが、愛車の調子はいかがでしょうか? 今回は「A PIT オートバックス 東雲」にお邪魔して知っているようで知らないクルマのアレコレについて伺ってきました。この暑さでエアコンの不調は正直耐えられない! ということで第1回目はエアコン編をお届け。今更聞けない基本的な内容から教えていただけました!

教えてくれたのはこの方!
A PIT オートバックス 東雲 髙橋虎之介さん
入社初年度より「A PIT オートバックス 東雲」に在籍。現在は3年目でメンテナンス部署を担当。幼少期よりクルマが好きでレースなどの観戦も行っていたそう

 

■今更聞けない“クルマのエアコン”のアレコレ!

この時期に問い合わせや作業予約が最も多くなるというクルマのエアコン関係。まずは髙橋さんにエアコンの主な不具合や対処方法について伺いました。そのほかにも普段なかなか聞くことのできないエアコンについての疑問をぶつけてみたので、ぜひチェックしてみてください!

――エアコンの不具合ってどのようなもの?

髙橋:最も多いエアコントラブルは“冷えない”ことです!

今年は現時点(※2025年7月10日)で例年の2倍ほどのお問い合わせをいただいているエアコントラブルですが、最も多い不具合は「冷たい風が出ない」ということです。エアコンは簡単に言えば真空の管にエアコンガスが充填されていて、コンプレッサーが動力となることで空気を冷やして室内へと送る装置なのですが、そのガスが不足していたり、劣化していたりすると空気を冷やせなくなります。新しいガスを充填すれば基本的には対処できる場合が多いのですが、同時に管の中にある古いガスやエアコンオイル、ガスに含まれる水分や不純物の除去をする必要もあります。そのための専用機を使って、回収から充填まで一貫して行うのが“エアコンガスクリーニング”です。

自動車のエアコンは走行中の揺れなどにより、配管の継ぎ目から年間約10g程度のエアコンガスが出ると言われています。冷たい風が出ていても夏前にチェックすることでエアコントラブルを未然に防げるので、今の季節は特に需要が多いメンテナンスでもありますね。

【エアコンの“トラブル3”】

髙橋さん曰く、エアコントラブルは大きく3種類に分けられるとのこと。それぞれに原因と対処方法があるので、もし症状に心当たりがあればお近くの専門店へ。

1. 風が冷えない

原因となるのはエアコンガスの過不足や劣化が最も多く、対処方法としてはエアコンガスクリーニングで古いガスやオイル、不純物を抜き取って新しいガスとオイルを注入することだとか。工賃は店舗にもよるものの1万〜1万5000円ほどで、所要時間は1時間程度。また、場合によってはコンプレッサーなどの機具が故障しているケースもあり、その場合は修理や交換になるとのこと。

2. 風が弱いor出ない

原因のひとつとして挙げられるのは、外気からのホコリなどの汚れをキャッチするエアコンフィルターの目詰まり。エアコンフィルターを新品に交換することで対処可能。清掃ができないアイテムなので、1年または1万kmごとの交換を推奨しています。こちらもブロアモーターなどの故障が原因のケースもあるので、その場合は修理や交換になるそう。

3. 風がニオう

「なんだか車内がクサいなぁ…」という状況もエアコンの不具合が起因していることも。エアコン内部やエアコンフィルターの汚れが原因の場合があるため、エアコンそのものの消臭やエアコンフィルターを新品に交換することが対処方法です。ニオイの原因としてはカビによるものが多く、ホコリなどの汚れが水分の多い箇所に固着しカビとなり、イヤなニオイを発生させるそう。エアコン消臭はエアコンダクトやエバポレーターなど1か所ごとの作業となり、1か所あたり4400円〜が目安。

――エアコンガスの注入は自分でもできるってネットで見たけど本当?

髙橋:法律が変わり完全NGになったので専門店での作業がマスト!

昔はエアコンガスが単品で販売されていて、特別なホースがあれば個人でも入れられたのですが、現在ではガスの大気開放は完全にNGとなっています。専門の機械のあるところでないと作業はできません。

――エアコンが効いても車内に乗るときは暑い! 効率良くエアコンを効かせる裏ワザはありますか?

髙橋:窓を開けて車内に新鮮な空気を送り込みましょう!

