【達人のプラモ術】
エレール
「1/72 ロッキードL-749コンステレーション」
後編
■TWカラーのコンステレーションが完成!
今回製作したL-749コンステレーションはエールフランスとTWA(Trans World Airlines/トランス・ワールド・エアライン)の2種類のデカールを選択できるようになっています。作例はあえてTWAカラーで完成させました。
エレールはフランスの模型メーカーなので、ボックスアートもエールフランスのコニー(コンステレーションの愛称)で描かれています。しかしコニーといえば、生みの親であるアメリカの大富豪ハワード・ヒューズ。そしてハワード・ヒューズといえばTWAのオーナーでもありました。なのでホワイト×シルバーの鮮やかな赤いTWAのロゴがいちばん似合うと思うワケです。
▼コンステレーション
Photo: NACA/NASA
TWAのオーナーであるH・ヒューズが開発支援し、アメリカ大陸を無着陸横断できる旅客機として作られたロッキード コンステレーションは、その美しいフォルムから「レシプロ4発旅客機の最高傑作」「空の貴婦人」と呼ばれ、現在も数機が飛行可能な状態で保存されています。画像は今回制作したL-749の後継型となる L-1049G スーパーコンステレーションになります。
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。タミヤ公式YouTubeチャンネルなどでもハウツーレビューを
■TWAの黄金時代を築いたコンステレーション
TWAは1925年にウエスタン・エアー・エキスプレスとして設立されたアメリカの航空会社です。1930年に、当時の大手航空会社トランスコンチネンタル・エアー・トランスポートと合併し、TWA/トランスコンチネンタル・アンド・ウエスタン・エアーに社名変更されました。
トランスコンチネンタル・エアー・トランスポートは当時、世界初の大西洋横断飛行を成し遂げた著名な飛行家チャールズ・リンドバーグが技術顧問を務めていたことで知られた航空会社です。
1932年に、最新鋭の全金属製機体のダグラス DC-1を導入。その後もダグラス DC-2やDC-3などの新鋭機を次々と導入し、コロンバス〜ピッツバーグ〜ニューアーク路線やアメリカ大陸横断路線に参入するなど、その路線網を全米に拡大しています。
そして1939年、大富豪で飛行家や航空機製造会社の経営者としても知られるハワード・ヒューズに買収されました。
H・ヒューズにより莫大な資金が投下され、安定した資本のもと、与圧客室を持ち高高度運航が可能なボーイング307を1940年に導入し、アメリカ大陸無着陸横断が可能な大型旅客機としてオーナーのH・ヒューズ自らが開発支援した機体、それがロッキード ・コンステレーションでした。
その後もTWAは、ロッキード コンステレーションの発展型となるL-1049 スーパー・コンステレーションやL-1649 スターライナーなどの最新機材を次々に導入し、長距離国際線やアメリカ大陸横断便に投入しています
さらに1958年から1959年にかけては、当時の最新鋭ジェット旅客機であるボーイング707や、再びヒューズが開発に関わったコンベア880を相次ぎ導入するなど、パンアメリカン航空と並び、華やかな空の黄金時代を代表する航空会社として世界の空を飛んでいました。
TWAは、2001年にアメリカン航空に吸収合併され、惜しまれながらその姿を消しています。
■ハリウッドスターとコンステレーション
当時の逸話として、映画製作者としても有名であったヒューズの人脈から、TWAはハリウッドスター御用達の航空会社でもあったそうです、キャサリン・ヘプバーンやフランク・シナトラ、ハンフリー・ボガートやエヴァ・ガードナーなど多くの映画スター達が移動に利用していたとか。1940~60年代、多くの映画やレコードのジャケットに同社の機体が登場しており、1958年にリリースされたフランク・シナトラのアルバム『カム・フライ・ウィズ・ミー』のジャケットにはコンステレーションが描かれています。
▲1958年にリリースされたランク・シナトラのアルバム『カム・フライ・ウィズ・ミー』。バックにTWAのコンステレーションが描かれている。フランク・シナトラ『Come Fly with Me』(Capitol Records)ジャケットより引用
▲ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港のターミナル5にて1962年から2001年まで運営されていたTWAのターミナル施設をホテルにリノベーション。2019年にTWA ホテルとして開業し話題を集めた。ホテルの前にはTWAが運航していたL-1649 スターライナーの1機が保存展示されており、カクテルバーとして利用されている。Photo by Jag9889 / CC BY-SA 4.0
▲1950年代のTWAポスター。ニューヨークの夜景をバックに飛ぶコンステレーションが描かれている。Photo: Trans World Airlines (Public Domain)
