【達人のプラモ術】
海洋堂
「ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」
02/04
海洋堂アートプラ「エヴァンゲリオン初号機“ヤシマ作戦”」製作の第2回。今回はエヴァ本体の塗装を進めます。
谷明氏によるアナログ(手作り)の原型を3Dデジタルデータに変換、再構築されたモデルであるわけですが、目立たぬように配慮されたパーツの分割線、さらにディテール自体も細部のモールドを強調し、塗装を考慮したパーツ分割等が図られています。プラモデルとしての組みやすさ、そして完成度の高さが、キットを組んでみることで分かります。(全4回の2回目/1回目)
© カラー
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。タミヤ公式YouTubeチャンネルなどでもハウツーレビューを
■エヴァ本体の塗装
キットの箱を開けた第一印象「うわぁこれは塗装が大変だなぁ~」ではありました。しかしパーツを組んでいくと、基本的には塗装に配慮した分割がなされているのが分かります。
前回の組み立て編では樹脂ボンドで仮組みをしましたが、パーツの精度が高く、パチパチと組み上げていけるので、腕や脚の合わせ目を除けば、パーツ単位で塗装を済ませて組んでいけます。
今回、塗装にあたっては、エヴァ初号機のパープルがなかなかに難しい色ということもあり、ガイアノーツから発売されているエヴァンゲリオンカラーを使用しました。
使用したのは「EV-01エヴァパープル」と「EV-02エヴァグリーン」の2色で、劇中の初号機のイメージをズバリ再現できます。
▲前回樹脂系ボンドで仮組みしたパーツを取り外して、パーツ単位でグレーサーフェイサーで下地塗装
▲ガイアノーツ「EVAVGELIONカラー EV-01エヴァパープル 15ml」(330円)
▲ガイアノーツ「EVAVGELIONカラー EV-02エヴァグリーン 15ml」(330円)
劇中の“ヤシマ作戦”は午前零時に発動された野戦です。なのでダークなイメージの初号機で仕上げたいならば、夜間戦闘をイメージした暗めの「EV-03 エヴァナイトパープル」もお勧め。
▲ガイアノーツ「EVAVGELIONカラー EV-13 エヴァダークパープル 15ml」(330円)
■パープルのグラデーション塗装
初号機の機体のメインカラーは紫。ガイアノーツ「EV-01エヴァパープル」を使用してエアブラシ塗装で仕上げています。
塗装に際しては、下地色としてタミヤラッカー塗料の「LP-81調色用ブルー」と「LP-82調色用レッド」と「ホワイト」を使い、暗めパープルを調色。そこに「エヴァパープル」を重ねることで、腕や脚の筋肉のうねり、装甲の陰影といったグラデーションを強調しています。
▲事前に塗装サンプルを製作。左側がガイアノーツ「EV-01エヴァパープル」。右側が調色した下地色パープル
▲「下地色パープル」の上から、溶剤7:塗料3ぐらいまで希釈した「エヴァパープル」をエアブラシで塗り重ねていく。「エヴァパープル」は隠ぺい力が高いので、薄く塗り重ねることで下地のパープルを僅かに残していく
▲下地色のパープルで全体を塗装した右足
▲下地色の上から「エヴァパープル」を薄く塗り重ねた状態。凸部分に僅かに下地色が残るように塗り重ねることで、パーツのディテールを強調していく
▲パーツごとに下地のパープル→エヴァパープルで塗装していく
▲胴体に装甲と脚を仮組みした状態。足の筋肉の盛り上がりがパープル塗装のグラデーションで強調されているのが良くわかる
▲胴体部分はセミグロスブラックで塗装
▲個々に塗装した装甲板を胴体に接着していく
▲グリーン部分は、エヴァンゲリオンカラーの「EV-02エヴァグリーン」を塗装。発色を良くするため下地に白を塗装する必要がある
