斬新なデザインが注目され、日本でもファンを増やしているNothing。約2年ぶりとなるフラッグシップスマホ「Phone(3)」と、初のオーバーイヤー型ヘッドフォン「Headphohe(1)」が8月28日に発売されました。今回も、ひと目でフツーではないことがわかるデザインですが、機能や使い勝手にもさまざまな工夫が見られました。
■Phone(3)は背面デザインを一新
Phone(3)は、日本では2023年7月に発売されたPhone(2)の後継機。今年4月に発売されたPhone(3a)の上位モデルです。Phone(3a)のチップがミドルハイ向けの「Snapdragon 7s Gen 3」であるのに対して、Phone(3)はハイエンド向けの「Snapdragon 8s Gen 4」を搭載しています。ただし、基本アプリの操作感には大差はないと考えていいでしょう。
ディスプレイは6.67インチの有機EL。解像度は1260×2800で、最大輝度は4500ニトと、ハイエンドらしいスペックを備えています。四方のベゼルは1.87mmで均一。ディスプレイ上部にパンチホール型のフロントカメラを搭載。シンメトリーのデザインになっています。
背面パネルは “Nothingの顔” ともいえるシースルーデザインを継承。前面とは逆にアシンメトリー幾何学デザインが施されています。従来のPhone(1)、Phone(2)は複数の白色LEDを搭載し、着信時や音楽再生時など光ることが大きな特徴となっていました。しかし、Phone(3)では広範囲に搭載されるLEDはなくなりました。この機能が気に入ってPhone(2)を使っていた筆者としては寂しく感じましたが、Phone(3)には、新たに「Glyphマトリックス」が搭載されています。
Glyphマトリックスは489個の小さなLEDで構成される円形ディスプレイで、さまざまな情報がNothingらしいドットで表示される趣向。着信時の点滅パターンをカスタマイズできるほか、背面パネルの中央右のボタン(センサー)をタップすることで、時刻や電池残量を表示させたり、ボトルのアイコンが回転するミニゲームを楽しめたりします。NothingのコミュニティサイトにSDKが公開されており、一般のユーザーやクリエイターがGlyphマトリックス向けのコンテンツを作ることもできます。
■Nothing独自のAI機能も搭載
右側面には電源ボタンと、Nothing独自の「Essentialキー」を搭載。これを押すとスクリーンショットが撮れ、メモを追加して保存できます。
長押しするとボイスレコーダーが起動し、音声を保存可能。カチカチと2回続けて押すと「Essential Space」というアプリが起動。保存したスクショや、文字起こしされたボイスメモを確認できる仕組み。ただ時系列で表示されるだけでなく、AIによって自動で整理され、保存した情報に基づいてユーザーに必要な情報を先回りして検索し、行動を提案してくれたりもします。使い続けると手放せなくなるかもしれません。
スマホを裏向きにして卓上に置いた状態でEssentialキーを長押ししてもボイスレコーダーが起動できます。その場合、Glyphマトリックスに録音中の音声の波形が表示され、赤い小さなLEDも点灯します。画面が見えなくても録音されていることがわかり、結構重宝しそうです。
ホーム画面を上方向にスワイプするとアプリ一覧が表示されます。その下に表示される検索窓から、知りたいことを素早く調べられる「Essential検索」という機能も追加されました。連絡先やカレンダーに登録した予定などを調べられ、ダイレクトにWebやマップを検索することもできます。iPhoneの「Spotlight検索」に近い機能なので、iPhoneから乗り換える人や、iPhoneと2台持ちする人は使いやすいでしょう。
背面カメラは超広角+広角+望遠の3眼。いずれも5000万画素で、望遠カメラは光学3倍、ロスレス6倍で撮影でき、デジタルズームを組み合わせた超解像ズームは最大60倍。従来モデルよりも撮影画質がナチュラルになり、夜景もきれいに写りました。自分がよく使う設定を保存でき、プロの写真家などの設定も利用できる「プリセット」という機能も利用できます。