裏ワザというほどではないのですが、夏場の車内温度は外気温よりも高くなることが多いため、エアコンのみで気温を下げるのに時間がかかります。そのため、クルマに乗る前にすべての窓を開けて外の空気を加えてあげることで効率が上がります。乗る前にドアの開け閉めを何回か行うことで空気が入れ替わりますし、時間がないときはエアコンを最大にしつつ、窓を全開にして運転するだけでもかなり効果は見込めると思います。

――エアコンを長持ちさせるような日常のメンテナンス方法は?

髙橋:夏場だけでなく定期的に“動かしてあげる”ことが大事!

エアコンというと暑くなったらつけるものという認識がありますが、クルマのエアコンで言えば夏場以外でも定期的にオンにしてください。ガスが滞留してしまうことで水分や不純物が溜まる原因にもなるので、動かすことで溜まりにくくできます。また、定期的にエアコンの“A/C”ボタンをオンにすることで異変に気付けますし、夏場の前の混雑時期を避けてメンテナンスに出せるようになるはずです。

■“エアコンガスクリーニング”を実際にやってもらいました!

冷風の出なくなった筆者のクルマで実際に作業を敢行。普段は見られない機材や整備をしているシーンまで、特別にご案内してもらいました。

まずは現状の確認から。筆者のクルマが冷風が出ない状態で、体感では熱風が出ていました(写真左から:&GP編集部・手柴、筆者、整備担当の相田涼太さん)。

エンジンルーム内にあるエアコンの配管をチェックする相田さん。配管にはH(高圧)とL(低圧)のバルブがあり、そこにホースをつないでエアコンガスの圧を測るのだとか。

専用の機械に付属するホースをつないだ様子。赤が高圧バルブに、青が低圧バルブにつながっています。筆者は見つけるのもひと苦労でしたが、車種によってさまざまにもかかわらず相田さんはあっさりと見つけていました。さすがプロ!

ホースをつないだらエンジンをかけて現在のエアコンガスの圧力を測ります。案の定、ガスはまったく入っていませんでした。そりゃ冷えないわけですね…。

筆者と相田さんの間に見える機械がエアコンガスクリーニング用の専門機。圧力からガスの量を計測してくれ、古いガスとオイル、不純物等の回収から新しいガスとオイルの注入までのすべてを担ってくれます。

作業時間は1時間ほど。ボタンで設定したら自動で回収から注入までしてくれるそう。設定が終わればあとは待つだけ! とはいえこの間、相田さんは他の作業の確認などもしていました。忙しい中、ありがとうございます…。

こちらはクリーニング機についている圧力計。赤いメーターが高圧で青いメーターが低圧。作業後の状態を見せてもらったのですが、今回は漏れが気になるのでガス漏れ止め剤も投入してもらいました。費用はトータルで2万円弱。

【最後に】エアコンガスクリーニングを経て…

今回は「A PIT オートバックス 東雲」にご協力いただき、エアコンについて教えてもらいました。実際に筆者のクルマのエアコンが熱風製造機と化していたため、本当に助かったわけですが、作業自体はホースをつないで機械でピピッと、あとは待つだけでしたが単純なだけに説明してもらわないと気付けない、わからない世界なんだなと。また、プロに説明していただきながらやってもらう安心感や、作業後のキンキンに冷えた風を感じたときの嬉しさは格別。新しい知識と共に、より愛車への愛着が増しました。この時期は作業混雑が予想されるため、もし不具合を感じたら早めの相談・作業予約がおすすめです。

<参考>オートバックスでの作業工賃の目安

・エアコンガスクリーニング 店舗による ※「A PIT オートバックス 東雲」では1万〜1万5000円ほど
・エアコンガス漏れ止め剤 7700円
・エアコン冷却強化剤 3300円
・エアコンフィルター交換 2180〜4380円(フィルター目安)+1100円(工賃)〜
・エアコン消臭 4400円〜/1か所
・エアコン修理、交換 車種や不具合箇所による ※クルマ預かりでの対応

>> オートバックス

>> 【連載】知っておきたい!今更聞けない!クルマのAtoZ

<取材・文/小林大甫 写真/田中利幸 協力/A PIT オートバックス 東雲>

 

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