オフィス街の入口「丸善 丸の内本店」で売れているビジネスパーソン向け文房具の実態とは

【大人の文房具“再”入門】

東京・丸の内。高層ビルが立ち並ぶこのエリアの入口に位置するのが「丸善 丸の内本店」です。創業1869年という歴史を持つ老舗書店ですが、ここで確かな存在感を放っているのが文房具売り場。周囲はオフィス街。平日の昼どきともなれば、スーツ姿のビジネスパーソンが次々と立ち寄ります。

デジタル化が進み、会議も資料もオンラインが当たり前になった今、それでもなお“売れている文房具”とは何なのか。感覚ではなく、実際に売り場を見続けてきた担当者の視点から、その実態を探ります。

▲株式会社丸善ジュンク堂書店:文具グループ 売場長 入本正博さん/丸善 丸の内本店:〒100-8203 東京都千代田区丸の内1丁目6-4 丸の内オアゾ 1階~4階

案内してくれたのは、文具担当として約8年売り場を見てきた入本さん。「ここはオフィス街なので、やはり仕事用途の文具が人気ですね」と話します。

そこで今回は、「丸善 丸の内本店」で入本さんがおすすめする文房具を6点に絞って紹介。売り場の最前線から見えてきた、いまのビジネス文具事情に迫ります。

【アイテム1】“消せるボールペン”を大人仕様に。静音ノックで使い心地も上質

写真左:パイロット「フリクションボールノックゾーン ウッド」(2200円)
写真右:パイロット「フリクションボールノックゾーン マーブル」(3300円)

フリクションは、専用ラバーでこすると摩擦熱によってインキが無色化する仕組みを採用した筆記具です。修正液や二重線を使わずに書き直せる利便性から、学生だけでなくビジネスパーソンにも浸透してきました。

その中で「フリクションボールノックゾーン」は、「より濃い筆跡で書きたい」「インキ容量を増やしてほしい」という声に応え、従来品よりも濃く長く書ける新開発の「プレミアムフリクションインキ」を採用した次世代モデル。

ペン先のがたつきを抑えて筆記を安定させ、ノック音も大幅にカットするなど、集中を妨げにくい設計になっています。

「フリクションはもともと幅広い年代の方に使っていただいていますが、ビジネス用途での需要も非常に高いです。書き直せるという利便性は、やはりフリクションならではですね」と入本さん。

インキはゲルタイプで発色がはっきりしている一方、紙の上ではやや広がる性質があるため、売れ筋は0.4mmや0.3mmといった細字だと入本さんはいいます。「たとえば同じ0.4mmでも、水性インキは油性より少し太く感じるんです。なので、手帳などに細かく書き込む方は、細いタイプを選ばれる傾向がありますね」

今回ピックアップしてもらったのは、ウッドグリップを採用したモデルと、マーブル調のグリップが特徴のモデル。機能は共通しつつ、握り心地と佇まいで選び方が変わります。

ウッドは高級感があり、しっかりとしたホールド感を得られるうえ、使うほどに艶が増し、エイジングも楽しめます。マーブルは引き込まれるような柄の美しさが魅力。手元の印象を一段引き上げたい人に選ばれています。

「フリクションとしては少し値が張りますが、何万円もするブランド文具と比べれば、お得感は高いと思います。機能性も唯一無二ですから」

定番の“消せる”という強みに、濃く長く書ける実用性と上質な外装を重ねた1本。ビジネス街で支持される理由が、機能と佇まいの両面から見えてきます。

【アイテム2】売れ筋ピカイチ。油性ボールペンの王者といえばこれ

写真左:三菱鉛筆「ジェットストリーム プライム 3色ボールペン」(3850円)
写真右:三菱鉛筆「ジェットストリーム プライム 回転繰り出し式シングル」(3850円)

油性ボールペンのカテゴリーで、ダントツの支持を集めている「ジェットストリーム」。低粘度油性インクを採用し、油性でありながら驚くほどなめらかな書き味を実現したシリーズです。発売以来、ボールペンの基準を塗り替えてきた存在といってもいいでしょう。

