ブツブツ喋ればきれいなメモが完成。「AIボイスレコーダー」2モデルを実機で比較。オススメの使い方も

次に流行るガジェットは、きっとコレですね。「AIボイスレコーダー」。

アクセサリーのように身につけながら、喋った内容を文字起こししつつ、AIで処理しやすい形に整えられるのがとにかく便利。そして、価格帯も2万円台程度と手頃なので、物価高な昨今でも手を伸ばしやすい。

すでにAIやガジェットに詳しい界隈では定番ジャンルになっている印象ですが、ここに来てじわじわと製品数が増えていることもあり、おそらくはこれからより一層普及していくのだろう、という段階です。ただし、いざ検討するとなると、どの製品を選べばよいかわかりづらくなりそうな予感もします。

本稿では、同ジャンルでデファクトスタンダードになっている「Plaud」ブランドの最新製品「Plaud NotePin S」と、比較的新参の「SwitchBot AIマインドクリップ」をそれぞれ数週間使ってみたうえで、使い勝手や特徴を比べてみました。

(1)そもそもスマホではなく専用のウェアラブル機を用意する必要があるのか

(2)この手の製品はどういうポイントをチェックして選べばよいのか

という2点を読了後にイメージできるよう、筆者のインプレッションをお届けできればと思います。

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X

 

 

 

■そもそも「AIボイスレコーダー」とは?

大前提としてこの手の製品は、国やその製品の形状・製品名によっても呼ばれ方に幅があります。例えば、米国をはじめとした英語圏の記事では「AI Neckless(AIネックレス)」や「AI Pendant(AIペンダント)」と書かれることが多い印象です。筆者が新製品の情報を検索する際には、このあたりのキーワードを用いています。

一方、日本では「AIボイスレコーダー(AIレコーダー)」という呼び方が浸透していますね。そのため、本稿ではこちらの呼び方を採用しています。

これらは基本的に同じものだと思って差し支えありません。ただ、筆者は「AIペンダント」の方が、この手の製品の本質を捉えている気がしています。

肝心なのは、期待すべき体験が“ボイスレコーダー”じゃないということです。この手のデバイスを使う際には、

(1)本体のスイッチをオンにし
(2)声で情報を入力し
(3)スマホ側のアプリで必要な情報をAI処理にて抽出する

という流れを踏みます。「声」はあくまでも入力手段であって、ユーザーは使用時に「要約された内容」を想像・期待して使うことになるのです。

Plaud NotePin Sの使用イメージ ▲Claud NotePin Sと、それで記録した音声を専用アプリ(Plaud)でまとめたテキストのイメージ。筆者のような執筆業の場合、製品レビューをしながら、人に説明するようにぶつぶつ喋り、それをAIに要約させることで、ポイントをまとめた雑記帳のようなものができあがるわけだ。これは筆記具の延長であって、使い手の意識が向いている先は「録音」ではない

 

■Plaud NotePin Sのデザインと操作性

では、「Plaud NotePin S」と「SwitchBot AIマインドクリップ」の2モデルについて、具体的な部分を見ていきましょう。

手に持った「Plaud NotePin S」 ▲「Plaud NotePin S」はカプセル型だ

Plaud NotePin Sでは、4つの装着スタイルを選べます。

(1)ネックレスのように首からぶら下げる
(2)リストバンドで手首に固定
(3)マグネットで衣類を挟んで固定
(4)クリップでポケットやPCに挟んで固定

のようにシーンや服装に合わせたチョイスが可能。

「Plaud NotePin S」の同梱アクセサリー ▲左から、ネックレス型のストラップ装着時、マグネット固定用のパーツ、クリップ固定用のパーツ、リストバンド型のパーツ

筆者は、ネックレス型が一番気に入っていますが、装着時の見た目は結構目立つので、プライベートなシーン用ですね。ビジネスシーンならリストバンド型やクリップ型などで使う方が良いと思います。

「Plaud NotePin S」を首に下げた様子 ▲ネックレス型での装着イメージ。Tシャツでも合わせやすい

「Plaud NotePin S」を手首に装着した様子 ▲リストバンド型のパーツに付けると、昨今のスマートウォッチと比べるとチープに見えるのが惜しい。ただ、シーンを問わずに使いやすい点は大きなメリットだ

本体形状は、長さ5cm弱のカプセル型。中央にカチッと押し込めるボタンが備わっていて、ここを長押しして録音のスタート・ストップを制御します。なお、録音開始・停止時には本体がブルっと振動しますし、録音中にはLEDライトが光るようになっています。若干ながらも、周囲のプライバシーに配慮があるのは好印象なポイントです。

ちなみに、製品名に「S」の付かない従来世代の「Plaud NotePin」では、操作ボタンがタッチセンサーでした。一方で、新モデルの「Plaud NotePin S」ではこれが物理ボタンに変わっているのがポイント。オン・オフの切り替えに確信が持ちやすいです。

>> AI対応ICレコーダー「PLAUD NotePin」で打ち合わせも取材も記録がラクになるのか?

