都市部でのラストワンマイルの移動手段として急速に普及している特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)。特定小型原付は2023年7月1日の道路交通法改正でできた新しい車両区分です。運転免許は不要で、最高速度20km/h以下で車道を走ることができます(歩道走行時は最高速度表示灯を点滅させた上で時速6km/h以下で走行)。
現在、街を走る特定小型原付の多くはシェアリングサービスの電動キックボード。ちょっと移動したい時に便利なので、若者だけでなくビジネスパーソンなども多く利用しています。一方で交通ルールを守らない一部のユーザーが目立ち、ドライバーや歩行者から迷惑がられている一面も…。
そんな特定小型原付はキックボードタイプ以外もあります。Japan Mobility Show 2025では、シェアリングではなく自分で手に入れたくなるような特定小型原付やそれに近い感覚で乗れる原付も出展されていました。
通勤で自転車を使っているけれど、会社に着くまでに汗だくになるので着替えが欠かせない。そんな人にも注目して欲しい、移動が楽になる便利グッズです。
■glafit NFR-01 Pro|クルマに積んで出かけることもできる

パッと見は折りたたみ自転車サイズの小型サイクル。でもよく見ると左右のペダルが水平に配置されていて「これってどうやって漕ぐの?」という設計になっています。NFR-01 Proは自転車ではなく特定小型原付に分類されるモビリティ。ペダルのように見える部分は足置きになっていて、ここを動かさなくても走れるのです。
搭載されるのは中速域高トルク型で耐久性能が高い48V・定格出力500Wインホイールモーター。登坂性能は17°となっているので、急な上り坂でも問題なし。バッテリーは1回の充電で46km走行可能な容量があります。これだけあれば自宅と会社を往復してもバッテリーに余裕があるはず。もし会社で充電したい場合は、バッテリーを抜いてオフィスのコンセントで簡単に充電できます。

ハンドルポストと足置きペダルは折りたたみ可能。たとえば休日にNFR-01 Proをクルマに積んで、遊びに行った先で使うことだってできます。ちなみにglafitのWebサイトを見ると、マツダ CX-5のようなミドルサイズのSUVはもちろん、コンパクトカーや軽自動車にも積載可能です。

ラインナップはNFR-01 Pro(24万9700円)のほか、4G LTEを搭載してスマホから車両状態を確認できるNFR-01 Pro+(29万7000円)、モーター出力や走行距離を少し落としてリーズナブルな価格設定にしたNFR-01 Lite(18万7000円)が用意されています。
■glafit GFR-02|特定小型原付と自転車の1台2役

平日は特定小型原付を通勤に使って楽に移動したいけれど、休日は公園などで自転車を気持ちよく漕いでのんびりした時間を楽しみたい。実はこれを1台のモビリティで叶えようとするのは案外難しいのです。というのも特定小型原付と自転車は車両区分が異なり、特定小型原付にはナンバープレートが付きます。仮に電動で走らないとしても、区分はあくまで特定小型原付なので、公園など走行が禁止されている場所を走ることはできませんでした。

glafitは行政と協議し、電動バイクと自転車の車両区分を切り替える独自システム「モビチェン」を開発。一度車両を停止させてナンバープレートを覆い隠すことで自転車として走行でき、駐輪場への駐車も可能になるのです。ナンバープレートを隠した状態では電源が入らないので、間違えて特定小型原付として走行してしまう心配もありません。
すでに販売されているGFR-02(30万8000円)はナンバープレートを隠した際は人力で走行する自転車になりますが、Japan Mobility Show 2025で発表されたGFR-03は電動アシスト自転車として走行できるようになっていました。
■ICOMA タタメルバイク|交換可能なパネルで自在にカスタム

普段は電動原付バイクとして便利に移動でき、乗らないときはコンパクトに折りたたんでちょっとしたスペースにしまえる。とても小さいから、クルマのトランクにだって入れられる。まるで1981年にデビューしたホンダ モトコンポのような愛らしさがあるバイク、その名も「タタメルバイク」(49万8000円)。家庭用のコンセントで約3時間充電すると、最大30kmの走行が可能。

上の写真が畳んだ状態で、サイズは全高690×全長690×全幅260mm。余計な張り出しがほとんどないので、しまうのが楽。後輪の後ろには小さなキャスターがついていて、ハンドルだけ出せばスーツケースのように押しながら移動できます。

ボディサイドのパネルは簡単に取り外せて、気分でさまざまなデザインにカスタムできるのも魅力。パネルは左右セット2万5000円で販売されているほか、3万5000円でオリジナルデザインのパネルを作ることもできます。

パネル部分のスタイルを変えて、より個性的なデザインにしたタタメルバイクプラスも近日発売予定です。
■ICOMA tatamo!|目と目でコミュニケーションできる

タタメルバイクのように折り畳み可能な特定小型原付のtatamo!(タタモ)。タタメルバイクで培った技術をブラッシュアップして、折り畳み時は屋内に置いても邪魔にならないサイズになっています。

本体にはソフトウエアと小型モニター、複数のセンサーを搭載し、折り畳み状態から走行できる形に展開する際は、スイッチを押すとハンドル部分の小型ディスプレイに表示される目が合図をして、前輪が回転します。
ICOMAブースで担当者に話を聞いたら、社長はもともとタカラトミーでトランスフォーマーの開発を担当をしていたそうで、トランスフォームに並々ならぬ意欲があるそう。タタメルバイクもtatamo!も、そんな社長の思いが詰まっていることが伺えます。
■ROIDZ TECH RAPTOR|ボディ部分を取り替えてレースから運搬まで対応

RAPTORは前2輪、後ろ1輪の3輪原付。面白いのは、タイヤが装着されているベースユニットとボディ部(デザインユニット)を分離・合体できること。デザインユニットを交換すれば車体形状や機能をガラッと変えられ、プラットフォーム型モビリティとうたわれています。

上の写真の黒いボディは「Alpaca」と名付けられた最もシンプルでミニマムな仕様。シート高が低いので小柄なライダーでも扱いやすく、都市部での短距離移動に適したタイプ。手前の「Sparrow」は、FIMスーパーバイク世界選手権に参戦しているMIEレーシングとのコラボレーションで生まれたレーシング仕様。機動性を重視してサーキットでの使用を想定して開発されています。

「Rock」は自動運転による運搬を目的としたカーゴ仕様。ボックスは着脱式になっていて、農業用ドローンや専用ユニットへの載せ替えができるようになっています。物流から農業、災害支援など、さまざまな分野での使用が想定されます。
<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)>

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。
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