20世紀の頃に比べると派手さは薄れた気がしますが、モーターショーの華と言えば、自動車メーカーが未来のモビリティの形を具体的に見せてくれるコンセプトカー。そして遠くない未来に登場するプロトタイプカーではないでしょうか。
「ジャパンモビリティショー2025」でも各社が夢のあるコンセプトカーやプロトタイプカーを出店していました。
■トヨタ センチュリークーペ|日本初の超高級車の新たな姿を提案

今年のジャパンモビリティショーで最も話題になったモデルを挙げるとしたら、間違いなくセンチュリークーペでしょう。日本を代表する高級車でありながら、1967年に登場した初代、そして1997年に登場した2代目はショーファードリブンのイメージが強く、どこか浮き世離れしていました。
しかし2018年に登場した3代目ではSUVスタイルのセンチュリーを追加。保守的なイメージが強い車種だけに、このニュースには多くの人が驚いたはずです。
そして今回、センチュリーの新たなスタイルとしてクーペを公開。障子のように前後に開くドア、SUVのように大きなタイヤ、ガラスがないリアスタイル…。何もかもが斬新です。室内は前2席+後ろ1席というパッケージングで、インテリアにはセンチュリーらしく日本の伝統工芸の技が盛り込まれています。

何より驚いたのがボディカラー。鮮やかで上品な緋色(ひいろ)はこれまでのセンチュリーの常識を打ち破るのにふさわしい色ではないでしょうか。
メディア向けのブリーフィングで、豊田章男氏は「日本の心、ジャパン・プライドを世界に発信する」こと、そして「センチュリー・ブランドを立ち上げる」ことを発表しました。これからセンチュリーがどのようなブランドになっていくのか、楽しみです。
■レクサス Lexus Sport Concept|伝統と革新を融合したラグジュアリースポーツ

2025年8月にアメリカ・カリフォルニア州ペブルビーチで開催されたザ・クエイル、モータースポーツギャザリングで初公開されたLexus Sport Conceptは、2010年に発売されたLFAを彷彿させるスポーツモデルです。


伝統的なスポーツモデルの王道を貫いた流麗なボディラインは、力強さだけでなくエレガントさも感じさせてくれるもの。その走りにも、否が応でも期待が高まります。
■トヨタ カローラコンセプト|あのカローラが大胆に変身!?

カローラは1966年に初代が誕生して以来、少し高級感のある大衆車として世界中で愛されてきました。スタイル的には5ナンバーサイズのベーシックな3ボックススタイルでしたが、一方でステーションワゴンやハッチバック、スポーツモデルなど、さまざまな派生モデルも世に送り出してきました。
そんなカローラが大きく変わったのは2018年に登場した現行型から。ボディサイズが3ナンバーになり、流麗なスタイルになったことで、長年カローラを乗り継いできた人だけでなく、若者たちからの支持も集めました。
「ジャパンモビリティショー2025」にはカローラの名を冠したコンセプトカーが登場。低く構えたスタイルや大きく傾斜したフロントガラスはこれまでのカローラのイメージからはかけ離れた斬新なもの。果たして次世代のカローラはどのような姿になるのか。今から楽しみです。
■トヨタ ハイエースコンセプト|1.5BOX化される大人気トランスポーター

現行型ハイエースがデビューしたのは2004年。これまで何度もフルモデルチェンジの噂が立ちましたが、20年以上生産されるロングセラーモデルになりました。
そんなハイエースの次世代コンセプトモデルが「ジャパンモビリティショー2025」でワールド・プレミアされました。ハイエースのアイデンティティである箱型であることに変わりはありませんが、フロントノーズがある1.5BOXスタイルになっています。

開発テーマは「商用バンから始まるサステナブルな世界」。パワートレインは使用する環境に合わせてハイブリッドやPHEV、BEV、もちろん内燃機関にも対応できるようになると言われています。このモデルもビジネスシーンだけでなくレジャーシーンでも人気になるはずです。
■マツダ VISION X-COMPACT|かわいいイメージとヤンチャな雰囲気が共存した親友