裏面には充電用のピンが備わっていて、専用の充電器にセットしてチャージします。外出時のことを考えると、専用の充電器が必要になるのはちょっと注意かも。

「Plaud NotePin S」のディティール ▲ストラップ固定部分のディテールと、裏面の雰囲気

「Plaud NotePin S」を充電している様子 ▲充電器にセットした様子

 

■SwitchBot AIマインドクリップのデザインと操作性

対するSwitchBot AIマインドクリップは、襟元などにクリップで取り付けるスタイルが基本です。形状が固定されているため、装着方法のバリエーションは多くありません。

手に持った「SwitchBot AIマインドクリップ」 ▲SwitchBot AIマインドクリップ

そして、クリップする力があまり強くないので、激しく動かないときに使うのが良いでしょう。基本的にビジネスシーン特化なデザインだと思います。

「SwitchBot AIマインドクリップ」を装着した様子 ▲Tシャツで身につけた場合(左)とポロシャツで身につけた場合(右)。本体部分が隠れるため、ピンマイクのような雰囲気で、見た目はスマートだ

録音の開始・停止操作はスライド式のスイッチで行います。スイッチが小さいので、指先での操作はちょっぴりストレス。一方で、ボタンを長押しする必要がなく、慣れればオン・オフの切り替えが素早く行えるのはメリットでもあります。

「SwitchBot AIマインドクリップ」のボタン ▲赤い丸の描かれたスライドスイッチで、録音のオン・オフを制御する。写真はオフの状態だ

なお、正面から見て左肩にLEDライトを搭載しているのですが、これはあくまで挙動を覚えるときに役立つだけで、衣類に装着した場合、全くユーザーからは見えません。スイッチオン時に振動することはないですし、慣れるまでは「あれ、今動いているのかな?」と不安になります。周囲の人に対する「プライバシーの配慮」という点ではほぼ機能しません。

「SwitchBot AIマインドクリップ」のLEDライト ▲申し訳程度に付いているLEDライト。「あれ、いまオン?オフ?」とわからなくなったときだけに役立つ

一方、充電をUSB Type-Cケーブルで行えるのはメリットですね。その場にあるケーブルを流用できるので、専用の充電器を持ち歩かなくて済みます。

「SwitchBot AIマインドクリップ」を充電している様子 ▲USB Type-Cケーブルで充電できるのがすごく嬉しい

 

■アプリの使用感に大きな差はなし

「Plaud NotePin S」や「SwitchBot AIマインドクリップ」は、ペアリング時に使用するスマートフォン側の専用アプリを起動すると、自動で録音データを同期する仕組みになっています。どちらもWi-Fi Drirectのような、デバイス同士で高速通信する機能もサポートしているので、1時間を超えるような録音データを移す際にもさほど時間はかかりません。

また、録音データの扱い方については、細かい差はあるとはいえ、基本的な部分は共通しています。

アプリでの操作を理解するうえで押さえておきたいポイントは、(1)複数音源を統合して処理できることや、(2)単なる文字起こしの確認だけでなく、要約やTo Doリストでの表示が可能なことです。言語モデルや出力用のテンプレートはアプリ内から選択できます。

iOS版「Plaud」アプリの画面イメージ ▲iOS版「Plaud」アプリの画面イメージ。複数の音源をまとめて処理するための「結合」機能(左)は活用時に必須となるだろう。また、インフォグラフィカルに情報を処理できるのも大きなメリットだ(右)。右画面の下側にある「Ask Plaud」からチャットにプロンプトを入力できる

特筆すべきは、Plaudのアプリ内の生成AIチャット機能「Ask Plaud」を使うことで、インフォグラフィックも生成できること。用途によっては、視覚的に情報をまとめるうえで、強力なツールとなるでしょう。

iOS版の「AI MindClip」アプリの画面イメージ ▲iOS版の「AI MindClip」アプリの画面イメージ。こちらも「結合」機能(左)と、生成AIチャット機能(右)を備えていて、基本構造はそっくりだ。ただし、インフォグラフィックの生成機能はない

 

■気に入った使い方

口頭で記録を取るのは、最初の数回は難しく感じるはずです。言うなれば、慣れないキーボードでタイピングするような感覚ですね。ただ、慣れてくれば友達に喋るような口調でブツブツ喋っているだけでメモが完成するようになります。

