時計史に名を刻むブローバ最大の傑作「アキュトロン」が約10年の開発期間を経て復活

1960年、時計の歴史は一度、大きく塗り替えられました。それまで数百年にわたって主流だった機械式に対し、BULOVA(ブローバ)が発表したのが、世界初の電子式音叉腕時計「アキュトロン」です。

金属製の音叉を一定周波数で振動させ、その振動を動力に変える。テンプに代わるこの方式は当時としては前代未聞で、日差2秒以内という驚異的な精度を実現。360Hzの振動が生み出す独特のハム音と、秒針が途切れなく流れるように進むスイープ運針は、精密さそのものを視覚と聴覚で示す存在でもありました。

この革新は単なる腕時計の枠を超え、NASAの宇宙開発や航空宇宙分野にも採用されるなど、アキュトロンは「正確な時を刻む象徴」として時代を代表する存在となります。

そして2026年、その音叉技術が再び腕元に戻ってきます。アキュトロンの革新を現代に蘇らせたのが、電子式音叉腕時計「チューニングフォーク スペースビュー 314」(99万円〜)です。

発売は2026年1月下旬予定。CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYO、CITIZEN FLAGSHIP STORE OSAKA、そしてブローバ公式オンラインストアの3店舗限定で展開されます。

本作の最大の特徴は、約10年に及ぶ開発期間を経て、音叉式ムーブメントを一から再構築した点にあります。音叉ムーブメントはその構造の繊細さゆえ、長年にわたり再現が困難とされてきましたが、オリジナルの精神を継承しつつ、現代の製造技術を用いて新開発されました。

360Hzの#Fのハム音と、滑らかに動く秒針というアキュトロンの象徴的要素は忠実に再現。一方で、音叉の振動を動力へと変換するインデックス車にはLIGA工法を採用し、直径わずか3.6mmの部品に400歯という精密構造を実現しています。

さらに、オリジナルでは内部に隠されていたインデックス車を文字盤側に配置。約1.1秒で1周する高速な歯車の動きを、あえて見せる構成としました。

加えて、裏蓋にはシースルーケースバックを採用し、音叉やコイル、装飾まで含めたムーブメント全体を視覚的にも堪能できます。いわゆる「スペースビュー」が持つ前衛性はそのままに、鑑賞体験としての完成度を高めた設計です。

また、精度は月差±1分。これは1960年当時のオリジナルに合わせた数値であり、スペック競争ではなく、あくまで音叉式時計という存在の意味を尊重した設定と言えるでしょう。

▲左から:「26A211」99万円、「26A212」(99万円)、「26A213」(102万3000円)

なお、ケース径は39mm。素材はステンレススチール(904L)とチタン(Grade5)を用意し、いずれも牛革ストラップを組み合わせています。生産は音叉ムーブメントの複雑さゆえ少量に限られ、一本一本手組みで仕上げられるため、希少性も非常に高いモデルとなります。

価格的にも決して気軽な選択肢ではありませんが、時計史における最重要イノベーションのひとつを、現代の技術で再び腕に載せられるという意味では、他に代えがたい価値を持つ1本なのは間違いないでしょう。

機械式でもクオーツでもない。「アキュトロン」という第三の道が切り開いた時計の未来を、もう一度体感する。その体験自体が、この時計の本質なのかもしれません。

>> BULOVA「チューニングフォーク スペースビュー 314」

<文/若澤 創(GoodsPress Web)>

 

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