未来においても誰もが気軽にアクティブにクルマで楽しんでほしいという想いをシンプルなデザインで表現した新しいコンパクトカー。このコンセプトカーの素晴らしさはデザイン! 小さなボディなのに愛らしさ、力強さ、俊敏さなどを連想させる要素がふんだんに盛り込まれていて、「もしこのクルマを手に入れたらきっと末永く一緒に過ごしたくなるだろうな」と感じさせてくれます。

機能面では共感型のAIを搭載し、まるで親友のように乗る人のことを深く理解し、オーナーを新しい体験へといざなってくれるといいます。小さなクルマだからこそ味わえる人とクルマの豊かな関係。それを提供してくれることに期待したいですね。
■スバル Performance-E STI concept|WRCで活躍したスバルならではの走りをEVでも

スバルと言えば悪路走破性の高いSUVとともに、ラリーフィールドで大活躍したスポーツモデルも有名です。スバルは走る愉しさを提示するPerformanceシーンと、冒険へ踏み出す高揚感を表現したAdventureシーンを紹介するモデルを展示していました。

Performance-E STI conceptはBEVベースのコンセプトモデルで、見ているだけでワクワクするプロポーションと高い空力性能や実用性を融合。そしてインプレッサWRX STIを連想させるヘリテージ感のあるデザインも魅力です。
■スズキ Vision e-Sky|トールワゴンタイプの軽EVコンセプト

軽自動車から超大型SUV、プレミアムセダンなど、多くのモデルが販売されている電気自動車(EV)。EVに注目する際に多くの人が気になるのが一充電走行距離。旅行のことなどを考えると一充電走行距離が長いほうが安心ですが、バッテリーが大きく重くなるし、満充電までの時間も長くなります。そして何より車両価格が高くなってしまいます。
一方で日々の生活にクルマを使用するなら長距離を走ることはあまりないと思うので、バッテリー残量を気にせずEVに乗ることができる。その意味で軽自動車とEVの親和性は高いと言えるでしょう。
スズキは2026年度内の量産化を目指す経EVのコンセプトモデルを公開。これは「日々の通勤や買い物、休日のちょっとした遠出など、軽自動車を『生活の足』として愛用されるお客様の毎日に寄り添うクルマ」だと言います。航続距離は270km以上になるというので、日帰り旅行などにも対応できそうですね。
■BYD RACCO|2026年度中に日本発売が決定

BYD Auto Japanは2025年4月に「2026年度後半に日本専用設計の軽乗用電気自動車を国内導入する」と発表しました。そして「ジャパンモビリティショー2025」においてプロトタイプを公開。それがこのRACCOです。

軽自動車の主流であるスライドドアを採用したスーパーハイトワゴンタイプで、優しい雰囲気のデザインを採用。すでに国内での公道走行テストも行われているというので、このプロトタイプは最終デザインに近い形になっているはず。売れ筋のスライドドアモデルにEVが出てくるということで、注目度はかなり高くなりそうです。
■メルセデス・ベンツ CONCEPT AMG GT XX|ヘリテージ感あるデザインに最先端技術を投入

Mercedes-AMGのEV専用プラットフォーム「AMG エレクトリックアーキテクチャ」を搭載するハイパフォーマンスモデル。最先端テクノロジーとイノベーションを融合させ、オンロードでの限界を超えたパフォーマンスと充電性能の最適化が追求されていると言います。
搭載される次世代アキシャル・フラックス・モーターはフロントに1基、リアに2基。インテリアにはGT3レーシングタイヤのケミカルリサイクルとバイオ由来素材を活用したLABFIBER バイオテック・レザー素材を使用。高級感とサステナビリティの両立が図られています。
■BMW コンセプト・スピードトップ|70台限定で販売されるコンセプトモデル

2025年5月にイタリアで開催されたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで公開されたのがこのコンセプト・スピードトップです。シューティングブレークの優雅さと斬新なデザイン言語を融合させることでスポーティなツーリングモデルを再解釈したと言います。
搭載されるV8エンジンはBMWのラインナップで最もパワフルなもの。BMWはこのコンセプトモデルを70台限定で販売するそうです。それにしても、BMWもメルセデス・ベンツも、ブランドのイメージを象徴するコンセプトモデルにクラシックなイメージを盛り込んでいるのが面白いと感じました。
<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)>

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。
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