実際に「Plaud NotePin S」と「SwitchBot AIマインドクリップ」をいろいろと使ってみて、特に相性が良いと感じた用途は、(1)情報やアイデアの整理と、(2)語学学習でした。

インフォグラフィックでまとめたイメージ ▲Plaudに本原稿のこのパラグラフを読み上げて、インフォグラフィックでまとめてもらった

まず、調べ物をするときには、スマホ片手にブラウジングしながら必要な情報を口で読み上げていくことで、ある程度のメモが完成します。

例えば、在宅勤務の筆者の場合には、プレスリリースの一覧を見ながら、気になった製品について読み上げ確認をしていくことで、原稿の企画案のベースが整えられるというわけです。

同様に、勉強をするときに、テキストを眺めながら重要なポイントを口頭で読み上げれば、復習用のノートが完成。そこからAIに設問を用意してもらうのもよいかもしれません。

もっとカジュアルに使うならば、冷蔵庫を開けながら「牛乳がもうないね、あー、あとわさびのチューブもそろそろ買わなきゃ…」みたいに話すことで、買い物リストが完成します。

Web版アプリの画面イメージ ▲Plaud、SwitchBotともに、PCブラウザ版のアプリが用意されている。スマホアプリで同期だけしておき、情報をまとめるのはPCから行うのもありだ(画像はブラウザ版Plaudの画面イメージ)

そして、語学勉強という点では、日常生活で気になった対象や言いたい内容などを口頭でメモしておく使い方が便利でした。

例えば、散歩をしたり家事をしたりしながら「これ英語で何て言えば良いんだろう?」と目に留まった対象を日本語で記録するわけです。「ススキがたくさん生えているな」「お、マツムシが鳴いている」「あー、寝る前に洗い物すませなきゃ」とか日本語で記録します。

あとは文字起こしした内容をChatGPTとかGeminiに投げれば、覚えるべき単語やフレーズをゲットできるという算段です。実際に目にしたもの・体験したものを題材にできるので、記憶にも残りやすくなります。

ちなみに、この記事の下原稿は、夕食を作りながらぶつぶつと声を出して、SwitchBot AIマインドクリップに読み込ませて作りました。筆者のように取材のメモや原稿に使う機会がある方ならば、かなり重宝すると思いますよ。

もちろん、機密情報が関係する場面では取り扱いに気をつけなければいけませんので、ビジネスシーンで使う場合には、会社で定められているレギュレーションや機密情報の取り扱いについて十分に注意してください。

*  *  *

Plaud NotePin SとSwitchBot AIマインドクリップをそれぞれをじっくり使ってみて思ったのは、この手のデバイスは、アプリの使い勝手や文字起こしの精度うんぬんというよりも、「装着方法」「録音開始・停止ボタンの操作性」「充電端子」など、ハードウエア面の差において、好みが分かれやすいだろうということでした。

例えば利用するのがビジネスシーン中心になるならば、スーツに合わせやすいデザインのSwitchBot AIマインドクリップが魅力的に感じるでしょう。USB Type-Cで充電できることも、うっかり充電が切れそうなときに臨機応変に対応できます。オン・オフのスイッチはやや扱いづらいですが、会議やインタビューといったオン・オフ操作の頻度が少ない活用シーンが、組織の規則上許されるのであれば、ぴったりな選択肢となると思います。

一方で、ビジネスシーンだけでなく、日常用途にも活用の場を広げるならば、筆者としてはPlaud NotePin Sの方がおすすめ。スーツシーンで使えるのはもちろん、ネックレスやリストバンド型にすれば、部屋着でも使いやすいです。うっかりそのまま洗濯してしまうという事態も避けやすいはずです。

「Plaud NotePin S」と「SwitchBot AI マインドクリップ」 ▲こうした使い方をスマホでやろうとすると、片手が塞がり、画面を見ていないといけなくなる。AIボイスレコーダーがあれば、完全に“手”が空き、歩いたり、家事をしたりしながら、ある意味“脳だけ”で作業を進められる感覚になる

ちなみに、筆者はAIレコーダー2台持ちの体制が気にいってしまいました。ひとつ(SwitchBot AIマインドクリップ)は仕事の情報整理とアイデア出し、下原稿のための雑記帳的に活用しています。もうひとつ(Plaud NotePin S)は英語学習のためのメモ帳として使っている状況です。

ヘビーユーズしつつ、小分けに録音していると、だんだんメモの整理が大変になってくるので、開くアプリによって用途が分かれているとユーザー側の処理がラクなんですよね(もちろん、日付け単位などですべてのファイルを統合させて、AI側に一括で整理させるという手もありますが…)。

皆さんだったら、どんな感じで使いますか?

>> Plaud

>> SwitchBot

<取材・文/井上晃>

 

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