■TWAカラーのコニーを製作
前編でも書きましたが、今回製作したのはフランスの模型メーカー・エレールのキットです。ボックスアートやデカールは刷新されてはいますが、キット自体は70年代に発売されたものなので、製作も一筋縄ではいきません。
最も気になった機体全体の凸モールドパネルラインは全て凹ラインんに掘り直しているのですが、素材のプラが柔らかくて、モールド掘りに使用するラインチゼルの刃がすぐに逸れてしまい、掘っては修正の繰り返しでだいぶ苦労させられました。
製作ではパネルラインを凹に掘り直し、主翼の上半角を修正したのみで、基本的なプロポーションはいじっていません。
また、見てのとおりコンステレーションは前脚式ランディングギアの機体ですが、特徴的な3枚の垂直尾翼ということもあって、キットは極端にテールヘビーな機体となっています。
胴体にコクピットを組み込む際に30gのオモリを積み込み、4基あるエンジンのナセルにもそれぞれ10gのオモリを仕込んでいます。
しかし最後に水平尾翼を組んだら、見事に尻餅をついてしまったので、前脚収納庫にさらに10gのオモリ(トータル80g)を追加することで、なんとか3点自立させられました。オモリの荷重に対して前脚柱が細く長いので、強度的にはかなり不安が残ります。
■エラライン機の塗装
TWAのコンステレーションは、機体上面がホワイト、機体側面から下面、主翼はナチュラルメタル(無塗装のジュラルミン)のシルバーとなります。軍用機ではつや消しが基本ですが、エアライナーは光沢塗装が基本となります。
ホワイトは塗装後にコンパウンド(研磨剤)を使って研ぎ出しすることで光沢を出しています。シルバーは、今回独自に調色した輝度の高いシルバーをエアブラシで吹き付け。ナチュラルメタルな金属感を出したかったので、クリアーを使ったオーバーコート塗装はしていません。ただし部分的にトーンを変えたシルバーで塗装することでパネルごとにコントラストを変えています。あえてクリアー塗装をしなかったことで、良い感じの光沢感が出せたと思います。
機首の上面のアンチグレアと主翼前縁や尾翼前縁の黒い防氷ブーツは、塗装ではなくフィニッシュシートをカットしたものを貼っています。デカールは質も良く貼りやすいので助かりました。デカールは主翼のTWAのロゴ部分のみ透明のフィルム部分をカットしました。
▲グレーサフで下地塗装ののち、グロスホワイトで機体全体をエアブラシで塗装
▲機体側面と主翼のシルバーはナチュラルメタル(無塗装のアルミやジュラルミン)感が強いシルバーを調色している
▲機首やエンジンナセルにかなりの量のオモリを積んだのだが、水平尾翼を取りつけると尻もちをついてしまったため、前脚の収納部にさらに追加してなんとか3点姿勢を保持
▲機首のアンチグレアと主翼前縁、尾翼の黒い防表ブーツはフィニッシュシートで再現
▲コクピット内部はパイロットシートや計器版、操縦桿が再現されているが、完成後は全く見えない。キャビン内部は再現されていないので黒塗りでOK
▲コンステレーションの特徴でもある3枚の垂直尾翼。キットではテールヘビーの元凶
▲コンステレーションのスタイルを引き立てる長く美しい前脚なのだが、模型的には破損しやすいので注意が必要だ
■自然光での撮影
完成した機体は1/72スケールとはいえ、4発のエアライナーということもあり翼幅が521mm、全長403mmと飛行機モデルとしてもかなり大きいサイズとなります。
困ったのが普段使っている撮影用ブースでは全体像が収まってくれないことでした。そこで以前この連載で製作したアルテミスロケットで良い感じになった自然光を使って撮影にチャレンジしてみました。


■まとめ
近年のエアライナーのプラモデルは、実機がワイドボディ化で大型化していることもあり、1/144や1/200スケールが大勢を占めています。1/72スケールは、本キットや一部のレシプロ機がモデル化されているのみです。
コンステレーションはアメリカ大陸横断を考え設計されたレシプロエンジン搭載の4発機だけに、完成しさせるとさすがにデカいというか迫力満点で、展示場所に大いに悩むサイズになります。注目度はバツグンですけどね。
1/144スケールでもモデル化されているのですが、そうなると、ちょっと小さめとなってしまうのが辛いところ、個人的には1/100スケールでコニーの新キットを出してくれないかと思う次第です。
先日某模型店でダグラスDC-6の1/72スケールのキットを見つけてしまい、当時コンステレーションのライバルと言われていた旅客機だし、一緒に並べたら見応えあるだろうななどと考えている今日この頃です。
さて夏に向けて次回はどんなキットを作りましょう。乞うご期待です!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/740987/
- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web
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