入本さんも「老若男女問わず、とにかく売れているボールペンといえば、ジェットストリームです。ここは外せません」と話します。

今回ピックアップしたのは、その上位ラインにあたる「ジェットストリーム プライム」。シンプルで美しい佇まいと、同シリーズならではの書き心地を両立させたモデルです。

軸は先端に向かって緩やかに細くなる流線形デザイン。回転繰り出し式ならではのスタイリッシュな印象を持たせつつ、繰り出し動作には適度な重みをもたせることで、上質な操作感を演出。板状のスリットクリップを採用するなど、細部まで洗練されています。

「ジェットストリームは、とにかく書き味が抜群ですね。出だしのかすれが少なく、紙に引っかかる感じがほとんどありません。」と入本さん。

「一般的な油性インクは粘度が高く、書き始めにかすれやダマが出やすいものですが、ジェットストリームはその弱点を抑え、なめらかさと速乾性を両立しています。日常使いからビジネス用途まで幅広く選ばれている理由は、そこにあるんでしょうね」

【アイテム3】所有する満足感まで設計された真鍮ボディの筆記具

SAKURA craft_lab(サクラ クラフトラボ)
「001」(5500円)

「これまでとは少し毛色が違うのですが、特に贈り物に喜ばれているのがこちらです」と入本さんが紹介してくれたのが、見るからに高級感あふれる1本。

SAKURA craft_labは、サクラクレパスが展開する筆記具ブランド。単なる実用品ではなく、“書く時間そのものを楽しむ”ことをコンセプトに立ち上げられたシリーズです。

「さまざまなモデルがありますが、最も人気なのは001ですね。真鍮製のボディにアクリルパーツを組み合わせた二重構造で、光の当たり方によって奥行きのある表情を見せます。真鍮は使い込むほどに色味や艶が変化し、自分だけの風合いへと育っていく素材です」

ペン先は回転繰り出し式。アンティークカメラのダイヤルを思わせる頭冠を回すと、しっとりとした感触とともにペン先が現れます。操作そのものにも上質さが感じられる設計です。

カラーはブラック、ブルーブラック、ブラウンブラック、ボルドーブラック、グリーンブラックなど、複数のバリエーションが用意されており、いずれもビジネスシーンでも使いやすい落ち着いた発色が特徴です。

「実用性を軸に紹介してきた前の2本とは少し違い、こちらはより“所有する喜び”を感じさせるタイプですね。シリーズを幅広く揃えている店舗も限られていることもあり、SAKURA craft_lab目当てで来店される方も多いです」

【アイテム4】繰り返し使えてサステナブル。胸ポケットサイズのデジタルメモパッド

KINGJIM(キングジム)
「ブギーボード BB-21」(5500円)

入本さんが「最近はデジタル周辺のアイテムもよく動きます」と手に取ったのが、キングジムの「ブギーボード」です。

ブギーボードは、液晶画面に専用スタイラスや指で直接書き込み、ボタンひとつで消去できる電子メモパッド。思いついた瞬間にすぐ書ける手軽さが特長で、丸の内のビジネスパーソンにも選ばれている今どきのメモ帳です。

「胸ポケットにも収まる薄型&コンパクトに加え、布調のカバーは見た目も落ち着いていて洒脱。ビジネスシーンでも違和感なく使えますよ」と入本さん。

書き味は感圧式で、筆圧によって線の太さが変化。紙に近い感覚で書ける点も評価が高いポイントです。

「これ、地味に便利なのがロック機能なんです。カバンの中で消去ボタンが押されてしまって、不用意にメモが消えてしまう、というのを防げるんですよ」

そのほか、コイン型リチウム電池1個で約5万回消去できる点も強み。繰り返し使えるので、結果として紙の使用量を減らせるという意味でも、サステナブルな選択肢といえます。