▲塗装した装甲の取り付けが完了した胴体。首部分の装甲はオレンジイエローを使用。胸部装甲の◎部分はライトガンメタルを筆塗りで仕上げている
▲塗装が完了した両腕と左腕の肩パーツ
■塗装→マスキング→塗装を繰り返して塗り上げる
先にも書いたようにパーツは塗装を考慮した分割がなされているので、パーツ単位で塗装していけばOKです。ただし両腕はパープルとグリーン、ブラックをマスキングで塗り分けていかないといけません。特に「エヴァグリーン」は下地色として白を塗装しないと鮮やかな色が出てくれません。マスキングの手間はかかりますが丁寧に塗装を進めます
▲腕はエヴァパープル→マスキング→エヴァグリーン用下地ホワイト→エヴァグリーン→マスキング→セミグロスブラックの順番で塗装を仕上げている。マスキングの手間は掛かるが塗分けが目立つ部分なので丁寧に仕上げたい
▲両腕と同じ工程で仕上げた両足。膝と足首アーマー、足裏パーツは個々に塗装後に取り付けている
■機体を組み上げる
個々のパーツを塗り上げたのち、装甲を取り付けた胴体、両腕、両脚を合体させて初号機の機体を組み上げます。正直なところ、組み上げにあたっては、手足の位置調整に手間がかかると考えていましたが、腕と脚は取り付け基部がしっかりと固定できるようになっているので、パーツを接着、組み上げるだけで陽電子砲の射撃ポーズがピタリと決まります。
▲胴体に片膝をついたポーズの両脚を取り付けた状態。脚側は接着のための凸が大きく取られているので位置決めもピタリと決まる
▲両腕を取り付ける。肩のアーマーは左側のみとなる
■頭部の製作
初号機の頭部は8パーツで構成されています。かなり小さいので、パーツ単位でパープルとシルバーグレーで塗装。エヴァグリーンの部分と目のイエローは筆塗りで仕上げています。
▲塗装を完了させた初号機の頭部。赤の細いラインは水性塗料を使用しての筆塗り
■初号機本体の完成!
塗装した頭部を機体に取り付けて、初号機の機体の完成です。このあと陽電子砲を組み合わせる際に、機体へのスミ入れとウエザリングを入れていきます。個人的な意見ですが、エヴァの機体は常にスタイリッシュな印象なので、今回ウエザリングは抑えめに、塗装の鮮やかさを活かした仕上げにしていくつもりです。
▲陽電子砲を構える迫力あるポーズの完成した初号機本体が完成。マーキングデカールはまだ貼っていない
■陽電子砲の製作開始!
初号機の製作&塗装に2日。エヴァ本体が完成したのでモチベーションもアップ! 大出力型第2次試作自走460mm陽電子砲の製作も進めます。
エヴァ本体同様に、陽電子砲も塗装を考慮した分割となっているので、パーツ単位で組み上げていきます。
キットはノンスケールですが、陽電子砲は組み上げると全長360mmにもなり、エヴァと組み合わせせると迫力満点の仕上がりとなります。
▲銃身部分は左右分割のため下側に合わせ目が生じるので、研磨修正しておく
▲陽電子砲はエヴァ本体と同様に塗装を考慮したパーツ分割がなされている
▲トリガーを握る右手首は陽電子砲側に取り付ける。グリップ側の取り付けタブがしっかりしているので接着しなくても固定できる
▲仮組みした陽電子砲を完成した初号機と組み合わせてみた
▲全長が360mmもあるので迫力満点
■次回は陽電子砲の塗装を進めます
というわけで今回はここまで。完成した初号機は思っていた以上に雰囲気満点でカッコ良いです。陽電子砲も細かな塗分けが必要ですが、パーツ分割が巧みなので効率的に進められるでしょう。同時の初号機の細部仕上げ、スミ入れやマーキングも進めていきます。お楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/693932/
- Source:&GP
- Author:&GP
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