5150mAhのバッテリーを搭載し、電池持ちも十分。前モデルにはなかったeSIMやおサイフケータイにも対応。防塵・防水性能はIP54からIP68へと向上しています。
価格は12GB+256GBモデルが12万4800円、16GB+512GBモデルが13万9800円(Nothing公式サイトでの価格)。Nothingのデバイスでは初の10万円超えですが、デザインだけでなく、使い勝手に配慮されていて、似たり寄ったりのスマホが多い中で “唯一無二” 感を味わえそうなこと請け合い。というわけで、筆者は購入を決めました。
■使っているだけで目立つHeadphone(1)
Headphone(1)はNothing初のオーバーイヤー型のヘッドホン。最大の特徴は、やはりデザイン。特徴的なシースルーデザインを採用し、 “唯一無二” 感を出しています。
装着感は一般的なヘッドフォンと遜色なく、見た目よりも軽く感じられ、されど頭にしっかりフィットしました。
左右はシースルー部にある赤(右)と白(左)の印で認識できる仕組み。操作に用いるボタンは右に搭載。いずれも物理ボタンで、形状を変えて、直感的に操作できるようになっています。ざっくり紹介すると、側面上にあるのが「ローラー」。押して一時停止・再生ができ、なぞって回すと音量を調整できます。長押しでノイズキャンセリグモードと外音取り込みモードの切り替えも行えます。その下の「パドル」は、カチッと左右にスライドさせられ、次の曲に進めたり、曲の頭に戻したりできます。長くスライドさせると早戻し、早送りができます。シースルー部のデザインも相まって、世代によっては、カセットプレーヤーのように感じるかもしれません。
そして、シースルー部の右上にあるのが「ボタン」。ユーザーがカスタマイズできるボタンで、音声AIや「Channel Hop」という新機能を起動できます。
音声AIは、Phone(3)と接続した場合はデフォルトで「Gemini」を起動でき、「ChatGPT」アプリをインストールすると、それを起動するように設定を変更することもできました。ちなみに、iPhoneに接続すると、「Siri」が起動しました。
「Channel Hop」はお気に入りのプレイリストや楽曲を登録しておいて、素早く再生できる機能。Nothingのスマホに接続した場合にだけ利用でき、複数の音楽配信サービスに対応し、異なるサービスのプレイリストを連続して再生することも可能。筆者は普段「YouTube Music」を聴いていて、同サービスも「Channel Hop」に対応すると聞いていたのですが、まだ対応していませんでした。ちなみに、筆者が試した範囲では「Apple Music」「Spotify」が対応していました。
■老舗の音響メーカー・KEFとコラボして高音質を実現
多くの人が気になるだろう音質ですが、イギリスの音響メーカー・KEFと共同で設計されています。KEFは原音に忠実なサウンドに定評がありますが、音質はまさにそんな印象を受けました。筆者はカナル型のワイヤレスイヤホンを使っていますが、久しぶりにオーバーイヤー型を使って、包まれるような感覚に感動しました。イコライザーで音質をカスタマイズでき、空間オーディオをオンにして臨場感を高めることもできます。
Headphone(1)の価格は3万9800円。音質を重視すれば、さらに繊細な音を表現できるヘッドフォンはあるでしょうが、この価格なら納得できる人が多いのではないかと思います。
アクティブノイズキャンセリングをオンにしても最大35時間再生でき、約5分間の充電で最大5時間再生可能。3.5mmジャックを搭載し、同梱のケーブルを用いて、オーディオ機器に有線でつなぐこともできます。
* * *
デザインばかりが注目されがちなNothingですが、実際に使ってみると、マニュアルを読まずに使いこなせるユーザーインターフェイスにも好感を持ちました。
Phone(3)とHeadphone(1)は、どちらもホワイト、ブラックの2色展開。2台併せて使って、Nothingの世界観を楽しむのもアリでしょう。
>> Nothing
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/697128/
- Source:&GP
- Author:&GP