旅のスタイルのひとつとして市民権を得つつある車中泊。キャンピングカーの販売台数も右肩上がりで増加していて、人気のモデルは長期の納車待ちが発生しているような状況です。
そんな中で注目を集めているのがCarstayが手掛ける「SAny.VAN(サニー・バン)」というモデル。トヨタの「ハイエース」などに装着して快適な車中泊を可能にしたモデルで、中古車をベースにすれば導入費用を抑えることができるのも魅力です。
「ハイエース」をベースとした「SAny.VAN」で実際に車中泊を体験してみました。
■暖かみのある木目調の内装
キャンピングカーは架装メーカーから完成した状態で購入するのが一般的ですが、「SAny.VAN」は架装部分がキット化されているのが特徴。すでに所有している車両を持ち込んで架装を依頼することもでき、新車や中古車をベースに取り付けた状態で納車してもらうことも可能です。
架装費用は220万円〜(税込)で、中古の「ハイエース」をベースとした場合、ベース車の価格によって異なりますが420万円〜とされています。同レベルの装備をもつ「ハイエース」ベースのキャンピングカーの相場は500〜800万円程度。特にベースとなる車両を所有している人には魅力的な選択肢でしょう。

「ハイエース」以外にも、日産「キャラバン」のDXグレードにも取り付け可能で、旧型のマツダ「ボンゴブローニイ」などにも取り付けた実績があるとのこと。神奈川県横浜市にある製造拠点Mobi Lab.(モビラボ)で製作されていて、同拠点ではCarstayが運営するキャンピングカーのシェアリングサービスで「SAny.VAN」をレンタルすることもできます。

キットの主な内容は、大人ふたりが寝られるベッドに展開可能なソファ、ガスコンロを置けてシンクを備えたキャビネット、そして天井と床にはウッド素材が貼られています。天井にはLEDのダウンライトも備えられ、電源としてEcoFlow製のポータブル電源(容量512Wh)も付属。天井まで木目調の内装で、暖かみのある落ち着ける空間に仕上がっています。


「ハイエース」に取り付けられるベッドキットは数多くありますが、このキットはベッドだけでなくシンクなども備えていて、キャンピングカーとしていわゆる8ナンバー登録ができるのが特徴です。ベッドの部分は普段はソファとして使えて、大人ひとりならそのままでも寝られるサイズ。ふたりで寝る場合は拡張部分を引き出して、その上に付属のマットを敷いて使用します。

ソファとキャビネット部分の位置関係が絶妙で、ソファに座りながら調理や洗い物などをすることが可能。机としても使用できるので、食事のほかパソコン作業などもできました。
■実際に泊まって寝心地を検証
今回はCarstayのシェアリングサービスでも使用されている車両を借りて、実際に車中泊をしてみました。泊まった場所は同じくCarstayが運営する「Vanlife BASE」という車中泊スポット。

千葉県の山武郡九十九里町にあり、海が近いロケーションであるほか、利用者が使えるお風呂やシャワー、洗濯機なども完備されています。

借りた車両には、オプションのエアコンやFFヒーター(エンジンを止めたまま使えるヒーター)が装備されているので、季節を問わず車中泊できるのが魅力。同じくオプションのサブバッテリーキットも装着されているので、電源も気にせず使えました。

外観はキャンピングカーっぽくない普通の「ハイエース」。横や上に張り出している箇所もないので、運転しやすく立体駐車場などにも入りやすいのもポイントです。それでいて、寝心地は非常に快適でした。

筆者もベッドキットを装着した「ハイエース」に乗っていて、実際に車中泊などでも使用していますが、「SAny.VAN」はそれと比較してもワンランク上の快適さ。市販のベッドキットはマットを併用しないと寝心地が悪いものもありあますが、「SAny.VAN」のベッドはクッション厚も十分で普通のベッドと変わらないと感じる心地よさでした。

泊まった日はちょっと寒さを感じる中でしたが、FFヒーターを使えば毛布1枚で寝られるくらいの車内温度に。温度やタイマーもセットできるので、暑くなりすぎることもありませんでした。そして天井にもウッド素材が貼られ、家庭用のような遮光カーテンも装備されているので、ログハウスに泊まっているような気分で就寝できます。クルマの中で泊まっているという感覚が好きではない人も、これなら安心して寝られそうです。

キットはセカンドシートを活かしたまま装着できるので、2列シート車なら乗車定員などを変更しなくて済むのもメリット。セカンドシートを畳めば結構広い空間が出現するので(この部分にもウッド素材の床が貼られています)、キャンプで使用した道具などを入れておくこともできます。そのスペースで靴を履いて、サイドのスライドドアから出入りできるので、夜中にトイレに行くときも出入りしやすかったのが印象に残っています。

内部の快適さは本格的なキャンピングカー並みですが、外観はそのままなので普段使いしやすいのもポイント。商用車っぽい雰囲気を変えたい人には、サイドにストライプを入れることもできます。「ハイエース」であればワイドボディなど全サイズ・全グレードに対応。オプションやカラーなども選べるので、既に車体を所有していて車中泊仕様にしたいと考えている「ハイエース」オーナーはもちろん、これからキャンピングカーの購入を考えている人にも気になる存在でしょう。
ちなみに、今回借りた車両をシェアリングサービスで利用した後に「SAny.VAN」を購入した場合、利用料金分を購入価格から割り引きしてくれるとか。購入を考えている人は、一度試乗ならぬ試泊をしてみてはいかがでしょうか。
>> SAny.
>> Vanlife BASE
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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