創業から130年以上の歴史を持つハミルトン。今でこそ本拠地をスイスに移しているが、長い来歴の半分以上をアメリカで築き、そこで培った “アメリカンスピリット”が現在もなお時計の中に息づいている。今一度その歩みを時代の潮流とともに振り返ってみよう。
* * *
19世紀後半、アメリカは大陸横断鉄道の開通とそれに基づく西部開拓が加熱。目まぐるしく進展する工業化を経て大国へと成長を遂げていた。そんなフロンティアの時代に区切りがついたころ、次はランカスターでハミルトンの歴史が始まる。以降、アメリカ史という長い大河に、ハミルトンは深く密接に関わっていく。
創業初期に手がけていたのは懐中時計。当時から高い精度と技術を有していたハミルトンは鉄道公式時計としてインフラの一端を担っていた。その後米軍へ正式採用されると、ミリタリーウォッチの地位を確立。過酷な環境下でも駆動するタフさと計器としての正確さを誇る“実用時計”を極めた。
時代は進み、WW2後のアメリカでは現代にも続くエンタメ文化が隆盛を迎えると、このアメリカンカルチャーともハミルトンの時計は高い親和性を見出した。アイコニックなタイムピースが続々と登場し、ポップシーンでもその独創性が一世を風靡したのだ。
あるときは鉄道時計として。またあるときはミリタリーウォッチとして、あるいはムービーウォッチとして。時代と場所は変われども、ハミルトンの時計には歴史と背景に裏打ちされた揺るぎない「価値」が、確かに刻まれている。
<1892年>
アメリカ、ランカスターの地で創業。

<1895年>
懐中時計「ポケットウォッチ936」を製造。気温に合わせて調整される特殊なムーブメントを搭載する。

<1912年>
アメリカの鉄道公式時計に認定。
<1914年>
ハミルトン製の懐中時計の優れた品質と精度がアメリカ軍に認められる。
<1917年>
懐中時計から塹壕で戦う兵士のニーズに応える時計へと生産を移行。アメリカ軍のオフィシャルサプライヤーとして信頼できるミリタリーウォッチを供給する。
<1932年>
映画『上海特急』でハミルトンウォッチが銀幕デビュー。
<1941年>
■初代「ボルトン」が登場
今なお続く「アメリカンクラシック」コレクションの礎的存在。樽型(トノー)ケースなど、アールデコの美学を体現するアイコニックなデザインが当時から人気を博した。

<1942〜45年>
WW2で軍需品の生産に注力。「Army-Navi ‘E’ Award」を受賞。

<1957年>
■世界初の電池式腕時計「ベンチュラ」発売
脱進機を備えつつも水銀電池を動力源とした世界初の電池式腕時計。盾型ケースシェイプデザインが無二の個性を放ち、駆動機構とあわせて時計業界に衝撃を与えた名作だ。

<1961年>
映画『ブルー・ハワイ』公開。エルヴィス・プレスリーが「ベンチュラ」を着用する。
<1966年>
■ミリタリーウォッチ「GG-W-113」誕生
正確な同期を可能にする「ハッキング」やストップセコンド装置を備えており、ベトナム戦争時に米軍に正式供給された。ハミルトンの代表作「カーキ フィールド」の原点となる。

<1968年>
スタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』で初のプロップウォッチを制作。
<1969年>
■世界初の自動巻きクロノグラフ「クロノマテック A」誕生
キャリバー 11ムーブメントを搭載した自動巻きクロノグラフ。同キャリバーは世界初の腕時計用自動巻きクロノグラフキャリバーとして、時計史における大きな転換点となった。

スイスに拠点を移す。創業の地・ランカスターでの時計製造の歴史に区切り。
<1970年>
アメリカ空軍のナビゲーター向けに「ハミルトン FAPD 5101」が製造される。

■世界初のLED搭載腕時計「ハミルトンパルサー」誕生
未来的でスペーシーなルックスに加え、LEDによる時刻のデジタル表示というまさに革新的な一本だ。3年にわたる研究・開発を経て、1970年に発表、1972年に製品をリリース。

<1997年>
映画『メン・イン・ブラック』公開。「ベンチュラ」が起用される。
<2014年>
映画『インターステラー』公開。「カーキ フィールド」のプロップウォッチを制作し、“マーフウォッチ”として注目される。
<2017年>
世界初の直営旗艦店「ハミルトンストア 東京 キャットストリート」がオープン。

<2026年>
「カーキ フィールド メカ 36mm」が発売。
【AMERICAN HISTORY】
<1776年>
■「アメリカ独立宣言」が採択
アメリカ合衆国の独立のほか、自由・平等などの基本的人権、人民の革命権などを掲げて近代市民社会の原則を樹立した。7月4日は国民の休日として毎年盛大に祝われている。

<1863年>
リンカーンによる奴隷解放。
<1869年>
大陸横断鉄道完成。西部開拓が本格化。
<1876年>
ナショナル・リーグ発足。のちの「MLB」の礎となる。
<1879年>
エジソンが白熱灯を発明。
<1886年>
フランスより自由の女神像が寄贈。除幕式が執り行われる。
<1908年>
T型フォードが登場し、徐々に自動車が普及。
<1911年>
ハリウッドに最初の撮影所が設立される。
<1920年代>
■映画文化黎明期
“喜劇王”チャップリンが登場し、ウォルト・ディズニーによる最初のトーキーアニメ映画『蒸気船ウィリー』も公開。1929年には第1回アカデミー賞の授賞式が開催された。

<1950年代>
テレビが普及、エルヴィス・プレスリーが台頭し、ロックンロールカルチャーが浸透。54年にはマクドナルド1号店、翌55年にはディズニーランドが開園するなど、現代へと繋がるアメリカ文化の土壌が整う。
<1959年>
アラスカ、ハワイが加わり現在の50州に。
<1967年>
第1回スーパーボウルが開催。
<1969年>
■アポロ11号が月面着陸を果たす
搭乗していたニール・アームストロング船長とバズ・オルドリン月着陸船操縦士の2名のアメリカ人が史上初となる人類による月面着陸に成功。

<2006年>
人口が3億人を超える。
<2026年>
アメリカ建国250周年を迎える。
■ハミルトンの歴史とアメリカ映画の深い関わり

『2001年宇宙の旅』や『TENET』でのプロップウォッチ制作など、作品の世界観演出やストーリーの重要なカギを担ってきた。2006年からはハリウッドで「ハミルトン ビハインド・ザ・カメラ・アワード」を開催。スポットライトが当たることのなかった「映画制作クルー」を称えているなど、ハミルトンだからできる映画との関わり方でかけがえのないポジションを確立している。

>> 特集【アメリカンスピリットが息づくハミルトンの名作たち】
※2026年6月5日発売「GoodsPress」7月号134-135ページの記事をもとに構成しています
<文/GoodsPress編集部>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/741243/
- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web
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