【アイテム5】手のひらサイズに進化。ノマドワーカーに人気の超小型ノートPCスタンド

KINGJIM(キングジム)
「ノートパソコンスタンド(折畳式)」(4180円)

文房具店でありながら、実は売り場で存在感を増しているのがPCスタンドです。

「コロナ以降、ノートパソコン1台で完結する仕事が増えましたよね。その頃からスタンドは動きが良くなっています」と入本さん。

リモートワークやフリーアドレスの浸透で、ノートPCを自宅・オフィス・カフェへと持ち歩く人は増加。姿勢改善や目線の高さ調整のため、スタンドは単なる周辺機器ではなく“必需品”になりつつあります。

今回入本さんがピックアップしてくれたのはキングジムの折畳式モデル。最大の特長はそのコンパクトさにあります。折りたたむと約W44×D127×21mm、ほぼ手のひらサイズ。質量も約190gと軽量で、バッグに入れても負担になりません。

「すでにスタンドをお持ちの方も多いですが、その中でもこれはかなり小さいほうだと思います。外回りの方や、カフェ等でちょっとした作業をする方に好評ですね」

角度は6段階で調整可能。目線を自然な位置に保ちやすく、長時間作業時の負担軽減にもつながります。アーム部分にはバネを内蔵し、角度調整時の安定感にも配慮。

さらに、接地面とPC接触部には保護パッドを備え、デスクや端末への傷を防ぎます。対応サイズは11〜15.6インチ、耐荷重は5kg。アルミニウム製で剛性も確保されています。

【アイテム6】紙の質が段違い。書き心地で選ばれる「ニーモシネ」

写真左:マルマン「ニーモシネ ジャーナル A5」(3300円)
写真右:マルマン「ニーモシネ ジャーナル A6」(2530円)

最後に入本さんが挙げたのは、マルマンのノートでした。

「やっぱり“書く”ニーズはなくならないですね。思考を整理するために、紙に書き出したいという方は多いです」と入本さん。

デジタルに置き換えられる作業は増えても、考えをまとめたり、構想を練ったりする場面では紙を選ぶ人が一定数いる。その受け皿になっているのが、マルマンの「ニーモシネ」です。

「マルマンは紙製品が代表的な文具メーカーということもあり、紙質がしっかりしているんです。毛羽立ちが少なく、ペン先が引っかかりにくいので、これまで紹介してきたボールペンはもちろん、万年筆とも相性が良いノートです」

ニーモシネは、90g/㎡の特厚筆記用紙を採用。厚みがあるため、にじみや裏抜けが起きにくく、滑らかな書き心地が続きます。

罫線はドット方眼。紙面を3分割・4分割できるメモリ入りで、図と文字を組み合わせた整理にも向いています。、また、ページ番号とコンテンツページ付きで、後から振り返りやすい構成です。

「サイズ違いで購入される方も多いです。小さいサイズは手帳代わりに持ち歩いて、大きいサイズはデスクに置く。用途で使い分けされるケースが増えていますね」

*  *  *

さて、いかがだったでしょうか。丸の内というビジネス街の入口に立つ売り場には、いまの働き方を映す道具が揃っていました。

それに、売り場に立つ人は、日々商品と向き合い、動きを見続けてきたプロばかり。流行りだけでなく、「実際に使われているもの」「長く支持されているもの」を知り尽くしています。

気になるアイテムがあれば、ぜひ丸善・丸の内本店の売り場を訪れてみてください。きっと、自分の働き方に合った一品が見つかるはずです。

>> 丸善ジュンク堂書店

>> 大人の文房具“再”入門

<取材・文/若澤 創(GoodsPress Web) 写真/田中利幸>

 

【関連記事】

◆推しボールペン総選挙「OKB48」総合Pに聞く。“文具離れ”の実情と注目のボールペン5本
◆使っていた表紙で年齢が分かる!? 「キャンパスノート」半世紀の進化の歴史と少子化時代の新戦略
◆中学デビューで何使ってた?シャープペンシル今昔物語をヒット作で振り返る


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA