10年ひと昔とはよく言ったもので、ここ10年ちょっとの間でキャンプシーンはガラッと変わりました。ガレージブランドと呼ばれるコアでニッチだけど熱量の高いブランドが数多く立ち上がり、それに呼応するように大手ブランドも数多くのキャンプギアを開発。この間にキャンプギアが加速度的に進化していったことは、いちキャンパーとしてこんなに嬉しいことない…。というかキャンプ道具をキャンプ“ギア”と呼称するのが一般的になったのもここ数年ですね。
そうした群雄割拠の時代のなかでも、コールマンの存在感は相変わらず。むしろ、ここ数年で一段と身近なブランドになった気がします。キャンプをしない人でも、“コールマン”という名前を聞けば自然とキャンプを思い浮かべる。そんな光景が増えたように思うんです。街中で“Coleman”ロゴのバックパックを見かけると、「あぁ、アウトドアって日常になったんだな」と感じます。
そんなコールマンの歴史をたどると、そのルーツは実に100年以上前にさかのぼります。時は1900年、アメリカ・カンザス州ウィチタ。創業者のW.C.コールマン氏が、当時まだ珍しかったガソリンランプを改良し、明るく安定した灯りを生み出したことがブランドの始まりでした。電気のない時代に夜を照らすその光は、農家や街の人々の暮らしを支える存在となります。
やがてコールマンは「灯りのブランド」から「フィールドのブランド」へと進化していきます。第二次世界大戦中には米軍からの要請を受け、‐60℃から+125℃の環境下でも使える小型バーナーをわずか60日で開発。戦地で活躍したこの携帯ストーブ(通称“G.I.ポケットストーブ”)は、戦後にレジャー用へ転用され、キャンプストーブの原型に。1950年代に入ると、保冷容器“スチベル”を皮切りにクーラーボックス、テント、寝袋、ランタンとラインアップを拡大。誰もが安心して屋外で過ごせる「総合アウトドアブランド」として地位を確立していきました。
日本では1976年にコールマンジャパンが設立され、ファミリーキャンプブームの追い風を受けて急速に普及。1990年代以降は日本の気候やスタイルに合わせたテントやコンパクトギアを展開し、いまや国内のキャンプ文化を語るうえで欠かせない存在となっています。
かく言う私も、最初に買ったテントはコールマン「BCクロスドーム」。仲間内で「キャンプしようぜ!」と御殿場のコールマンアウトレットに駆け込み、買ったものそのまま抱えてキャンプ場に向かった12、3年前の思い出。変なテンションになって、なぜかパーティシェードの横幕“だけ”を買って、「え? これなにに使えるの!?」となったのが懐かしい。パーティシェードは買ってないんだから使えるワケないだろ!

そんな歴史のあるコールマンは、2025年に創業125周年を迎える節目として「125 リミテッド スフィアシェルターDR」(12万1000円、 2025年11月14日午前11時予約受付開始)を発表。125周年を冠した特別モデルらしく、これまで培ってきた機能性と居住性を象徴するひと張です。
まず気になるのが、幕の“高さ”。これまでも壁が立つタイプのシェルターは他ブランドからも出ていましたが、背が低く、幕内で屈まないといけないことも少なくありませんでした。その点は、さすがコールマン。屈まず入れて、テント内部は背伸びをしても余裕があるほど。壁が垂直に立っているので有効面積が広いのもポイント。
以前、根強い人気を誇るフラッグシップモデル「コクーン」の発案者が、「基本的にファミリー・グループ向けのテントについては、誰でも快適に過ごせるように中で立てるように設計しています」と話していましたが、この「125 リミテッド スフィアシェルターDR」にもその設計思想がしっかり受け継がれています。

サイドだけでなく、天井部も含めて全方位にメッシュパネルを装備。スカートも全周に配されているので、冬キャンプで大事な防風と換気もバッチリ。地味に嬉しいのは、ダークルームテクノロジーが天井部のみに採用されていること。寒い時季のキャンプは日差しの暖かさがかなり重要になってくるので、壁面が通常素材というのはありがたい。
一方でグリーンシーズンは、天井部のダークルームテクノロジーのおかげで日光をしっかりシャットアウト。先ほど紹介した全方位メッシュによる通気性も合わせて、季節を問わず快適に過ごせそうです。
ちなみに、フロアは取り付け式。土足で快適性をとっても良いし、お座敷スタイルで楽しんでも良いし。スタイルに合わせて使える仕様はかなりありがたい。

重量は約23kgですが、5m×5m×2.3mという大型シェルターであることを考えると気持ち軽めの印象。ここまでの広さを確保しながらこの重量に抑えられているのは、フレームにFRPとスチールを組み合わせているから。FRP(繊維強化プラスチック)は軽くてしなやか、一方でスチールは剛性と安定性に優れています。この2つをうまく掛け合わせることで、強風にも耐えつつ、設営・撤収の扱いやすさを両立しているのがこのモデルの特徴です。
最後に1番気になる設営のしやすさについて。屋根部分を構築後、スチールポールで立ち上げるだけなので構造自体はかなりシンプル。先日、アウトドアイベントで設営している様子を見ましたが、初見では少し戸惑うかも知れないけど、構造を理解すれば数回の設営でコツは掴めそう。
コールマン125周年を飾るこのシェルターは、往年のファンならずとも気になる存在。使い勝手の良さはもちろん、1年を通して頼れる実力派です。その完成度を通して、125年にわたるブランドの歩みを体感できそうです。
>> コールマン
<文/山口健壱(GoodsPress Web)>
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- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web
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