【趣味カメラの世界 #36】
いまや大人気のチェキ。スマホで手軽に写真を撮れる時代に、あえてアナログ、それもインスタントであることに価値を感じる人たちが多くいることを証明している出来事なのかもしれません。
そんなチェキから、従来製品とは一線を画すモデルが登場。それが「instax mini Evo Cinema」(実勢価格:5万5000円前後)。昔を知る世代にとっては懐かしの8ミリカメラのようなデザインで、縦持ちスタイルも同じ。いったいどんなカメラで、何ができるのか。フォトグラファーの田中さんがレビューしていきます。
監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。
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チェキといえば、手軽で親しみやすいカメラという印象を持っている方も多いと思いますが、今回紹介する「instax mini Evo Cinema」は、そのイメージを少し違う方向へ広げてくれる一台。
まず目を引くのは、独特のデザイン。どこか昔のビデオカメラを思わせるような、懐かしさと新しさが同居した佇まいです。チェキらしい遊び心を持ちながら、道具としての存在感もしっかりある。実際に触ってみると、これは単なる“プリントできるカメラ”を超えて、手に取りたくなる魅力のあるプロダクトだと感じました。
■昔のビデオカメラを思わせる、独特のフォルムが目を引く

「instax mini Evo Cinema」最大の特徴は、やはりこの見た目。一般的なカメラともこれまでのチェキとも少し違う、縦長で薄い独特のフォルムは、使っていてもかなり目立つと思います。最初に見たとき、真っ先に頭に浮かんだのは、昔のビデオカメラでした。少しレトロで、でも古臭くはなく、むしろ今見ると新鮮に映る。そんな不思議な魅力があります。
カメラは性能や機能で選ぶことも多いと思いますが、“趣味のカメラ”という観点で考えると、「まず、手に取りたいと思えるか」はかなり重要な要素です。その点で「instax mini Evo Cinema」はかなり趣味カメラ向きの一台だと思います。置いてあるだけでも絵になる独特なデザインは、常に持ち歩きたくなる魅力があります。
■ジダイヤルやスイッチ類まで含めて、プロダクトデザインがよくできている

個人的に良いなと思ったのは、このカメラの特徴でもある“ジダイヤル”や各スイッチが、単なる機能としてではなくデザインの一部としてきちんと落とし込まれているところ。特に“ジダイヤル”はかなり印象的で、このカメラの顔にもなっています。動画・写真の切り替えやフレームのスイッチも視覚的に分かりやすく、それでいて見た目のアクセントに。

パッと見で設定が分かるのも良いところだと思いました。最近のカメラは多機能な反面、メニュー構造が複雑で、とっつきにくさがあることも少なくありません。その点、「instax mini Evo Cinema」はむしろ“見えている機能”が多く、直感的に使えます。
こういった操作性はカメラを操っているという感覚があり、撮影中も操作する楽しみによって気分が上がります。富士フイルムのカメラは、こういった物理的な操作感の気持ち良さがある機種が多い印象です。
■豊富なアタッチメントでさらに楽しみが広がる

最初に手にしたときは正直、少し持ちにくそうだと感じました。独特の形状ゆえに、一般的なカメラのようにしっくりくるグリップ感とは少し違います。ただ、実際に使ってみると、最初の印象からはやや変化が。

シャッターボタンの位置は思ったよりも使いやすく、撮影中の取り回しは意外と悪くありません。

さらに、付属のグリップアタッチメントを付けると、持ちやすさが向上。自立しなくなってしまうのはちょっと残念ですが、小指の余りが解消され、長時間持っていても安定して撮影できます。

さらに、取り外し可能なファインダーアタッチメントも、このカメラらしいギミックのひとつだと感じました。実用性だけで言えば絶対に必要というほどではないですが、ファインダーを覗いて撮影するという行為そのものが楽しい。こうした“絶対に必要なわけではないけれど、ちょっと気分が上がる”ような仕掛けが、「instax mini Evo Cinema」の魅力を引き上げていると思います。
■操作性は完璧じゃない。でも、それを含めて“撮影体験”として楽しい

液晶画面は小さめで、画質もほどほど。高精細というほどでありませんが、そういったラフさもチェキの雰囲気にはむしろ合っているのかもしれません。
操作性についても、現代のカメラの快適さをそのまま期待すると少し違う部分があり、手放しで褒められるほど洗練されているわけではない、というのが正直な感想です。
ただ、このカメラはそもそもそこを競う存在ではないのだと思います。「instax mini Evo Cinema」の面白さは、操作のスピードや液晶の見やすさよりも、チェキプリントを通して写真というものをひとつの“体験”として楽しませようとしているところにあるのではないでしょうか。

たとえば回転式のプリントレバーは、そのひとつ。ただボタンを押すだけではなく、レバーを回してプリントする。そのひと手間が、写真をプリントする行為そのものを少し特別なものにしてくれます。
液晶からプリントが出てくるように見える演出も、そういった面白さに一役買っています。こういう仕掛けがあることで、ワクワク感が増します。“撮影すること”を楽しませる工夫が随所に感じられるカメラだと思いました。
■スペックではなく“触って気分が上がる”カメラだった

外装の素材感だけを見れば、金属の塊のような高級機とは違います。プラスチックっぽさがあったりと、細かく見れば割り切りも感じます。ただ、それでも見た目の質感は十分に高く、実際に手にしていて安っぽさはありません。むしろ全体としてのまとめ方が上手く、デザインの目新しさなどで所有欲もきちんと満たしてくれるカメラだと思いました。
「instax mini Evo Cinema」は、スペックを細かく語るよりも、まず触ってみてほしいタイプのカメラです。見た目に惹かれ、ダイヤルやレバーを触ってみたくなり、実際に使うとまた少し好きになる。そんなふうに、道具としての魅力をしっかり持っている。後編では、このカメラで実際に撮って、プリントして、遊んでみたときの面白さをもう少し深く見ていきたいと思います。
>> 富士フイルム「instax mini Evo Cinema」
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/Maho(@mahomemotion)>
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- Original:https://www.goodspress.jp/columns/732508/
- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web
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