【やっぱり“ダウン”が好き!】
気づけば冬の定番アウターとして欠かせない存在になったダウンジャケット。普段着とは違い、着たら即洗濯…とはいかないのが現状です。ケア方法が分からないため、結局クリーニング店に頼りがちという人も多いのではないでしょうか。
mont-bell(モンベル)の長井氏は、「汚れはわずかでも保温力の低下につながります。定期的に洗ってロフト(かさ高)を回復させることが、ダウンを長く使うための大切なポイントです」と話します。
実は、ダウンのお手入れは正しい手順さえ押さえれば、自宅でも十分に対応可能。出費を抑えながら、お気に入りの一着をより良い状態で着続けることにもつながります。ということで、今回は自宅でできるダウンジャケットの洗い方を基本から解説。シーズン中はもちろん、オフシーズン前のメンテナンスにも役立つ知識をまとめました。
1. 洗う前の準備
まず、製品表示タグを確認します。手洗いが可能であることを示す“水桶に手を差し込んでいるマーク”がある場合のみ、自宅でケアが可能です。ない場合は、クリーニング店に相談しましょう。ちなみにモンベルのダウンウエアは、上記表示に関わらず基本的には手洗い可能とのこと。
▲表地に故障がないか確認できたら全てのファスナーを閉じる
手洗い可能な場合は、破れやキズがないか全体を確認。「破れがある状態で洗うと傷口が広がる場合もあります。ダウンが飛び出している場合も抜かず、裏側から戻してください」と長井氏。このとき、ダウンが生地の隙間から飛び出していたら引き抜かず、裏側からつまんでウエアの中に戻します。
▲襟や袖など、特に皮脂汚れが顕著に出る箇所は予洗いしておきたい
確認ができたら、洗濯中の破損を防ぐためすべてのファスナーを閉じ、襟元や袖口など汚れが強い部分は薄めた中性洗剤とスポンジで部分洗いしておきます。

なお、洗剤について、一般的な洗濯用洗剤は洗浄力が高い弱アルカリ性のものが多いですが、ダウンを傷つけやすく、かえって保温性能を下げてしまう可能性があるので注意。さらに、長井氏によればダウン専用のクリーナーを使用するとより良いといいます。「モンベルの『O.D.メンテナンス ダウンクリーナー』(300L、1430円)は中性なのでなので、中綿や繊維を傷めることなく汚れをしっかり落とします。髪を洗ったあとにコンディショナーを使うようなイメージで、ふっくら戻しやすくしてくれます」
2. 押し洗い
▲洗剤量は水量によって変わる。パッケージに記載の規定量を確認しよう
皮脂などの汚れを落としやすくするためにぬるま湯(40℃未満)に適量の洗剤を溶かし、ウエアを静かに沈めます。「水を含んだダウンは非常に重くなるので、持ち上げずに沈めたまま押し洗いしてください」と長井氏。
▲ウエアを水面から持ち上げないように気をつけながら押し洗い
ふっくら仕上げるためには、羽毛を偏らせず、優しく洗うことが重要。こすらず、上下に押すように洗い、決して持ち上げないように気をつけましょう。
3. すすぎ
▲洗い直後の水(左)とすすぎ6回後(右)の水の様子。透明な水になるまでしっかりすすぎを行う
十分に押し洗いを行って、しっかり汚れを落とせたらすすぎを行います。“排水→軽く押して水を抜く→水を替えて再度押す”を繰り返します。このときもウエアを持ち上げないように注意。水が濁らなくなるまでしっかりすすいでいきます。「洗剤成分が残るとロフトの戻りを妨げる場合があるため、すすぎはしつこいくらいでちょうどいいです」
▲すすぎ時のNG例。羽毛の偏りの原因や生地の負担をかけてしまうため、持ち上げないように注意
4. 脱水

