バルミューダの新作は「ラジオ」。自分用の番組が毎朝届く「AIラジオ」の仕組みとは

2026年10月27日に行われたバルミューダの新製品発表会。そこで披露されたのは、調理家電でも空調家電でもなく「ラジオ」でした。

そう聞くと、聴取用のプロダクト(いわゆるラジオ機)だと思ってしまいますが、内容はコンテンツサービス。AIが作り出す「パーソナルAIラジオ」の提供を開始すると発表されたのです。その名も「Good Morning Radio」。

「これまでバルミューダでは、人生を楽しむためにより良い体験を提供することを目指して製品を作ってきました。そしてこのラジオも人生を楽しむために作りました」

発表会の冒頭、バルミューダ代表取締役社長の寺尾玄氏はそう話しました。たしかに発表された内容は、扇風機やトースターといったこれまでの製品と同じく、これまでにないバルミューダらしい「AIラジオ」でした。

そもそもこの「AIラジオ」は、今年4月に発売された「The Clock」という置き時計の開発中に思いついたものだといいます。「The Clock」はスピーカーを内蔵しており、アラーム以外にタイマーや自然の環境音を流せる機能が付いていて、専用の無料アプリ「BALMUDA Connect」で細かく設定できます。「AIラジオ」もこのアプリから初回設定を行います。

ラジオ番組やPodcastは、テレビ番組と同じく決められた内容があり、それを受信して楽しむものです。選べるのは番組だけで、ニュースのジャンルはもちろん細かい内容も選べません。しかし「Good Morning Radio」は、AIが聴き手個人個人に合わせてカスタムした内容を流してくれるという仕組みになっています。

番組が生成されるのは、現時点では1日1本。時間は約10分。全体のプログラムは決まっていて、そのうちの一部、<天気>や<パーソナライズニュース>といった部分が聞き手に合わせた内容になります。

▲寺尾氏のおすすめは「散歩道」。世界中の散歩したくなる道が紹介されるという

また最後の<1分ストーリー>は曜日によってジャンルが決まっており、あらかじめ作られているものが流れるとのこと。

寺尾氏によると、番組製作は「人とAIの協業」だといいます。かなりの人手と時間が使われていて、AIで自動生成しただけのものではないそう。

発表会の参加者にはアプリのみで体験できる招待コードが配られたので、自宅で試してみました。

アプリ「BALMUDA Connect」を開き、下部の「Radio」をタップすると、まず利用前のアナウンス画面が表示されます。

人の手が入るとはいえ、そこにはやはり限界があります。番組制作に生成AIを利用している以上、ハルシネーション(事実と異なる情報の生成)が発生する可能性は否定できません。また昨今の情報漏洩多発やAIに利用されることを避ける意味から、個人情報の入力に二の足を踏む感覚は誰しもあると思います。そういった意味でも、次の画面で表示されるプライバシーポリシーはよく確認することをおすすめします。

それらを終えると、セットアップ開始です。

まずはプロフィールの入力から。ここで分かるのですが、必ず入力しなければならないのは誕生年だけです。名前も住所もいりません。個人情報といえるものは、これぐらいです。

寺尾氏は「ここ(生年)だけは大事なところなので、入れていただく必要があります」と言います。なぜなら、AIが聞き手の年齢も加味したうえで最適な情報を類推するため。たしかに同じ趣味嗜好の人でも、年齢によって体験してきたことは異なります。そういう意味でも生まれた年の情報はパーソナライズには欠かせないであろうことは理解できます。

一方、天気情報のためのエリア登録は、必ずしも居住している市区町村である必要はありません。次の旅行の行き先でもいいし、職場の所在地でもいい。ここで登録したエリアについては、天気だけでなくローカル情報(注目のお店など)も流れてきます。

さらに、興味や関心があるカテゴリーを選び、キーワードを最大10個登録(自由に作れます)。最後にパーソナリティを選んだら設定完了です。パーソナリティはもちろんAI。今後、増やしていく予定だといいます。またここで設定した内容は、あとから変更も可能です。

寺尾氏は毎朝、「The Clock」のアラームで目覚めたら、そのまま「The Clock」を手にキッチンに向かい、「Good Morning Radio」を流しながらコーヒーメーカーをセットしていると話していました。

こちらは残念ながら「The Clock」がないのでスマホになりますが、朝のコーヒールーティーンに合わせてスマホで「Good Morning Radio」を流してみました。

まず感じたのが、天気情報がありがたかったということ。都道府県単位ではなく市区町村単位で気温や雨予報などを教えてくれるのは、通常のラジオ番組ではありえません。

10月30日(金)のニュースでは、ANAのエア・ドゥやソラシドエアの子会社化、新型MacBook Pro、秋の園遊会のニュースが流れました。興味のあるカテゴリーにはテクノロジー、キーワードにはガジェットや航空券を入れています。そもそも、この3つのニュースが、パーソナライズによって選ばれたものとそうではないものが一緒になっているのかははわかりませんが(おそらくどちらもあると思われる)、普通にニュースとして流れているな、という感覚で聴いていました。

そして最後は、金曜日なので1分での映画紹介。長さは計約8分。

本当に人が喋っているようなのですが、中にはやはり日本語として気になる部分もありました。ここは今後のアップデートに期待ですね。

そして聴取後に感じたのは、「ラジオのニュース番組」と「自分で選んで閲覧するネットニュース」の中間的なモノだなということです。広い層に向けたラジオ番組の“受動的コンテンツ”と同じ感覚で聴いているのに、中身は自分で選んで見にいくネットニュースの“能動的コンテンツ”もある。この受動と能動のどちらでもないというところに、不思議な心地良さがありました。

SNSが全盛の昨今、流れてくる情報のほとんどが自分の興味関心がある内容ばかりになっています。とはいえ、もちろん追いきれない情報もあります。そういった好きだけど知らなかった情報をラジオやPodcast感覚で得られつつ、いま起こっている一般ニュースも入ってくる。そして音声コンテンツなので、何かをしながらでもいいという点もラジオらしい利点です。

現在はβ版なのでブラッシュアップする余地はまだまだあります。また基本的に1日1番組なので、何時に聴いてもパーソナライズされたコンテンツは同じ内容が流れます。

とはいえ、朝の10分、朝食を作りながら、コーヒーを飲みながら、自分だけのラジオ番組を楽しむというルーティーンは案外悪くない体験でした。

この「Good Morning Radio」、「The Clock」ユーザーは11月2日から利用可能になります。また「The Clock」を持っていない人向けにアプリで利用できるβ版の体験者を1000名募集中(応募は11月3日23:59まで、応募者多数の場合は抽選)です。

AIを使ったコンテンツが続々登場している中、バルミューダがAIを利用して作ったのは人の手も入った「AIラジオ」。そんなところに、これまでになかった体験をもたらす“家電”を数々手掛けるメーカーらしさを感じます。今後の進化に注目です。

>> バルミューダ

<取材・文/円道秀和(GoodsPress Web)>

 

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