AIアシスト楽曲制作プロジェクト「Flow Machines(FM)」を手掛ける株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は、FMの核であるAIアシスト楽曲制作ツール「Flow Machines Professional(FM Pro)」を活用した楽曲制作をアシストするサービスを開始。
第1弾の楽曲は、Lo-Fi Beatsチャンネルの「Tokyo LosT Tracks -サクラチル-」にて展開している。
作曲に特化したFM Pro
1996年よりパリの拠点で音楽研究を行ってきたソニーCSLは、2012年に音楽でクリエイターの創造性拡張を目指す研究開発および社会実装プロジェクトとしてFMを発足。現在、東京とパリの2拠点で最先端の機械学習や信号処理技術でアーティストとともに多様なスタイルの新たな音楽の生成に取り組んでいる。
このたびのFMサービスの核を担うのはFM Proだ。さまざまな音楽を解析して構成された音楽ルールと先端ソフトウエア技術を用いて、クリエイターの構想のもと多様なスタイルのメロディーを自由自在に生成できるという特徴を持つ。これにより、AIに提案された独自のメロディーをクリエイターのセンスで選び楽曲制作を進めるという、人間とAIの共同楽曲制作が実現するのだ。
作曲、作詞、編曲、演奏、ミキシング、マスタリングという一般的な曲作りの工程のなかで、FM Proは作曲に特化したツールである。同社開発の音楽データを解析した機械学習モデル「スタイルパレット」という独自の概念を持ち、作曲者の作りたいスタイルに合わせたメロディー、コード、ベースを提案してくれるAIだ。
FM Proを活用した楽曲第1弾は、Chill Hopとも言われているインストゥルメンタル音楽を、主に勉強や作業用BGMとして提供しているLo-Fi Beatsチャンネルの「Tokyo LosT Tracks -サクラチル-」(3月21日より公開)にて視聴可能。
人とAIの新たなコーライティング
FM Proを活用して楽曲を作るにはまず、デジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)の中でFM Proのプラグインを立ち上げ、作りたい曲のコード進行に合わせてスタイルパレットを選択。
「compose」ボタンを押すと、選択したコード進行に合わせてAIにより複数の候補が提示される。このときの候補は、メロディー、コード、ベースが連動した4小節×4パターンもしくは8小節×2パターンの曲だ。「compose」ボタンは何度でも押すことができ、そのたびに新しい候補に更新することが可能となる。なお、複数のパターンを1小節ずつ組み合わせる機能もあるようだ。
気に入ったものができたら、DAWのトラックにドラッグ&ドロップすることで、音楽の演奏情報をデータ化したMIDIデータとして使用できる形となる。ちなみに、MIDIデータのため作曲者自身が後で自由に微調整することも可能だ。
また、楽曲のすべてにFM Proを活用するのではなく、サビだけにAIの提案を取り入れ、そのほかは自ら作るという使い方もできるとのこと。
近年の音楽制作においては、メロディー、トラック、編曲、作詞など各分野を得意とするクリエイターが集まり共同制作するコーライティングという手法が増えているようだ。FM Proは作曲を得意とするクリエイターとして、新たなコーライティングを実現するかもしれない。
- Original:https://techable.jp/archives/119917
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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