ウエアを丸めて押すようにしてしっかり水分を切っていきます。ある程度水が切れたら、間にバスタオルなどを挟むのも効果的。このとき、ねじって絞るのは生地や中綿を傷つける恐れがあるため厳禁です。
▲脱水機のドラムに沿わせるようにして脱水を行う
十分に水分が切れたら、洗濯機の短時間脱水で仕上げ。洗濯機のドラムに沿わせるように入れていきます。なお、「ゴアテックスなどの防水透湿素材のウエアの場合は必ず裏返して脱水かけてください」とのこと。
5. 乾燥
▲「プラズマ1000 ダウンジャケット」(2万7940円)の場合、20分程度で乾燥完了。温度設定などにより時間は前後。
脱水ができたら、今回の一番の肝である乾燥を行います。長井氏は「ダウンは洗った後の乾燥が重要」と言います。
低温設定(60〜70℃)の乾燥機でしっかり乾かします。一度で乾燥仕切るよりも、複数回に分けて行うのが理想的。ウエアのダウン量にもよりますが、20〜30分回したら取り出し、全体を軽く叩いて羽毛の偏りをほぐしてから再び乾燥機に入れます。
※乾燥機の使用がNGのウエアもあるため、乾燥機にかける前に製品表示タグを確認。モンベルのダウンウエアについては、基本的にOKなモノが多い。

これを繰り返すことで均一にふくらみが戻ります。「やるのとやらないので仕上がりに差がでるので、可能なら試してほしいです」。
なお今回はコインランドリーを利用しましたが、自宅に乾燥機がある場合はそれでもOK。
乾燥後は風通しの良い日陰で少し置くと内部の湿気抜けがより確実です。
▲洗浄後のダウンジャケット。流石に新品同様とはいかないまでも黄色がかっていた表地に白が戻った!
今回は実際に5年程愛用している「プラズマ1000 ダウンジャケット」を洗ってみたが、思った以上に汚れが出たことにびっくり。これまで、毎シーズンなんとなく自宅で手洗いしていましたが、いかに適当だったかがよく分かる結果に。
▲洗浄前(左)と洗浄後(右)。特に襟元を見れば洗浄の効果がよく分かる。我ながらとても恥ずかしい…
個人的に驚きだったのは乾燥機を使った乾燥。ウエアやダウンにとって良くない気がして、これまで数日かけて陰干しで乾燥させていましたが、ロフト(かさ高)の回復具合が段違い。ひと目で“ふかふか”な仕上がりになったのが分かるほどでした。薄手のウエアということもありますが、1時間半程で乾燥までできたというのも予想以上。
製品表示として手洗いと乾燥機OKなダウンジャケットなら、手洗いでのケアを試す価値がありそうです。
■併せて行いたい撥水ケア
▲モンベル「O.D.メンテナンス はっ水スプレー 170mL」(1200円)は乾燥後に使用する撥水スプレー
防水・撥水素材を使用したウエアは、洗濯と合わせて撥水処理をしておくと状態を保ちやすくなります。洗い後に使用する漬け置きタイプ、乾燥前に使うリキッドタイプ、完全乾燥後に使うエアロゾルタイプがありますが、「手軽さを重視するならエアロゾルが便利です。気になった箇所だけでも全体でも使えるので普段のケアに取り入れやすい」。
■普段のケアや保管方法も重要
普段のケアとしては、乾燥時のように定期的に軽く叩いて羽毛の偏りをほぐして上げることや、陰干し、撥水スプレーの塗布などがあります。

長期保管では、ハンガーに吊るして湿気の少ない場所に吊るしましょう。「風通しのいい場所に吊るしておくと翌年の状態がまったく違います」。また、パッカブルのダウンの場合、小さく持ち運ぶためのスタッフバッグが付属していることも多いですが、「押し込んだままの保管はロフトがつぶれてしまい、保温性能が下がってしまうのであくまで持ち運びのときにだけ使うのが良いです」と長井氏。
また、洗濯頻度はワンシーズンに1回が目安。洗いすぎはダウンはもちろんウエアの表地に負担をかけてしまうので避けましょう。
* * *
ダウンのお手入れというと、つい身構えてしまいがちですが、やること自体は決して難しくありません。羽毛をつぶさずに洗い、汚れをきちんと落とし、最後にしっかり乾かす。この順番さえ守れば、自宅でも十分にコンディションを取り戻せます。
一度きちんとケアしておけば、次に袖を通すときの暖かさや着心地も、きっと違って感じられるはず。
「ダウンは扱いが難しそうに思われがちですが、ポイントさえ押さえれば自宅でもきちんとケアできます。正しく洗って、しっかり乾かす。それだけで、本来の暖かさはちゃんと戻ってきますよ」
<文/山口健壱(GoodsPress Web) 写真/田中利幸 協力/モンベル>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/710848/
- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web
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